「低俗と高尚を切り分けなければ気が済まないというのなら」
極論人体を真っ二つにせねばならない前置き。
えー、今回はコンニャクさんところのフリーゲームの感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
フリゲはDLで取っておきたい派の自分ですが、珍しく今回はブラゲ多めの作者様に手を付けて見ました。DLプレイのものはタイトル横に添え書きしておきますね。
いやー、どの作品も良質なSSなんですよ。オチの見せ方が上手くって、思わずもう一回開き直したくなる感じ。立ち絵はフリー素材使用がほとんどですが、そのぶんシスグラ含めて作品の雰囲気に合わせて選出されています。
基本的にはどれも数分で終わる、一本道ノベルゲーム。相互に関係性はありません。
で、その、当ブログ恒例のプレイ時期と記事公開タイミングがずれている関係で現在は入手不可能なものが多いです。ご了承ください。
- 『斬奸修羅界トウキョウ』(DL)
- 『比良坂とおりゃんせ』
- 『ホワイトホワイトデー』
- 『雨色殺人鬼考』
- 『書割倒し』
- 『古狼駆ける』
- 『マジック・ショウ』
- 『フィギュリンの街』
- 『プロダクトキーの魂』
- 『どーなってるのワールド』
- 『人斬り茨姫』(DL)
- 『眩い陽が昇る前に』
- 『キストレシスター』
- 『乳牛になった俺は妹達から搾り取られるしかない。』
- 『ローターローション』
- 『囚われのアリス』(DL)
- 『義姉坐薬恥療』
- 『有修正ホワイトロリィタ』(DL)
『斬奸修羅界トウキョウ』(DL)
[概要]
第三次世界大戦により、姿を変えた廃都東京。復讐剣劇。本作は比較的長め、一本道でだいたい30分強くらい。
[感想]
世界観がもうね、好きなんですよね。
フィクションで東京滅ぼすの、みんな好きでしょ? 過言です。
ともあれ、殺伐とした世界観で復讐鬼があくまで冷静に炎を燃やす、この雰囲気が素晴らしかったです。ダークヒーローのライトノベルとか好きな方はガチっと好みに合うんじゃないかなあ。どこまでも続いていきそうなオチも、連載前提の第一巻な趣です。
この短さの中にあっと驚く展開も二つ三つ仕込まれていて、起承転結としても抜群のクオリティ。
舞台を未来としながらも、宮本武蔵や和泉守兼定などの歴史的な刀を踏まえたうえでの技術が語られているところもまた、かなり興味深い作りでした。
ざっくり書けば温故知新、研ぎ澄まされた刀。そんな感じ。
[グラフィック・演出]
まず立ち絵から。チドリだけ洋風のお嬢様な装いで、廃墟と塩柱の並ぶ世界観からすると浮いています。が、だからこそ好きです。おそらくはチドリ立ち絵だけ別作者様のグラと見受けられるんですが、この浮いた感じが逆に超人感を出していて、すごく良いチョイスでした。
廃墟、遺骨、塩など、けぶる白を思い浮かばせる背景の中で、主人公が白髪立ち絵なのもすごく好きです。あの世界観に溶け込んで、あの生き方が身に馴染んでいく感じ……。
演出面で特筆したいのは、BGM。
終盤のBGMの使い方めちゃくちゃ良かったですね!!
例の斬り合いに至るシーンのあれ。ピリッと変わる空気が肌身に感じられてすごい好きでした。
その他、立ち絵だけをぱっと浮かばせたり、剣閃を挟んだり、さりげなく溜めて盛り上げてくれる演出が多かったように思います。テンポを重視して、読み手が物語のテンポに乗れるように細かく調整してくれている感じ。バトル描写ってやっぱり息遣いが大切だと思うので、こうやって後押ししてくれる演出はとても素敵でした。
この演出力に気付いたのも、読み終えてこうやって振り返ってみてからなので、いかに自然体だったかが伺えます。
[一言]
静かに熱い想いが込められたお話。
『比良坂とおりゃんせ』
[概要]
ホラー、一本道、お家へ帰りたい女の子。数分一本道。
[感想]
ぎょっと驚かせる恐さと、じわっと忍び寄る怖さ。両方感じられる短編でした。
タイトル画面の使い方が秀逸ですよね!
