「みんなわるい、でも、しかたない」
割り切れればいいのにな前置き。
えー、今回は風の殺意製作委員会さんところのフリーゲーム「風の殺意」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
ジャンルは、ドロドロ恋愛のサスペンス選択肢式ノベルです。うっすらホラー・流血描写も含まれます。基本的に後味の悪いエンドばかりです。そうです、鬱展開です。万歳。
ではさっそく、例のごとく、魅力的だった点から挙げていきましょう。
しこりを残すエンド
ごく一部にはっちゃけたエンドもありますが、基本は前述の通り、バッドエンドが多いです。エンド数は21とかなり多め。中には使い回しっぽいエンドもあるので、そこだけは気になるものの、よくここまで多彩な絶望を思いつくなあとしみじみ感心させられます。
初めに辿りついたのは、左側の上から8番目のエンド(名前バレ防止のためALBUMページ参照)でした。そのせいか一番印象に残っています。いやあだって、ねえ。綺麗なスチルも相まって、呆然としてしまいました。
右側の上から8番目の方のエンドも好きですね。錯誤依存どきどき。その後が特に気になったエンドかもしれません。
絶望感、鬱展開でいうなら、右側の上から7番目かなあ。ぞくぞくしました。もともとあったものが無くなるのは本当、恐ろしいですね。
右側の一番下にあるエンドについては、あっさりすぎて逆に笑ってしまうしかありませんでした。いやー、皮肉だなあ。
ドロドロと真相を明かしていくキャラ視点
普段はヒロイン涼子視点で進むんですが、キャラの好感度が上がると、物語の途中でそのキャラ視点のお話が開放されます。このお話がまた良いんですよ、もう。意外な思惑とか、事件の起こる中、それぞれがどんな想いで動いていたのかとかが、情感たっぷりに語られます。素敵。
翔シナリオがお気に入りかなー。ああいう、言葉は悪いけどピエロ役はたまりませんね。
あっでもキャラの独白としてならさやかさんが好きです。彼女のシナリオ読んで、一気にリアル私の好感度が上がりました。
絡み合う思惑
上記と被るところもありますが、それぞれの行動が絡み合って大事件になるこの辺りが面白いです。まさにドロドロ。明確に、お前だけが悪い、みたいなのが無いのがこの物語の魅力だよなあと思ったり。
皆、それぞれ悪かったところがあって、そのせいであの惨劇になっているんですよね。でも、それは仕方ない、同情できる面もあって、完全に悪と言い切れない。このやりきれなさがたまりません。上手く出来た後味の悪さだと思います。素敵です。
美しいスチル
ややリアル目のイラストで、各エンドに一枚ずつスチルがついています。つい見惚れてしまいました。立ち絵はあまり慣れていないのか、少し変わって見えますが、スチルはとても綺麗です。
キャラとしては悠吾が好きなので、けっこう立ち絵が豊富で嬉しかったですねぇ。
合わなかった点
逆にちょっと気になったのは、
あからさますぎる文章
事件が起こるので、謎もあるわけなんですが、この謎の答えみたいなものがちょっとあからさまだったかなと思います。こう、「ここ伏線ですよー」って感じで入り込んでくるので、それだけひっかかりました。
曲のチープさ
音楽の選出と音量調節がちょっとだけ気になりました。ロックな感じの曲が耳に痛くて……。
選択肢
けっこう正否がわかりづらいので、コンプには苦労するかもです。私は公式と合わせて、攻略サイトさんを参考にさせてもらいました……。ノーヒントだとかなり手ごわそう。選択肢も多いため、周回プレイに疲れてしまったところもありますねぇ。
とまあ、こんな感じで。
暗くドロドロとした話を読みたい方、心理描写が好きな方、謎が明らかにされるカタルシスを味わいたい方、などなどにオススメの一作でした。