うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「獄主に捧げる降霊術」感想

「知らぬ間病むのと見ながら病むのと」
原因不明のほうが怖い気がする前置き。

 

えー、今回は、*coelacanth*さんところのフリーゲーム獄主に捧げる降霊術」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

この記事を書いていた時期が例の如くかなり昔なので、アップした現在はサイト閉鎖&配布停止しております……。ご了承のうえご覧ください。


前に紹介した「斬首人が連れていく」と同じ世界観の、18禁BLノベルゲーム。本筋はこの作品だけで完結しているので単品でも楽しめるかとは思いますが、設定用語や一部のシーンで少しだけ突っかかりが出るかも。

 

 


というわけで魅力的な点など。

 

 

 

オカルトな不穏さが渦巻くストーリー

 

公式の紹介だとこちらがサスペンス、前作がオカルティックとのご紹介がされているのですが、こっちもけっこうがっつりオカルトってる気がします。監獄に籠り切りの主人公、辺りをうろつく悪霊、うさんくさい降霊術……等々。前作とはまた別の切り口で、陰鬱な雰囲気でストーリーが進んでいきます。
各ルートで真相がそれぞれパラレルっぽくなってるのも特徴かな。繰り返される描写からなんとなく察しはつくんですが、やはり告白シーン(not恋愛)は胸が高鳴るものです。
見ようによってはハッピーと取れるエンドもありますが、基本的には鬱展開多め。

 

 

 

印象的な小道具と、一か所の難関

色分けされた便箋やカタシナの香水など、世界観や特徴を色づける小道具が多かったように思います。ストーリーにうまく効いてくるのもまたおいしいところ。
自力で攻略をするとなるとちょっと難易度高めかなあと思いますが、他所に攻略サイトもあるのでご安心。ヒントが意外なところにあって驚きました。

 

 

 

ニッチな性癖を満たしてくれるえろシーン

 

メジャーなお風呂シーン等々もありますが、それ以上に熱く推したいのは特殊プレイのコアっぷりです! あの花の発想には脱帽しました。最高でした。ありがとう。火傷・急所攻撃・泥酔状態で……などの展開もあります。
ワンシーンで軽めな描写なので特殊プレイ苦手な方でも許容範囲かなあと。
何にせよ、おかげさまで前作ともどもニッチな性癖が大変満たされました。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。
前作が気に入ったのなら今回もばっちり来ると思います。期待に応えてくれる好みな一作でした!

 追記ではネタバレ込み感想。

 

 

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フリーゲーム「Lost Last」感想

「寝ても覚めても憎んで一生恨んでやる」

そうやって忘れないでいてくれる前置き。

 

 

えー、今回はアマヨノツキさんところのフリーゲームLost Last」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

分岐と複数エンドありのノベルゲーム。一応乙女ゲームと銘打ってはありますが、男性キャラ攻略がメインというよりは人間ドラマがメインかなと思います。

というわけで、さっそくよかった点など。

 

 

諦観と憎悪に満ちた本編

 

ストーリーはいわゆる前世もの。ヒロインは前世で攻略対象二人の仇だったということが明かされるところからがプロローグとなっています。

前世は悪逆非道の姫、現世は無気力な女学生。この記憶のギャップを解き明かしていくようなストーリーにもなっているので、どことなくミステリ要素があるといえるかもしれません。

憎悪のまなざしを向けられ、絶対零度の対応を取られるため糖度としてはかなり低いです。ヒロインだけにガラリと変わる態度は、まさに背筋が凍ります。もともとヒロインは諦観に満ちているので、傷つくことも少ないのが救いでしょうか。

が、冷たさが際立てばほんの一匙のデレがとてつもなく甘く見えることもあるわけで。ヘイトとイルウィルが疑念を抱えながらも歩み寄ろうとしてくれる姿は、やはりときめいてしまいました。ハッピーエンドを勝ち取った時の感動もひとしおです。

勿論、鬱エンドも大好きなんですけどね。

 

