「まおうの ふっかつは しっぱい して しまった !」
パルプンテもこうかがないようだな前置き。
えー、今回は魔王育成計画製作委員会さんところのフリーゲーム「魔王育成計画」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
ゲームジャンルはまさにタイトル通り、ロリorショタ化した魔王の育成ゲーです。プレイ時間は数時間ほどなので、一応短編に当たるかな。エンドは私の見たところ2種類で、分岐条件もシンプルです。
というわけでさっそく魅力的な点など。
選んだ性別によって変わるキャラデザ
主人公と魔王は男女・女男のどちらかのペアを選択できます。何よりもここが嬉しかった!育成ゲーで男女選べれるのって良いですよね……!
キャラデザも単純に性別が変わるだけでなくて、小物や角耳の有る無しなどあちこちに違いがあるので、2ペアでガラッと雰囲気が変わります。角があるのは男性だけっていう世界観なのかな? あるいは生えてても帽子で隠れてるのかもしれませんが。
ともあれ、男主人公の外見がめっちゃ好みでした! 敬語で私一人称なのにああいうちょっと好戦的っぽいポージングで接近戦しそうな、その、そういうのに弱いんです。伝わってくれ!
エピソードの一部が性別によって分岐するようなので、2周目は選んでいない方でやってみてほしいなーと思ったり。
パステルかわいい色味のドット絵
また、ドットの歩行グラフィックがどの子もすっごく可愛いです。パステルでいいのかな、こういうほんわかしたカラー好きなんですよね。等身高めなのもグッド。
ここでキャラデザの話に戻ってしまいますが、キャラを動かすとアシンメトリーなデザインがさらに生きるんですよね。左右どっち向いても違う味があるっていう。好きです。
戦略と育成方針が鍵を握るバトル
私はこのゲームをするまで育成ゲーってキャライベントや恋愛に力を入れるものだと思っていたんですが、こちらは戦闘システムもがっつり面白かったです。さすが魔王を育てているだけはあるなあと思いました。戦うために育てているというか。ここをストーリーの本題と絡めて考えるとまた面白いんですよねぇ。
ターン制で、魔法の溜めが鍵となるので一つ一つの行動にどれもがカギになります。また、スキルを覚えるためにもかかる日数も計画の内、どう育てるか考える楽しみも味わえました。長期的な戦略ゲーと言えるのかも。
私は初め偏った育て方をしていたので「なんだ楽勝じゃん」と余裕ぶっこいていたのですが、いやあ見事に頭打ちになってしまいました。けれども平均的に育てているとたぶん序盤に苦戦したのではないかなと。最適解に辿りつくまでのバランスもなかなかです。
また、2周目だと強くてニューゲームができるのですが、単純に超強化されるわけではなく敵のHP等も上がっているので、育てば育つほど歯ごたえある戦いが楽しめます。敵の強化条件はちょっと把握しきれていないのですが……おまけキャラをぶっ飛ばした回数とかかな?
何にせよ、コマンド式に頭を使うバトルも魅力の一つです。
ファンはおなじみゲストキャラ
そして私、そもそもこのゲームはシナリオ担当の「時雨屋本店」様をきっかけとしてDLしたのですが。
神出鬼没の“奴”が!いまして!思わずガッツポーズでした!
