本日の記事は、二分割の後半になります!
TAKUYOさんところの「SWEET CLOWN~午前三時のオカシな道化師~」の感想です。
・未プレイの方
・全体的な感想をまず知りたい方
・密原&久瀬のルートの感想を見たい方
はこちら
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から先にどうぞ。
当記事では、日之世・古橋・真相ルートについて語っていきます。
ネタバレ配慮なく全部書くのでご注意を!!
日之世
プロローグから本命でしたこんばんは! 好きです!!!
元々気になっていたキャラだったので、柘榴が追いかける側に回るという展開がぴったりはまってくれたルートです。
オカルト電波らしい登場の仕方だったので、こちらも蓋を開けると常識人で驚きました。常識と言うと語弊があるかな……。まっとうに柘榴を気遣ってくれる感じ?
マイペースっぽい日之世さんが柘榴ちゃんへ関心を向けてくれることがなおさら意外だったんですよね。辛辣な物言いもしつつ柘榴を生かしたがってるというか、彼女の本質へ積極的に介入して改善しようとしてくる、それほどの矢印が向いてくれるとは思ってもみませんでした。
やっぱり根っこはお兄ちゃん気質でお世話焼きなのかなー、なんて。ちゃんと叱ってくれるお兄ちゃんっていいですよね。好き。
日之世さんではなく柘榴ちゃんのほうがこじれていったことにも驚き。思考回路としては説明を入れてもらえたので理解できたんですが、やっぱり柘榴ちゃんもあの城に呼ばれるだけの素養があったんだなあとしみじみと実感します。拷問のくだりもそう。
日之世さんがオカシナ奴だと見せかけて、ヤベーのはザクちゃん様のほうですよという意外性が楽しめました。
あと、回りくどいと見せかけて話が早い。
前までプレイしていた久瀬密原の秘劇編では話が二転三転しつつ進まないルートだったので、より話の早さに感動しました。それはそれ、これはこれ、でポンポンと事務的に進んでいくところがさっぱりしてて好きです。
柘榴を虐めてくれる時だけはそりゃもうねちねちとしてくれるんですが、ここも需要にお応えしてみたいなサービス精神を感じます。時折すっごく優しい瞳で見つめながら話してくれるのも、もう、ときめきがすごかったです。好きになっちゃう……。既に好きだけど……。
それとそれと、日之世さんのルートってスチルのパワーがすごいんですよ!! 夜を感じるスチルをバックに、ストーリー上の展開ではちょっとメルヘンが加わってて、こう……堕ちたくなるというか……水底に沈めてもらえるし沈んでもらえるみたいな仄暗い魅力を感じます。スチルの使いどころが上手いと言い換えてもいいかも。
眼帯外した時にやや斜視っぽく見えるところも好きです。
深愛ルート
あっ思いのほか愛して頂けている! という新鮮さがありました。こう、純粋に惚れてもらえるルートだなーと思います。
手に手を取りつつ愛の力で元凶を倒してお涙展開も挟んで最後はハッピーで〆、みたいな。王道。お花畑で幸せなキスをして終了。いや本当心底驚いたんですよ、この作品でこんな王道展開が見れるとは思ってなくて。一周回って新鮮で楽しかったです。
あと、あははって笑ってくれるのがさりげなくすごく良い、ときめきます。それになかなかキスシーンがないのも気になってたので、きっちり回収してくれて嬉しかったです。
八尋さんのくだりは、なるほどなーというくらい。ヤンデレ妹属性に立ち上がりかけましたが当て馬化するのも怖かったので、なんだかんだで穏やかに疑似家族めいた感じに収束してくれて安心しました。
夜はガツガツしてそうなところもドキドキします。二人の会話は誰も寄せ付けず淡々と先に進んでいくイメージがあるので、そのぶん夜の情熱のギャップにニヤニヤしました。好き……。
バッドの方は、二人が試し行動をしがちだからこそ映えるエンドだなーと感じました。水が駄目っていうセリフも、あの世界の日之世は菓子人形だからってことですよね……? 気づかないふりをしつつも気づいてしまう柘榴の機微が愛しくなります。馬鹿になれないってつらいね。
歪愛ルート
カラーヒヨコのくだりを蒸し返してくるのすごく好きです。笑う。
