「狙ってできた人気者は鼻つまみ者と相違ない」
やっぱ自然体が一番な前置き。
えー、今回はリンネ堂さんところのフリーゲーム「獄都事変」の感想を、書くはずでしたが趣向を変えて、獄都を踏まえたうえで色々考えたことをつらつら書きますね。
ネタバレを一部含みますが獄都語りが主眼ではない、かもしれない感じです。
ふわふわだな!
純粋に感想が読みたい方はこちら
前書き
さんざ噂になりメディアミックスになりと話題の有名作、今更ながらプレイしました。いつも通り感想文書こうと思ったんですが、「どうしてここまで有名になったのか」が気になってまとめ始めたら作品の感想ほとんど書いてなかったので、感想はまあ例の如く1年後くらいに別記事にまとめるとして。
今回は人気の理由について注目しようと思います。
でもこれ書いてる人はマーケティングとか全然齧って無いしそもそも最新フリゲにほぼほぼ触れていないので、あちこち雑なのは許してほしい……そもそもこれもすでに語り尽くされたところではある気もする!
で、前提として私は獄都を無難に楽しんだ人間なので、獄都めちゃくちゃ好き愛してるフリゲでナンバーワンってご意見の方から見ると、ちょっと不快な書き方をしているかもしれません。
……というかホラーフリゲに喧嘩を売っていると思われてしまうかもしれない懸念。
ホラーじゃないのもホラーもまんべんなく楽しんでる身ですとだけ先に自己紹介しておきます。
最強の万人向け
ともあれ。
結論書くと、獄都事変がここまで人気になった理由は、
「キャラとストーリーが万人受けしやすい」
だよなあと思います。当たり前って強い。
キャラは癖がありすぎるだろというお声、わかります。平腹はダークホースだよね。
でも個性と万人向けは共存できるはずなんです。
まず、人気の出るフリゲって分けるとこんな感じかなあと思っていて。
二次やメディアミックスが盛り上がるタイプ
(短編、ホラー、実況)
古き良き大御所タイプ
(長編、硬派、実プレイ)
尖った味で根強いファンを獲得してるタイプ
(前世覚醒せよ、クソッタレー、喋るReadme)
獄都は断然二次タイプですよね。
中でも特に獄都は、一緒に楽しむというより作品を土壌にして自力で想像して楽しむやり方が好きな人に向いているゲームというか。作品本体にどっぷり熱と圧があるようなものではなくて、あっさり味の本作を履修したうえでその周りの界隈で盛り上がるタイプだと推測しています。
なので、まずはなぜ二次でここまで盛り上がれたのか、から書こうかな。
獄都が持ってる人気要素として最も強いのは、
「キャラ萌えをするにあたって本編中の障害が欠片もない」
ところだと思います。
というより、あの作品はキャラ紹介導入編であってマイナス要素を抱けるほどの描写は本編にない、と書く方が良いのかなあ。
感覚としてはTRPGセッションのキャンペーン第一幕ですよ。わからない? 私にはわかる。もっと言うと、本編やるだけでだいたいこのキャラはこういう性格付けでこういう喋り方するんだなっていうのが掴めるのが強いなと思います。
キャラクターがストーリーやシーンに振り回されていないのもポイントですよね。
獄都本編のストーリーは明らかにホラーという名の感動路線、お化けものによくある王道。でも例えば、ラストで斬島がうだうだ長ったらしく躊躇ったり無闇に感動的なモノローグを入れたりはしない。ここ。ここめちゃくちゃ強い要素だと思います。ここしっかりできてるだけで覇権握れる。実際握ってる。
あるじゃないですか、「このキャラなんで唐突に出てきたの」とか「いつのまに君たち仲良くなったの」とか「キミ前と言っとること違うやないか」とかうんぬんかんぬん。お涙頂戴やCP要素、ストーリーの盛り上げのためにキャラが犠牲になるようなアレ。キャラがそのキャラらしくない動きをする展開。
それが無いってだけでね、もうね、強い!
