「燃やしつくして果ててしまって」
穏やかには愛し合えない前置き。
えー、今回は冬のいもうとさんところのフリーゲーム「SALAMANDER」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
人型人外バトルがメインの全年齢BLノベル。ヤンデレいます。やったね。
というわけでさっそく魅力的な点についてあげていきましょう。
圧倒的な筆力!
何よりもまずここです。
日常学園パートは軽快な文体で、シリアスパートは勢いよく時に重厚に。少年漫画的なバトルシーンも光景が目に浮かぶようで、実に燃え上がりました。また、(主にお兄ちゃんのせいで)下ネタトークが飛び交うところも見逃せません。
この台詞はこの人にしか書けまい、と思わされるようなオンリーワンの台詞回しも多くあり、読んでて脳汁出そうでした。うへへ。
ポリシーを持ったぶっ飛び戦闘狂
同作者様の他作でも感じたことですが、メインキャラからサブキャラの末端まで、誰もが個性を光らせているのも魅力の一つです。
展開は少年漫画バトルに近いので、敵キャラがわんさか出てくるわけですが……一途な女装ヤンデレ、武士道仮面、相性抜群SMコンビなどなど、とても忘れられないキャラばかりです。特に蛇蜂はお好きな人多そうだなあという印象。
中でも私はレニエさんが大好きなんですよ!敬語で話せるチンピラ!素晴らしすぎますか!
メインの攻略対象のみならず、あらゆるキャラがドラマを奏で、噛み合い、最後に向けて熱く盛り上げてくれる様が素敵でした。
ルートに入った後も深く絡み続ける攻略対象達
一応各キャラごとにグッドエンドとバッドエンドがありはするのですが、個人的には、誰かのグッドエンドが他キャラのバッドエンドにもなっているような印象を受けました。
それが悪いという訳じゃなくてむしろ、とても好みでして。他ルートでもしっかりと攻略対象が絡み、主人公への想いを忘れず病んだり飛んだり身をひいたりする面まで書ききってくれるのは貴重だなあと思いました。
円満解決と言い難いエンドも多いですが、そのぶん、ほろ苦い切なさとそれでも愛を選ぶ熱さを味わえるかと思います。全体的にキャラ達も男らしくふっきれてくれているので、読後感は爽やかですしね!
とまあ、こんな感じで。
ヤンデレあり、執着あり、それでもどこか潔い印象の一作でした。厨二バトルが好き、人外萌え、ヤンデレ万歳、そんなあなたにオススメします。
ネタバレ込みの各ルート感想は追記にて。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
ネタバレ注意。
カップリング要素強めの感想になっているのでご注意ください。
・主人公
料理上手で世話焼きでウェディングドレス着て、という典型的な女形総受け主人公。なのですが、七里ルートやバルドルートで見せるふっきれ具合や決意した後の潔さはむしろ攻め様の貫録を感じます。
・久藤兄
わぁいお兄ちゃん大好き。
しょっちゅうぶちかまして下さる素敵な名言の数々が忘れられません。ヤンデレ闇堕ち等々、暴れまくってくれたのも見ていて楽しかったです。彼のルートで見れる甘やかしっぷりを見ているとなおさら。他キャラルートでの無念が忍ばれてなりません。
・七里
まさかの幼児退行に立ちあがってガッツポーズを決めました。
いっぺんこれを見た後だと他ルートでの七里がなんというか、一生懸命頑張ってるんだなあと思われて、ついつい子を見守る親のような気持ちになってしまいます。はっはっは。
プンプクプーにはやられました。あのシーン一推しです。
・バルド
一目見たときから彼は女王様受けだ!と思っていたので、ジキスムントにあんなお誘いをかけてくれたことに感動しました。どんな相手に対してもベッドの中で攻守交代を繰り返して欲しいなあと思います。
・ジキスムント
報われない、からこそ良い。悪徳の街という武器名も滾るものを感じます。
・ロザリンド
一推しです。知将が肉弾戦をするというピンポイントなツボを押してくれたうえにあの堪え切れない感情の吐露、そして誰よりも男前なその振る舞い。大好きです。
各エンドとしては、「七里と兄」「兄とバルド」「バルドと七里」で片方の恋が実れば片方が報われず、みたいな三角形を作っていたように思います。まさにプロローグ通りの構図ですねぇ。
印象深かったのはバルドグッドエンドかな。
まず、悪人のみを食べるというのと、指輪で定められている者のみを食べるというのに、そこまで違いがあるようには思えないんですよね。線引きの違いはあれど、食べる側が身勝手に裁定しているのは一緒ですし。たぶん、ゲーム開始時の主人公はこのルートに入った自分のことをかなり嫌悪するんじゃないかな。
そしてそう考えるからこそ、あの主人公が鬼として堕ちるという重大さが感じられるのかなーとも思います。七里が止めるのもよくわかる。切ない!でも本人(本鬼?)たち幸せそう!たまらん!
こういう傍から見るとバッドだけど当人は楽しそうな展開大好きです。
タイトル通り、まさに熱い一作でした!