うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「Rene」感想

「血の跡を追ってここまで来た」

でもきっと彼だけには違う何かが見えていた前置き。

 

 

えー、今回は猪垣ハインツ(さよならメメント)さんところのフリーゲームRene」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

プレイ時間数分程度、クリックで読み進める探索ノベルゲ。謎解きなし、一本道、雰囲気ゲー。

関連作として『Goodbye Carol』(以下carol)というノベルゲもあります。公開順としては『Rene』のほうが後なんですが、個人的にはこの『Rene』のほうを先にプレイする方が理解が深まる気がしています。

 

というわけで、良かった点など。

 

 

もの悲しさを含むセリフ回し

 

文章量自体はかなり控えめ。しかし的確です。腕を調べた時のあの一文でガッと心を掴まれました。「どうして?」から直後に「ああ……」となる流れが好きです。

台詞もどこか詩的で、ちょっとした一言に哀愁が漂います。殺伐とした世界観に反してゆったりとした雰囲気が感じられるのも、皆に終わりが見えているからかもしれません。

 

とはいえ、舞台設定などがふわっと流されているのも確か。明確なストーリーラインに感情移入していきたいタイプのプレイヤーさんからすると、物足りなさはあるかも。

単品でもプレイできるとありますが、むしろここから続編のcarolをプレイして彼らの結末を見届けるのをオススメしたい気持ちがあります。

 

 

 

血と蝶が導く先

やっぱり好きなのはマップの描き方。

意味深なものがぽつぽつ落ちてて、その理由は自分で探っていくみたいな、静かな雰囲気が好きなんですよねえ。探索ゲーの醍醐味。

一見どこをクリックできるか悩みがちですが、マウスカーソルの変化を気にすると一目瞭然です。やろうと思えば何一つ調べずエンドへ直行できる作りも、どことなく容赦のなさというか、未練を抱くまいみたいな感情を受信できて好き。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

いつもだとこのくらいの短さのフリゲは複数作まとめた特集記事で一気に感想を書くんですが、本作は関連作と含めた考察解釈などを追記に長々と書いているため単記事として……。

 

と考えていたところなんと、これを書いて寝かせている間に公式から設定資料集が公開されました! やったーー!

sayomeme.booth.pm

キャラのみでなく背景や没絵などもあり、文章はもちろんのこと、ビジュアルブックとしても楽しめます。是非に!

 

 

一応、こちらが公開される前の考察もせっかく書いたので追記に残すだけ残しておきますね。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ込みで、考察解釈など。

Carolをプレイしてる前提で書いているので、そちらのネタバレもご注意ください。

 

 

以下は公式資料集『Farewell party』を閲覧する前の内容です。

 

 

オズワルドと再会のすれ違いについて

 

あのオズがオズワルドっていうのも、プレイ終わって数十分後くらいにハッとしたんですよ。キャラが全然違ってたから気づかなかった……。

初めは、オズの中にしっかりオズとうっかりオズとおどおどオズの3人がいて、うっかりはおどおど時代の記憶を無かったことにしてるからcarolではツモリ=ルネだと気づけなかったのかなーと思っていたのですが……。

 

Carolをプレイし直してみたところ、けっこう見方が変わりました。

そもそもオズとツモリは別れてから一度も顔合わせをしていないんですよね? ツモリは地下から屋敷に定期的に来てるけど姿を見せないよう徹底してる、みたいなことを言ってたはず。そりゃ気づきようがない。

だから単純に、オズワルドの中にはしっかりとうっかりがいるだけで、屋敷で働くうちにだんだんとこう、打ち解けて気を張る必要もなくなって自然とおどおどした態度が無くなっていったのかなー、と考えてます。

 

それでもオズワルドがcarolで「聞き覚えのある声が」って言ってたのはグッときましたね~。もうずいぶん時間も経ってるだろうけど、まだ、彼の声を覚えているんだなあ。

 