 

モノクロームな画面構成と豊富なスチル

 

基本的に文のみで構成され、要所要所でスチルが展開されます。少女漫画っぽい画風の繊細なタッチのスチルが多く、表情はどれも迫力があり想いが伝わってきます。

画面がどれもモノクロだったのも印象的でした。起動画面でも一貫されているように、色の使い方が絶妙なんですよねぇ。あとがきでは謙遜してらっしゃいましたが、私はあの色の使い方めちゃくちゃ好きです。メランコリックな世界観が表されていて素敵です。

また、起動画面やエンド回想などが円形なのもオシャレでした。ハッピーエンドが解放された時の感動ったらもうたまりません。EがEndだと思ってうっかり開き間違えたのは良い思い出ですw

 

 

中世と現代が交差する世界観

 

前世ものということで、架空の中世の設定と現代の舞台が交錯します。しかしながら全体的にきちんと雰囲気が統一されているのは、やはり演出面の力かなと思いました。上記の画面構成に加え、使われているBGMがぴったりシーンに合うんですよねぇ。

中でも「司教様の日常」は別ゲーで聞き覚えがありとても愛着があったので、上手い使い方にニヤニヤしてしまいました。原曲の素材サイト様を巡りたい派としては、おまけで曲名込みで再生できるのもありがたかったです。さりげなくかなり嬉しいですよね。

 

 

 

公式では中二病五月病という容赦ない紹介がされていますが、鬱展開好きやメランコリックな展開が好きな方には是非ともオススメしたい一作です。

また、何事も諦めがちなヒロインだからこそ、本当、魂が震えるシーンもあります。

 

やるせなさ・前世・復讐劇・暴虐の姫・執着・お互いを想うからこそのバッドエンドなどにピンとくる方へ。

 

 

 

追記ではネタバレ込みの感想など。

 

 

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フリーゲーム「緑の姫君」感想

「君しかいらないなんて寂しすぎる」

でも君には私以外いらないはずな前置き。

 

 

 

えー、今回はベルカゲさんところのフリーゲーム緑の姫君」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

妖精、姫、身分差等々を含むファンタジーな乙女ゲーム。本編は短編かと思いますが、おまけやSSが多いためコンプするとそれなりの長さでした。

というわけでさっそく良かった点など。

 

 

ハッピーエンドの裏に隠れる闇の深さ

 

ネタバレなような気もしますが、プレイして欲しい方に伝わるようあえてダイレクトに書きます。

まずこのゲームをDLしたきっかけは、別所で「ヤンデレ」と紹介されていたからです。いつものことです。紹介ページはほのぼのした雰囲気だったのですが、注意書きを読んで安心。蓋を開けてみると、ヤンデレヤンデレ・一般人・ヤンデレな面々でした。にこにこ。

 

ギャグエンドもあり、ダークなエンドを避ける方法の記載はあるので、やろうと思えば鬱展開が苦手な方でもプレイできるのかもしれません。けれども、この作品に関してはもう初めから鬱エンドが好きな方がプレイしたほうが良い、と私的に思っています。なぜなら、おまけSSのうちの複数が“幸せな後日談”ではなく“選ばれなかった絶望”を描いているからです。これを読むとハッピーエンドすら不思議と鬱展開に見えてきて、なんともゾクゾクさせられました。

 

乙女ゲーって各ルートが並行世界として存在するイメージがあるので、こういう書き方をされているのは珍しいなーと。ともあれ、病み要素強めなのは保証します。

 

 

 

“妖精憑き”を巡るファンタジー設定

 

さて、ヤンデレ要素を推し過ぎてしまうと心理描写だけに注視されてしまいそうなのでこちらも語っておくと、設定にも萌えるところが多々あります。

他人には見えない唯一の相棒である「妖精」や、「妖精憑き」への迫害、王族への態度の在り方、などなど。プレイ中につい前のめりで詳しく聞きたくなってしまうような設定がたくさんで、たいへん萌えました。ルピナスの接触ネタとかね、最高ですよね……。