他と比べてあんまり心理的には「堕ち」を感じなかったかな……。やっぱり話が早いんですよね。諦める時はもう諦めしかない詰んだ状態だっていうのを認識してくれてるし、二人の世界を目指す時は一切過去も外も省みず素敵なマイワールドを構築してくれるし。
ザクロちゃんもバッドエンドでは強烈でしたが、グッドエンドでは素直に健気一途で微笑ましかったです。
感情面の葛藤が薄い分、身体的にはガッツリと人外してくれていて、そこが愉しくもありました。スチルでもきちんとエラが確認できて興奮するなど。あと「死にたくても死ねない」が性癖の方多いでしょ。ぼくは好き。
久瀬・密原が「THE病み」って感じだったのに対して、こちらはまたちょっと違ったニュアンスを感じたなーと思います。執着……? 言葉にならない……。
この掴めないところも含め、日之世らしかったです。
古橋
久瀬の感想で二人は自己犠牲で似た者同士、と書きましたが、古橋さんと柘榴は自己嫌悪で似た者同士な気がしています。
日之世が館に因縁キャラがいたこともあり、話が繋がるならガート達だろうと思っていたんですよ。で、道化師についてわかるのは真相ルートだろうなと思っていたんですね。なのではやこの段階で道化師の事情がわかることになるのは意外でした。このルートはある意味道化師ルートでもありますよね……。
驚かされたのは声優さんの演技幅!
道化師が乗り移る描写が多々あるんですが、どの方もあの独特の抑揚を完璧に掴んでていて、いやはや流石の一言です。古橋さん自身がけっこう淡々としたキャラなので初めはフラットに聞いていたんですが、この成り代わりのシーンでやっと中の人の凄さを思い知らされました……。遅い! 甘いシーンで声を寄せるのがお上手なのもさすがだなと感じます。見るからに、というか、聞くからに声が優しい……。
深愛ルート
実は古橋さんはこの深愛バッドがかなり好きなんですよ。あの、絵を描いて彼女を想うくだり。柘榴がやったことって言ってしまえば自己満足の自己犠牲なんですが、古橋が柘榴のことを忘れないままでいるというのも酷く言うと自己満足にすぎないんですよね。ああ本当に似てるし、自分を呪うのが得意な人同士なんだなあって思います。
一方でグッドはすさまじい明るさでしたね~! 他キャラが背中を押して見守る中、彼の元へ行く感じ? なんかこう、式場へ向かう花嫁を各人がアーチで送ってくれる絵面が見えました。
歪愛ルート
日之世ルート感想で「死にたくても死ねない」っていいよね、と言った矢先にまたそのネタが来ましたよありがとう。ただのバッドエンドで終わらせない、という道化師(in真井)の台詞がとても印象に残っています。そう、そういった悪趣味が見たいから私はこのゲームを始めたんだ……!
菓子人形のエグさが最高でしたね……! この展開が一番好きかもしれない。
見た目がそっくりなのが素晴らしいなと思っていて。犠牲者を作るのみならずそれを使って追体験をするというこのエグみが好きです。柘榴ちゃんが終始にこにこ笑顔なのもすごくツボ。
グッドはまさに女王様って感じで、いやあ突き抜けてて気持ち良かったです。古橋さんって、嫌だと言いながら手を伸ばしている印象がすごく強いんですよね。だから、建前なんていらないんだよって言いながら愛を押し付けてやるみたいなこの構図にすごく興奮しました。一緒に堕ちようね。にこにこ。
バッドの方は逆に、古橋さんずるいなー!って感じです。いやだって、あの願いって言ってしまえば、柘榴のことも全部捉えられるしそのうえで自死願望も満たせるじゃないですか。そこに愛の証明を匂わせるところがまたずるい! 古橋さんってこういう、なんか、自己嫌悪するわりに持つ者の傲慢さみたいなのが透けて見えて、ほんと良いキャラしてるなあと思います。
で、このバッドルートで柘榴ちゃんが絶望しながら終わるのであればフラストレーションが溜まったんですが……スイクラ様がこれで終わる訳がないんだよなあ!! 最後の爆発力がこれまた気持ち良かったです。なんていうか、このルートの二人って愛の押しつけをしてしまっているというのはお互い様なんですよね。互いが互いの思う愛を投げつけてるだけで、両想いなのにまったく通じ合ってない感じがします。そこがいい!! 傲慢な王と強欲な女王!! 最高!!!
