「見せ場に限って舌を噛み、スポットライトの真下でこける」
そこが売りのポジション狙っていきたい前置き。
えー、今回はSEPTET(ぬぬぬ)さんところのフリーゲーム「らすぼす養成はいすくーる」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
エンド分岐あり、寄り道ありのRPG。全エンドクリアで12時間ほどかかりましたが、私はセリフなどを楽しみたくて2周したので、エンド回収だけなら6時間程度で収まるかもしれません。
というわけで、特徴的な点など。
ちょこっとメタなあったかストーリー
メタゲーはメタというのがネタバレとはよく聞きますが、本作はもうタイトルからしてメタなのでよろしいですかね?!
あらゆる物語の世界からラスボスとして生まれたキャラクターたちが、養成学校に送り込まれて、戦ったり遊んだりするお話です。
次期魔王が学校に送り込まれる、このシュールさがまず良い! 発想が好きです。
他にも「主人公と言えばこれ!」とか「ラスボスは高笑いを覚えてこそ!」などなど、いわゆる「お約束」を逆手に取った笑いも盛りだくさん。
さらには、そういったお約束に切り込んでいくシリアスな面も見れます。
あるあるネタを上手いこと調理した、素敵なメタゲーでした!
話せば話すほどじんとくるストーリー
圧倒的なのは、会話差分!
話しかけていくうちにだんだんと彼ら一人一人にも物語があるんだと伝わってくる感じが、すごく説得力あって好きです。
まずはパーティメンバーから。
普段は3人のクラスメイトの中から1人選んで連れ歩けるんですが、この3人のセリフがどれもイイんです。頼れるけどちょっとおとぼけなところのあるムサシ、元気いっぱい勢いいっぱいのダン、ツンツンしてるけどリアには優しいフィオ……。
二言三言程度ではありますが、ボス前やちょっとしたイベントなど台詞差分の見れる機会は多め。どれも楽しくて、つい周回プレイして全パターンを見てしまいました。
次にNPCについて。
なんと、物語の進行度によってセリフが変わります!
別クラスにいるサブキャラだけでなく、廊下にいるモブ(ラスボス候補生)なども含め、かなりバリエーション豊か。それでいて、見ようと思えば見れるくらいの割合なのも嬉しいところですね~。
大味で大技重視のバトル
戦闘の難易度は、かなり高く感じました。特に、ゴーストタウン。マップも広けりゃ敵も魔法しか通らない、二つ目のダンジョンにしてはなかなかにハードでした……。属性武器もあることにはあるんですが、いかんせん。
何よりキツイのが、エンド確定後のラストバトル!
某エンドを除いて、各種寄り道要素を全回収&ガッツリレベリングが前提になっているような印象でした。
私のバトルの仕方が本作と合ってなかったのかもな~。
ステータス上げるよりもっとスキルを駆使するかドバドバアイテムを使う方が良かったのかもしれない……? うーん。
ともあれ、詰将棋ではなくパワーでぶっ飛ばす感じのバランスです。レベリングが苦にならない人向け。
なお、毒は最強の攻撃手段です。オススメ。
進行フラグがわかりづらいかも
ここは難点ですが、ゲームの進め方(進行フラグ)がちょっとわかりづらくて詰まりかけた点が何個かありました。マップの出入り口にマーカーがないので、見落としやすいところも。
一方で、マップの進行不可フラグ?が甘いらしく、ちょっとした隙間はつるつるすり抜けて通れます。故に、隠し要素や宝箱のある抜け道なのか、単なるマップの設定ミスなのか、わかりづらいです。
といってもシンボルエンカウントで逃げやすく、何よりうろうろするのがRPGの醍醐味でもあるので!
慣れればがんばれる感じですね~。
また、「道しるべ」などの帰還アイテムがあったり、ダッシュ・戦闘高速化機能があったりするのは素直にありがたいポイントでした!
とまあ、こんな感じで。
大味なバランスもありはするものの、ストーリーやキャラにはグッとくるものがあり、何よりノリが明るく楽しい!
青春繰り広げるラスボスのたまごたちを見守りたい・応援したい方向けのお話でした。
追記ではネタバレ感想。
ネタバレ注意!