中でも特に女性の髪の長さに関するネタはツボでした。ああいう、こう、現代日本的な価値観から見ると普通のことなんだけどあの世界では晒し者の刑に近いっていうちぐはぐが生まれる感じのあれ、好きです。

 

 

 

 

独りぼっちと寂しがりのキャラ達

 

どのキャラにも共通して言えるのが、「独りを怖がっている」ところかなあと思います。ヒロインも含めて寂しがりなのがなんだか良いなあと感じました。これが発展した結果、病エンドが多くなっているのかも。

埋まらない隙間を埋めるのが凶行になるか愛になるかはプレイヤーの選択次第ということで。

妖精憑きという唯一無二の相棒がいる設定だからこそ、この部分が生きるのかなー、とも思います。共依存って素晴らしい!

 

 

 

 

一方惜しかったなあと思うところについて。

 

 

急展開過ぎるエンド

過去回想やヒロインへの熱い想いがおまけに格納されてしまっているキャラがいて、初見だと置いてけぼりになってしまうことがあったのが一点、本当にもったいないと思いました。本編に捻じ込むなり、各ルートのプロローグとして挟むなりして、是非とも初めから感情移入をしてやりたかった……!というのが正直な気持ちです。

また、設定が秀逸でもエンドへの向かい方がやや強引で、あの国の王族が厳しいのやら緩すぎるのやら、わからず戸惑ったところも。

勢いで読ませるだけのパワーがあるとも言えますが、これだけ素材が良質だからこそ、過程の部分ももう少し見たかったです。

 

 

 

 

 

 スピンオフ作品

なお、この作品はスピンオフとしてミニゲームもいくつか製作されています。

 

私がプレイしたのはエイプリルフールゲーの「うそつきアリス」。

起動画面のアリスがぴこぴこ動いてくれる可愛さがたまりませんでした! システム面としてはクイックセーブロードが大変便利でしたねぇ。内容もギャグヤンデレな感じで明るい一作です。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

ファンタジーな世界観や、病み要素ありの乙女ゲーにピンとくる方向けの一作でした。

 

追記からはネタバレ込みのキャラ感想など。

 

 

 

 

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フリーゲーム「魔王育成計画」感想

「まおうの ふっかつは しっぱい して しまった !」

パルプンテもこうかがないようだな前置き。

 

 

えー、今回は魔王育成計画製作委員会さんところのフリーゲーム魔王育成計画」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ゲームジャンルはまさにタイトル通り、ロリorショタ化した魔王の育成ゲーです。プレイ時間は数時間ほどなので、一応短編に当たるかな。エンドは私の見たところ2種類で、分岐条件もシンプルです。

というわけでさっそく魅力的な点など。

 

 

 

選んだ性別によって変わるキャラデザ

 

主人公と魔王は男女・女男のどちらかのペアを選択できます。何よりもここが嬉しかった!育成ゲーで男女選べれるのって良いですよね……!

キャラデザも単純に性別が変わるだけでなくて、小物や角耳の有る無しなどあちこちに違いがあるので、2ペアでガラッと雰囲気が変わります。角があるのは男性だけっていう世界観なのかな? あるいは生えてても帽子で隠れてるのかもしれませんが。

ともあれ、男主人公の外見がめっちゃ好みでした! 敬語で私一人称なのにああいうちょっと好戦的っぽいポージングで接近戦しそうな、その、そういうのに弱いんです。伝わってくれ!