で、ツモリ側はツモリで、オズワルドの首が処刑で飛んでるから気づきようがないと。年下の小柄な男の子、と思っていたら確かに気づけないかも……。オズワルドになってからずいぶん高身長になってますよね。成長期が来たのかな。

貧民街の知り合いがいるのか、みたいなセリフで正解に辿りつきかけてるのに上手いことズレちゃう辺りが絶妙だなと思います。

 

早く再会してほしいような、安易にハッピーをねじ込まずずっとすれ違ったまま漂い続けてほしいような、複雑な気持ち。

 

 

 

 

赤い蝶と青い蝶と十字架

 

あの蝶のモチーフも、何なのかなーと考えていて。

途中から青い蝶だけになったりするんですよね。トムがいる時に青だったから、あの蝶はそれぞれ青がオズで赤がトムで、二人がルネを導いてるってことなのかなー、なんて。

余談ですが、carolをやり直してようやく、ルネの最期の台詞がcarolのあの台詞とリンクしていることに気付きました。

死後の世界に行けるのは誰でもどこでもってわけじゃなくて、あの十字架の前で願いを込めるかどうかがキーポイントになってるのかも。

 

 

 

ルネの髪と3人の死因について

 

Reneのメモリーを見ると髪を切ることになった、とありますが、carolの彼は普通に髪が長いんですよね。しかも絞首刑っぽい髪型で。

で、ここ意味深だけどなんでかなーと考えてたんですよ。ルネが再会を諦めたとは思えないので、処刑のために拘置所入れられる際に勝手に髪を切られたってことなのかなと妄想してたんですが……。謎です。

 

3人の死因も謎ですよね。オズが斬首だとして、ルネとトムは何だろう。トムはオズと逆で頭だけがある状態だから、彼も斬首なのかなあ。

ルネは髪型の関係で絞首刑だと思い込んでいますが、Reneがそもそもルネの死に至る前の走馬灯の話だとするなら、両腕が無くなって失血死ということなのかもしれません。そしたら一人だけ死因が違うからすんなり話が通る気もします。

 

 

 

夜の化け物

 

ついでに、carolのほうで書いてた「夜の化け物ってなに?」はcarolをプレイし直してようやく整頓できました。

地下の人たち=倫理感欠如=化け物=ツモリ達っていう図式ですよね。で、トムはツモリのために何も知らない余所者を遠ざけようとしてくれてたと。良い男だ。

Carolをプレイした時は、夜の化け物っていうのが墓地にいる皆の総締めみたいなものだという印象が強かったんですが、Reneをプレイして考えも落ち着きました。特定個人あるいは特定の存在を指すんじゃなくて、ふわっとヤバイ人達全般を化け物と呼びならわしていたってことですよね。……ですよね? それで、もう化け物は駆除されてしまったから噂が独り歩きして、化け物なるものの正体が何なのか逆にわからなくなってしまったと。

今更ながら上手いなあ。

いやこう書いといて公式設定資料集で全然違うこと書いてたら恥なんですが、まあ、そういう解釈もできていいよねってことで一つ。

 

 

 

オズワルド入れ替わった?

 

これも思い違いの話なんですが、オズワルドって首が無いので、初めは入れ替わったのかと思ってたんですよ。

CarolのほうでABCDどれがオズワルドか当てる選択肢があったと思うんですが、そのうち作中で登場してなかったBが気になってまして。Bが化け物処刑騒ぎの時にオズワルドを殺して、その後成り代わったのかなあって。

でもさすがにこれは考え過ぎだったっぽいです。carolのオズワルドにも前述のルネの声しかり、記憶が残っているみたいなのでね。

 

 

 

 

 

 

 

けっこう謎は解けたので残る引っかかりは、お屋敷の人達が消えたこと、父の「先に行く」という手紙のこと、ルネがなぜツモリという偽名を使っていたのか、あたり。

 

どこかで補足情報が見れたら嬉しいなーと思いつつ、この辺で〆ようと思います。

 

 

 

(と、述べてますが実際のところは公式資料集にて是非!)