真相ルート
なるほどこれは、真井さんルートではなくて真相ルートだなと涙しました……。
いやそりゃね、正直言ったらね、真井さんと笑い合う柘榴は見たかったよ!! 見たかったですけれどもね! それでもこの終わらせ方自体はとても好きなんです。そして、こういったシナリオ構成で行ったことも、勇気ある英断だと思います。
中庸で優しい人は、聖人だからじゃなくて臆病だから。この切り口からしてとても好きで信頼がおけました~……! いるじゃないですか、全部向こうが折れちゃうからまともに喧嘩ができないタイプ。柘榴も少しその傾向があるとは思うんですが、彼女はそもそも喧嘩するほどの深い人間関係がないし自分の意見もないという感じ?
なんだろうな、真井さんはとにかく徹底して、我を押し付けてこないんですよね。それでいてちゃんと意見は持っているから、妥協案を出したり、引っ張って行ったりすることはできるという。持っていてなお隠せる人。私は、人間関係上手い人ってみんな忍耐深いな……と思っているので、まさにその我慢強く自分を押し込めていく面が見れてウッとなりました。説得力があるんだ……。
傍若無人だったりマイペースだったりする攻略対象ばかりの中で、彼だけが異質であり、まともであり、だから結ばれないのかもしれないなと思い……なおさら苦しくなります。好き。
バッド
攻略対象全員から「ないわー」ってフルボッコされるところがめっちゃ好きです。笑っちゃった。スイクラ衣装の知也は若干クソコラ感を抱いてしまう見た目ので、そこだけ惜しかったなーと思います。もうちょっと自然な感じで組み込んで欲しかった……。
真相バッド
真井さんが本当に色んな意味で“良い人”だったぶん、知也は全力で暴れ回ってくれて、ある意味気持ち良かったです。他への敵意がバチバチに滲み出てるのもTHEヤンデレって感じがして素敵。あと、知也くんって日之世さんのことだいぶ嫌ってますよね!? 結局アイスが食べられないまま捨てられてるのすごく、印象に残りました。いやもうめちゃくちゃ嫌ってたんだなと……。
エンド自体は、エンドロール前の「みじめだ」がほんっとうに、声も含めて絞り出すような単語で、しんどかったです。大好き。あとストーリー面では、今までの伏線や疑問がしっかりと回収されたのが気持ち良かったですね! クッキー型心臓のくだりなど。
そしてやっぱり見どころは柘榴の覚醒。いややっぱスイクラ様はこうでないとな!! このルートに入ったからにはやっぱり柘榴の闇堕ちみたいな部分にもすっかりこなれてきていて、期待に応えてくれる流れにほっとしました。
久瀬がお気に入りなのでつい引き合いに出してしまいますが、“弟”のバッドエンドはどちらも“人形”であることが強調されるのも、ずいぶん皮肉めいていて好きです。
真相グッド
この、陽の光が照らすような大団円から少し外れたところに残してある哀しみが大好きです。同時に、これがこの作品においてバッドエンドではない形として組み込まれていることが、本当に救われるような想いでした。
例えばこのルートが綺麗に大団円で終わってしまうのなら、私は満足しても信頼はできなかったと思うんですよ。ハッピーエンドこそが絶対無敵の正義だよね、みたいな空気が苦手で、私はこの作品に手を付けたところがあるので。
だから、ああ本当に最後まで裏切られずに、叶う範囲での陽の元で見られるハッピーと、どろりと歪んだ形の幸せ両方を見せてもらえたなあと思って……何よりもすごく安心してしまいました。こういう形の作品が、世に出てくれて、良作と述べる方々がいてくれて、本当にありがたいなあという気持ちです。
ケイファさんがものすごく生き生きしてて、さりげなくほのぼのとしました。ずっとずっとそれこそケイファがケイファになる前から窮屈だったもんね……。
と、こんな感じで。
前半の感想記事も踏まえて、本作の各エンドを全部総括してしまうと、
かな~という感じです