エピソードの一部が性別によって分岐するようなので、2周目は選んでいない方でやってみてほしいなーと思ったり。

 

 

 

パステルかわいい色味のドット絵

 

また、ドットの歩行グラフィックがどの子もすっごく可愛いです。パステルでいいのかな、こういうほんわかしたカラー好きなんですよね。等身高めなのもグッド。

ここでキャラデザの話に戻ってしまいますが、キャラを動かすとアシンメトリーなデザインがさらに生きるんですよね。左右どっち向いても違う味があるっていう。好きです。

 

 

 

戦略と育成方針が鍵を握るバトル

 

私はこのゲームをするまで育成ゲーってキャライベントや恋愛に力を入れるものだと思っていたんですが、こちらは戦闘システムもがっつり面白かったです。さすが魔王を育てているだけはあるなあと思いました。戦うために育てているというか。ここをストーリーの本題と絡めて考えるとまた面白いんですよねぇ。

ターン制で、魔法の溜めが鍵となるので一つ一つの行動にどれもがカギになります。また、スキルを覚えるためにもかかる日数も計画の内、どう育てるか考える楽しみも味わえました。長期的な戦略ゲーと言えるのかも。

 

私は初め偏った育て方をしていたので「なんだ楽勝じゃん」と余裕ぶっこいていたのですが、いやあ見事に頭打ちになってしまいました。けれども平均的に育てているとたぶん序盤に苦戦したのではないかなと。最適解に辿りつくまでのバランスもなかなかです。

また、2周目だと強くてニューゲームができるのですが、単純に超強化されるわけではなく敵のHP等も上がっているので、育てば育つほど歯ごたえある戦いが楽しめます。敵の強化条件はちょっと把握しきれていないのですが……おまけキャラをぶっ飛ばした回数とかかな?

何にせよ、コマンド式に頭を使うバトルも魅力の一つです。

 

 

ファンはおなじみゲストキャラ

そして私、そもそもこのゲームはシナリオ担当の「時雨屋本店様をきっかけとしてDLしたのですが。

神出鬼没の“奴”が!いまして!思わずガッツポーズでした!

他のキャラはどれがゲストで誰がこの作品限定キャラなのかちょっと寡聞にも存じ上げないんですが、こういうファンがちょっとにやっとできるキャラがいるのは嬉しいです。

 

 

勇者ではないが主人公、火を吹くシリアス設定

 

序盤はがっつりギャグで落としつつ、途中からシリアスな展開を匂わせてくる感じも絶妙でした。育成ゲーって作業にもなりがちだと思うんですが、合間に気になることが点々と撒かれるので、続きが気になって手が止まらなくなりましたねぇ。

一方、たった一つの謎をひたすら薄めて引き延ばしているような印象もあったので、ここは人によってはマイナスとして挙げられてしまう点かもしれません。

いやーでもやっぱり、この設定燃えるところがあるんですよね! 勇者と魔王に絡むいわば王道とも言える展開を踏まえつつ、ピントが合うのはそのどちらでもない主人公という感じが、こう……素敵です。

起承転結の転に力が入っていた印象でした。

 

 

 

多種多様な本棚

集めた本はきちんと読めるんです! 強化のためのコレクションかと思いきや、まさかの実用性。これさりげないけどめちゃくちゃ嬉しいシステムでした。

本編に関係があってもなくても、この世界を表す雑学みたいなのがわかったり、あるいは作者さんのこだわりが伝わったり、別世界の零れ話が垣間見えたり……。

本棚や書庫があるゲームはいいものです。

 

 

 

と、このように魅力的な点も多々ある一方で、合わないなあと思った点もありました。ここも正直に記載しておきますね。

 

 

 

時事ネタ込みのギャグネタ

ストーリーは序盤から終盤ギリギリまでギャグ展開で猛ダッシュしていきます。が、このギャグがどうにも合いませんでした。

時事ネタ・メタネタががっつり絡むんですが、どうしてもファンタジーな世界観と食い合わせが悪く感じてしまうんですよねぇ。あとネタの鮮度問題も気になりますし、元ネタが印象的すぎるので発言しているキャラが霞んでしまうこともしばしば。

 

 

スキップの意味を成していないマップ

まず、OPスキップや育成イベントの早回しなど、一部の早送り機能がついていること自体は嬉しかったです。二周目スキップが実装されているのといないのとではモチベが段違いですものね。