詰まったところメモ
※攻略サイトではないので追加質問は受け付けません※
・ゴーストタウン
最奥ではなくてマップ中央やや右ぐらいのマンション内に次マップへの入口がある。
・水族館
おまけダンジョン。ストーリー進行に影響なし(のはず)。
・体育祭
司書と先生に依頼されて音無先生を見つけるイベントが終わってから。皆が集まってる掲示板のほうじゃなくてその脇の張り紙を調べると開始。
・体育祭中の人助け
階段でぶっ倒れた人に渡すアイテムは中庭、左の道が続いてる先にまだマップがある。ぶっ倒れるイベントが起こらないと行けないようになっているので、助けるなら必ず引き返さないといけない。
エンディング感想
END:H
他エンドを見た後だとなお刺さるエンド。ですが、だからこそ最後に見なくて良かったエンドだとも思っています。
初めは「自分で道を選べてえらい!」と感じていたんですが。よくよく考えるとこのエンドって、全部捨てて逃げ出しちゃうエンドでもあるんですね……。
それでも、生徒会メンバーなどのおかげで、これはこれでアリという前向きな見方もできるのが救いだなあと思います。
END:F
いやもう戦闘がキツイ!!!!!!!!!!!!
常にバフかけ続けて回復し続けてそれでも全滅する感じの難易度でした。防御バフかけたメンツを3人をさらに防御させて、残り3人で攻撃と回復とバフをまかなうという持久戦でなんとか耐えきりましたが……。いや~もう戦いたくない。これ最適解どうすればよかったのかいまだにわかってません。ふーむ。
でも、これだけ苦戦するのはある意味すっごい嬉しかったです! だって、説得力があるもんね。
END:L
最後に見て良かった~!!!
このエンドのタイトル、ずるくないですか!? こんなん泣いてしまう! めちゃくちゃ良かったです……。
最後の最後で完全に、本当の意味で彼らを開放してくれたのが嬉しかったんですよ!
リアが選択肢で喋らされるの、ずっと気になっていたんです。最後の戦闘を終えてもなお、引っかかっていたんです。
作者様もそこをきちんとわかっていてくださってて、だからこその演出だったんだな……という信頼と感動が溢れ出ました。すごいよかった……。泣いた。
もっともっと言うと、プロローグの時点ではリアもかなり個性を出してくれてたんですよね。地の文風に。
それが学校に着くとすっかり消え去ってしまったのも、演出の一つだったのかなあと、今は思います。
会話差分を全部回収する勢いで、ありとあらゆる人に話しかけまくっていたので、ラストの演出はすっごい沁みました。お約束だけど、それらを熟知してる彼らがそれをやるのが、熱くていいんだよなあ!
何より、「誰だ!?」「はじめまして!」「てめーら卑怯だぞばーかばーか!」のあのぐっちゃぐちゃなノリがとても大好きです。
ぶっ壊すって、楽しい!
ある意味すごくラスボスで、悪い子で、落ちこぼれで、そして最高に感動的で爽快なエンドでした!
ダン
最後に語っておきたいのは、ダンについて!
リアもムサシもフィオも、もちろん、おんなじくらいに好きなんですよ。なんなら1周目はずっとムサシを連れ歩いてましたし、個別ダンジョンは真っ先にフィオの扉を開け行きましたしね。
でも心にぶっ刺さったで賞として、ダンを語っておきたい!
というのもね、彼の物語がね、大好きなんです。心で見れるあれ。「おまえかっけえな」って思ってるあのモノローグ。
ヒーローって概念、憧れの塊じゃないですか。
憧れてくれる他の誰かがいないと、ヒーローはヒーローたりえないとも思ってるんですよ。だから、ダンが憧れを抱いたのはある意味、本人がそうと意識してなくても状況だけ見れば、友達のためだよなあとも感じられて……。
そして、登場人物としてもすごく、かっこいい考え方してる男なんですよね。
悪役がいることで勇気をもらえる読者(プレイヤー)もいるよな、のくだり。あの境遇をああいう風に割り切れる、割り切ろうと頑張れるところが、すごくかっけえなと思いました。
うお~! 勢い任せだけどおまえは良い奴だしかっこいいし友達想いの最高な兄貴だよ!! って感じになりました。
と、こんな感じで。
ラスボスでも青春はできる!
友情・ノリ・ええ感じのゆるさの三拍子がそろった、すごく楽しい一作でした!