他のキャラはどれがゲストで誰がこの作品限定キャラなのかちょっと寡聞にも存じ上げないんですが、こういうファンがちょっとにやっとできるキャラがいるのは嬉しいです。
勇者ではないが主人公、火を吹くシリアス設定
序盤はがっつりギャグで落としつつ、途中からシリアスな展開を匂わせてくる感じも絶妙でした。育成ゲーって作業にもなりがちだと思うんですが、合間に気になることが点々と撒かれるので、続きが気になって手が止まらなくなりましたねぇ。
一方、たった一つの謎をひたすら薄めて引き延ばしているような印象もあったので、ここは人によってはマイナスとして挙げられてしまう点かもしれません。
いやーでもやっぱり、この設定燃えるところがあるんですよね! 勇者と魔王に絡むいわば王道とも言える展開を踏まえつつ、ピントが合うのはそのどちらでもない主人公という感じが、こう……素敵です。
起承転結の転に力が入っていた印象でした。
多種多様な本棚
集めた本はきちんと読めるんです! 強化のためのコレクションかと思いきや、まさかの実用性。これさりげないけどめちゃくちゃ嬉しいシステムでした。
本編に関係があってもなくても、この世界を表す雑学みたいなのがわかったり、あるいは作者さんのこだわりが伝わったり、別世界の零れ話が垣間見えたり……。
本棚や書庫があるゲームはいいものです。
と、このように魅力的な点も多々ある一方で、合わないなあと思った点もありました。ここも正直に記載しておきますね。
時事ネタ込みのギャグネタ
ストーリーは序盤から終盤ギリギリまでギャグ展開で猛ダッシュしていきます。が、このギャグがどうにも合いませんでした。
時事ネタ・メタネタががっつり絡むんですが、どうしてもファンタジーな世界観と食い合わせが悪く感じてしまうんですよねぇ。あとネタの鮮度問題も気になりますし、元ネタが印象的すぎるので発言しているキャラが霞んでしまうこともしばしば。
スキップの意味を成していないマップ
まず、OPスキップや育成イベントの早回しなど、一部の早送り機能がついていること自体は嬉しかったです。二周目スキップが実装されているのといないのとではモチベが段違いですものね。
けれども一点、マップ移動。ここだけは合いませんでした。スキップの時に会話が挟まるので、結局スキップするのも歩くのも体感の手間としては変わらない気がするんですよね。魔法陣さんが別段重要な意味を成すわけでもないのでなおさら……。
あと素朴な疑問なんですが、メイドさんや竜騎士がいる部屋は何か特別なイベントが起こる、または起こる予定だったんでしょうか? マップが広くてもシステムとして機能する部屋は少なかったのが惜しかったです。せっかく用語辞典等もあってサブキャラとの会話を促進させるつくりになっているのなら、もうちょっとサブイベントや会話のうまみ、マップ移動のおいしさがあると嬉しかったなー、なんて。
あ、でも、どくろを揃えるとちょっと祝福(?)されるなどの小ネタはとっても面白かったです!この手のがいっぱいあると良かったなあというところ。
スケッチブックのno image
あともったいないなあと思ったのは、立ち絵が一部no imageの表示になっていること。
立ち絵が無いこと自体は労力を考えると当然だと思うんですが、noimageと出てきてしまうと途端に未完成のような印象がついてしまいます。なので、画像無しのキャラの台詞ではそもそもの画像ウィンドウを消す等されていたら良かったなあと。システム上難しいのかもしれませんが……。
また、二つのウィンドウの見栄えについて。ウィンドウの組み合わせ方が“ただ配置しただけ”っぽく見えてしまうのも惜しかったです。ストーリーが全体的に日記風、一人称語りの形式になっている関係でメッセージウィンドウや立ち絵ウィンドウがノートブック風になっているのだとは思うんですが。枠付けるとか立ち絵だけは背景付けずにそのまま表示するとかメッセージのほうをルーズリーフ風にするとか、もうちょっと切り貼り感を和らげてあったらゲームの雰囲気がより濃くなったんじゃないかなあと思います。
名前決定時にキャラ外見が見られない
あと本当些細で恐縮ですが、私はキャラの外見を見ながら名前を決めたい派なので、画面暗転の中で立ち位置もわからないキャラに対して名前決定を求められるのはちょっと困ってしまいました。紹介ページに記載はあるんですけどね。
とまあ、こんな感じで。
惜しい・もったいないと感じさせるところもありつつ、しかしバトルや育成自体は楽しかったです。これから気になるという方にはとりあえずやってみて頂いて、システムが肌に合うようならぜひ最後まで走って欲しい作品です。
追記では自分のプレイログやネタバレ感想など。
シナリオ他担当者様の他フリーゲーム感想記事↓
shiki3.hatenablog.com
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