けれども一点、マップ移動。ここだけは合いませんでした。スキップの時に会話が挟まるので、結局スキップするのも歩くのも体感の手間としては変わらない気がするんですよね。魔法陣さんが別段重要な意味を成すわけでもないのでなおさら……。

あと素朴な疑問なんですが、メイドさん竜騎士がいる部屋は何か特別なイベントが起こる、または起こる予定だったんでしょうか? マップが広くてもシステムとして機能する部屋は少なかったのが惜しかったです。せっかく用語辞典等もあってサブキャラとの会話を促進させるつくりになっているのなら、もうちょっとサブイベントや会話のうまみ、マップ移動のおいしさがあると嬉しかったなー、なんて。

あ、でも、どくろを揃えるとちょっと祝福(?)されるなどの小ネタはとっても面白かったです!この手のがいっぱいあると良かったなあというところ。

 

 

スケッチブックのno image

あともったいないなあと思ったのは、立ち絵が一部no imageの表示になっていること。

立ち絵が無いこと自体は労力を考えると当然だと思うんですが、noimageと出てきてしまうと途端に未完成のような印象がついてしまいます。なので、画像無しのキャラの台詞ではそもそもの画像ウィンドウを消す等されていたら良かったなあと。システム上難しいのかもしれませんが……。

また、二つのウィンドウの見栄えについて。ウィンドウの組み合わせ方が“ただ配置しただけ”っぽく見えてしまうのも惜しかったです。ストーリーが全体的に日記風、一人称語りの形式になっている関係でメッセージウィンドウや立ち絵ウィンドウがノートブック風になっているのだとは思うんですが。枠付けるとか立ち絵だけは背景付けずにそのまま表示するとかメッセージのほうをルーズリーフ風にするとか、もうちょっと切り貼り感を和らげてあったらゲームの雰囲気がより濃くなったんじゃないかなあと思います。

 

 

 

名前決定時にキャラ外見が見られない

 

あと本当些細で恐縮ですが、私はキャラの外見を見ながら名前を決めたい派なので、画面暗転の中で立ち位置もわからないキャラに対して名前決定を求められるのはちょっと困ってしまいました。紹介ページに記載はあるんですけどね。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

惜しい・もったいないと感じさせるところもありつつ、しかしバトルや育成自体は楽しかったです。これから気になるという方にはとりあえずやってみて頂いて、システムが肌に合うようならぜひ最後まで走って欲しい作品です。

 

 

 

追記では自分のプレイログやネタバレ感想など。

 

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フリーゲーム「1000文字勇者」感想

「手を上げろ!でないと死ぬぞ!」

言ってる時点ですでに死んでる前置き。

 

 

えー、今回は時雨屋本店さんところのフリーゲーム1000文字勇者」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

ツクール製ではありますが、戦闘無しの探索ゲー。謎解きというよりは、先に進むためのアイテムを手に入れる手段を先読みしていくというか……ええいやればわかる! さくっと手をつけやすい短編ゲーです。

 

 

 

RPGをお約束をひっくり返す王道システム

 

RPGといえば、住人に話しかけてアイテム回収したり進行フラグを立てたりするのが醍醐味だと思われます。が、この作品はそのシステムをくるっとひっくり返したうえで、お約束通りに進みます。といっても何がなんだかですよね。私もです。

これはゲーム開始数秒の説明書きが非常に秀逸なので、まんま引用しますが、

 

「ちなみに、あなたは1000文字読むと爆発します」

 

この発想力たるや、さすがの一言です。

人から話を聞いて進むというRPGのお約束をぶち破る発想がまず面白い。しかし、話しかけないと進めないというこのジレンマも気持ちいい。

ある意味覚えゲーではありますが、ヒントも簡潔でわかりやすいしやり直しも速攻なので、トライ&エラーが楽しい一作です。

 

 

 

つい話しかけたくなるセンス

 