ついでに書くと獄都って、主人公は獄卒ですがスポットの当たる主役は別なので、本編中はあんまり獄卒たちのキャラ性や過去云々を深く考えずに済むんですよね。
獄卒同士の関係はすでにできてて、急にすちゃらかなことを言いだそうがそれはキャラの自己紹介であって、ツッコミを入れるほどこちらは彼らに感情移入できていない。だから「なんでこう動くのか」っていうストレスも感じない。
つまり、個性は感じるしそこに我々プレイヤーの好き嫌いは発生するとしても、キャラを解するうえでの工程は万人向けなんですよ。だから、癖のあるキャラを万人向けに紹介している、と言いたい。伝わってくれ。
導入部分ゆえのあっさり味が、転じて妄想しやすい環境になり、本編で語り過ぎないぶん二次創作する隙もある。舞台設定や世界観はほどよく固められ、和洋折衷は多少ゆるいというおまけつき。
こういうライトさが高じて爆発的に大人気になったんだろうなあと想像しています。
ついでに書くと、
- キャラのイメージカラーができていて推しの主張がしやすい
- 台詞のほとんどがキャラ同士の絡みorキャラ属性の紹介代わりの短文
- イケメンばかり
- 極端な性格で描き分けやすい
辺りも二次が盛り上がる土壌として盤石だなと思います。
フリゲというよりはソシャゲタイプの盛り上がりをしている気もするなあと世迷言。
逆算で考える
んでまあ、フリーホラゲをちまちま嗜んでると、二次盛り上がりのタイプを狙って大暴投事故起こしてる作品もあるなあと感じるので、そこについても。
公式ブログや私信SNSやDLサイトの紹介文で、
実況で知名度を上げる→イラストやボイスをバンバン貰う→大人気!
みたいな狙いが見てとれてちょっとこちらが引いちゃうような作者方も正直いらっしゃったりするんですが、そういった方々の作品ってほとんど「キャラがシーンに振り回されてる」か「キャラ同士の関係性がさっぱり見えてこない」なんですよね。知らない間に誰かが誰かに惚れてたり、伏線なしで過去話がぶちこまれたり。
ここらから逆算すると、獄都の人気の理由は自然と知れるなあと……
……思ったんですけどこの手の作品も少なくとも一定数の人気は確保できてるらしく。
そういう作品はすごく単純に考えて、キャラよりも世界観や設定重視で二次創作してる層が強いのかなあ。キャラがシーンに振り回されてるってことは、キャラを犠牲にしても演出を優先させているってことですもんね。感動って勢いなところもあるし。
脱線しかけたので戻すと、この点、獄都は世界観の要素も手堅いんですよ。
わかりやすいのは制服と名前の統一感。他、セリフ等で説明はないにせよ、佐疫と田噛が交代することで助角さんの部屋に見張りが一人つくようになっていることがわかる動き。死んでも死なない(やりたい放題できる)設定、等々。
この辺りの設定ってそれだけで萌えるところありますよね。よね? 不死設定ばんざーい。
というわけで、ストーリーはあっさり味でも世界観に惚れこんで二次してる人も居はしそうだなあと思います。
すごい、珍しくまとまった長い文章を書こうと思い立ったのに何一つまとまっていない。
長々書いたけど結局のところ、
- 人気の理由は(なんとなく)わかる
- でもキャラで推そうとしてるのにシーンが勝ってしまってちぐはぐになってる作品も多いから獄都の形式を狙ってやろうとすると逆に失敗すると思われる
- 癖のあるキャラや展開も万人向けにはできる(ただし表現における万人向けとはとても狭い範囲なので、作者がその枠内で満足できるかどうかは別)
- 構図としてはフリゲ的盛り上がりというよりソシャゲ的盛り上がり
辺りがうっすら見えてくるまとめなんだと思います。おわり!