わかっていても話しかけたくなってしまうテキストがふんだんに含まれているのもずるいところなんですよねぇ! 爆発するだろうという予感とともに爆死しに行くことほど楽しいものはないと思います。

なんというか、勢いで殺すタイプと不意に笑わせてくるタイプのテキストが織り交ぜられていたので、不覚にもぶっはぁと吹き出すことが多くて負けました。木曜日ずるいわー好きだわー。

また、「こうするとどうなるんだろう」という好奇心にどこまでも答えてくれる細かいつくりもされています。

おまけモードは特に楽しかったですねぇ。小ネタを拾えた時が嬉しかったですし、そこまで凝ってくれていることも嬉しかったです。

 

 

 

ゆるかわいい顔グラとキュートなオチ

 

どのキャラにもゆるかわな顔グラがついていて、それがくるくる変わってくれるのもとってもキュートでした。あのゴースト絶対忘れねぇぞ。さりげなくコミカルな動きをしてくれるところもキュートです。

案の定例のキャラにやられました。ウィンクとあのなんとも言えない間がかわいい!

そんなわけでエンドもあれを選んだんですが、あのオチとゆるすぎる神様が大好きです。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

さくっと楽しいゲームをやりたい方にオススメです。

 

追記ではほんのりネタバレな小ネタなど。

 

 

 

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フリーゲーム「斬首人が連れて行く」感想

「トップはたいてい無能なものだ」

ふんぞり返ってさえいれば良い前置き。

 

 

 

えー、今回は、*coelacanth*さんところのフリーゲーム斬首人が連れて行く」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

公式サイト、ゲーム本体共に18禁ですのでご注意ください。

 

概要としては洋館が舞台のR-18BLノベルゲー、エログロ鬱展開ありです。やったね。

攻略面は難易度高めですが、完全ルート分岐を載せて下さっているサイトも多いので詰まることはないかと思います。

 

あと、この記事を書いていた時期が例の如くかなり昔なので、アップした現在はサイト閉鎖&配布停止しております……。ご了承のうえご覧ください。

 

というわけでさっそく特徴的な点など。

 

 

 

ミステリ要素も持ち合わせるストーリー

 

主人公が常に感じる謎の視線、隔離されている兄との確執、館に隠された秘密等々。陰鬱な雰囲気に潜む様々な謎が気になって、ぐいぐいと読ませられるストーリーでした。バッドエンド分岐が多いぶん、あの惨劇の謎を解き明かしたいという気持ちが掻き立てられます。伏線の入れ方もさりげなく、特に回答編とも言えるEND1ルートはあっと驚かされる展開でした。

周囲との不和でぎこちない雰囲気や、それでも館に留まり当主とならねばならないという閉鎖感も魅力的です。いいですよねぇ、鬱々とした箱庭世界って。

どのエンドでも円満解決とはいかずどこか不穏さが残るのも、鬱展開好きとしては涎ものです。キャラ萌えだけでなく、一つの物語としても楽しめました。

 

 

 

過激なエログロシーン

 

さすが年齢制限がついているだけあってエロもグロも行為自体は過激なものが多いです。グロありだからこそできるコアな展開や、ニッチな性癖が満たされるシチュエーションがたくさんあって、大変潤いました。

と、過激と書いて逃げ腰になられてしまうのは本意でないので追記しておくと、描写自体はあっさり味です。グラフィックも流血表現があるくらいで、いわゆる局部やモツが出てくることはありません。なので耐性があるけど生々しいのは苦手……という方でも大丈夫なんじゃないかなあと思います。

 

 

 

オーディオ無し

 

こちらは惜しい点になりますが、BGMやSEが一切ありません。盛り上がるシーンや擬音の描写等もあることですし、せっかくなら音面の演出も楽しみたかったというのが本音です。

とはいえ、そういった聴覚演出がなくてもなおプレイしたい、全クリしたいと思わされるだけの構成力があるのは確かです。それこそノベルゲーですし、メインの文章ががっつりと楽しめるので、気にならない人は全く気にならないところかなとも思います。なんならこっちでクラシックでも流していれば雰囲気に合いそうですしね。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

一部不明瞭なまま終わる設定等もありはしますが、そちらについては別作品「獄主に捧げる降霊術」で回収されるようです。勿論この作品単品でも本筋は完結しているので、あくまでスピンオフ程度に捉えておくと良いかもしれません。

というわけでそっちもプレイしてきます。

 

 

 

ネタバレ込みの感想は追記から。気になる方は下記よりどうぞ。

 

 

 

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フリゲサイト「冬色と夜気」短編ノベル作品感想

「もの悲しさは慰めに繋がってくれるのです」
そう嫌わないであげてほしい前置き。

 

えー、今回は、冬色と夜気さんところのフリーゲームをいくつか取り上げて、感想をつらつら書こうと思います。
取り上げるのは、「落日」「雨」「燈火」「小夜曲」「Taupe」です。どれも関連性はなく、単品で楽しめます。また、それぞれ30分もかからない短編の恋愛ノベルゲームです。

 

 

落日

国と愛する人、どっちを選ぶかの話。初めはキャラや国々が多数出てきて、慣れていないせいか戸惑いましたが、最終的にはわかりやすくまとまっている印象でした。
立ち絵が可愛いのも魅力です。そして、どの展開も大団円とはいかず、必ず何かを失わなければいけません。この具合が切なく、もっと言うと鬱展開で、非常に好みです。
狂王のエンドがお気に入りでした。

 

 

タイトル通り、ほの暗くメランコリーな話。
キャラの設定が初めは唐突に感じられもしてしまいましたが、気づけば雰囲気に入り込んでいた作品です。
友達との会話のシーンがかなり心にぐさっときて、響きました。本当、ぎこちない空気の時って、お互いいくじなしで嫌になっちゃいますね。

 

 

燈火

異端の娘が軟禁から一歩踏み出す話。ヒロインこと蛍火の心情が痛いほど伝わってくるので、感情移入もしやすかったです。
一緒にいてエンドが好きです。後悔しつつ二人でいるっていうのが、切ないながらも萌えるんです。とはいえもう一方のエンドも、美しい展開でした。蛍火の表情が増えていくのがまた、ぐっときます。
色々と設定があったのですが、短編だったためなぞる程度に収められてしまったのがもったいないかなと思いはしました。(現在は見れない?ようですが)公式のブログを拝見したところ、設定もしっかり練られているようで、興味深かったり。

 

 

小夜曲

女学生の悩みの話。
前3作と比べるとこれが一番ハッピーな展開、のはずなのですが。泣いてしまいました。共感できるエピソードが多々あるせいですかね。

親にはちょっと冷たい態度を取ってしまうとか、友人の会話に入れない微妙な空気とか。主人公もその友達も、互いに悪いところがあるのもまた、やるせない感じでした。女学生あるあるってやつですね。


私も愛音みたいに、例えやつ当たりちっくでも本音をぶつけていれば、友人関係が違っていたのかなあなんて。大学生の視点があるのもまた、共感でした。果たしてこう今の一人上手な私は当時の彼らにどう見られているのやら。


主人公の今後をこちらの想像に任せてくれているのも個人的にはちょうど良い具合だと思いました。あれで、何もかも上手く行きましたとなると、それはそれでちょっと都合が良いなあなんて考えてしまうややこしい人間なので……。どう転ぶかわからないくらいが好きです。

 

 

Taupe

吸血鬼と死にかけ少女の話。
トゥルーエンドっぽいルートだとちょっと色んな面で心変りが急すぎてついていけなかったかな……展開は鬱で好きですが。

最短ルートの殺戮エンドのあっけなさがツボでした。あの墓にはああいう形で終わった子達もいるんだろうなあ。

 

 

 


とまあ、こんな感じで。
どれもさくっとプレイできるので、ちょっとでも気になった作品があれば、DLをオススメします。心にじんわりと残る作品が多いと思いますので。

 

 

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