短い中でも、あの駅での会話のシーンは、とてもナチュラルな空気感の中で明らかな異常がいくつも零れ落ちてきてゾゾゾゾっとしました。よき。
[一言]
お手軽ホラー体験をしたいあなたに。
『ホワイトホワイトデー』
[概要]
先輩からのお返しクッキーを何がなんでも受け取りたい! コメディ? 数分一本道。
[感想]
あの短い掛け合いの中で兄のキャラが強烈過ぎませんか?いい意味で。
原典の英語版の翻訳の下りものすごく独特で、「あっやっぱりこの作者様なんか他とは違うもの持ってるな?」と思わずふむふむしてしまいました。
周到な先輩も惚れちゃうし、雪がぴったりなあのオチもお見事。
[一言]
明るい雰囲気で、おお、と感嘆したい方向け。
『雨色殺人鬼考』
[概要]
黒髪ロングの先輩と、雨の中で不穏な話。ホラー。数分一本道。
[感想]
素手で人を殺すためにはどうすればよいか? という講義と共に、巷で起こる殺人事件について語り合うお話。こういうミステリアスな雰囲気の女性先輩、ツボな人多いですよね。
終盤でポンポンポンと、まさに雨粒の様に勢いよく諸々が明かされていくスピード感もすごかったです。考えようと思えばどうとでも考察できそうですが、明らかに方向性が定められているので、言わぬが花のようにも感じますね。表面上は穏便に終わるところがまた……いやあ、まさにホラーでした。
[一言]
ふとした恐怖を感じられるホラー。
『書割倒し』
[概要]
和風、衝撃展開。数分一本道。
[感想]
いや、すごかった……凄かったですね……!!
これ熱く語りたいけど何一つ語れないタイプの話ですごくもどかしい、好きです。絶対刺さる人がいて絶対好きな人がいるけど何一つ語れないタイプの話です。ここまで書いたら伝わるかな! 何一つ伝わらないな!
いやー、序と終の繋がり方も、グラフィックの演出も、全てが痺れました。この短さで、これだけの世界観と説得力を持って貫いてくれる作品はそうそうないと思います。感服!
[一言]
あっと気づいた時にはすべて持って行かれている作品。
『古狼駆ける』
[概要]
人は何を神と崇めるか? 会話劇。一本道数分。
[感想]
言い回しがすごく好きなんですよね……! 論というか、人間観というか。ヒヨコは孵らないくだりや、「生きていないものには優しい」、畏敬の対象がもっと良い何かに更新されたと語る姿。縋る態度が一切なく、あくまで“上から”語ってくれるところも大好きです。
印象的な擬音を繰り返して、呪文みたいな雰囲気を感じさせてくれるのも、よくよく雰囲気が出ています。一応クトゥルフ神話を知らなくても読めはしますが、知っておくとより、語りの皮肉ぶりが伝わってくるはず。
[一言]
信仰とは。心揺さぶられる言い回しと共に知見が豊かになります。
『マジック・ショウ』
[概要]
西洋化・近代化の中で魔術は本当に失われてしまうのか? ホラー。一本道数分。
[感想]
ビジュアル面での表現が凄かったですねー!
察しはついてもヒッって声が出ちゃいました。肝心要の部分が「NO IMAGE」なところも、いやあ実に厭な想像を膨らませてくれます。
論としてはどことなく『古狼駆ける』の延長線上にあるようにも感じますね。ショウを見ている観客がプレイヤーと重なる点まで含め、綺麗にまとまったホラーでした。
[一言]
想像する怖さをとくと味わいたい方向け。
『フィギュリンの街』
[概要]
ホラー。残酷描写あり。一本道数分。
[感想]
フィギュリンなる言葉を知らなかったのでググってみたところ、陶磁器製の人形や立体アート的なもの、らしいですね? なるほどなあと。ストーリーを省みてとても、なるほどなあと思いました。
背景のシルエットな街並みがグァッとせり上がるあの表現がすごく良くて! 立体を意識できる演出が、本作の殺人鬼のやり口とよく合うなあと感じます。
ポリシーをしっかりと語ったうえで、相手の信念無き言葉を額面通り受け取ってやり返すという展開も、意趣返しの様で実に気持ち良かったです。
[一言]
芸術家肌の殺人鬼ときいてピンとくる方向け。
『プロダクトキーの魂』
[概要]
哲学、のような何か。一本道数分。
[感想]
テセウスの船ってやつですね! 哲学ものや思考実験ノベルではよく見かけますが、やはり何度聞いても認知が不安定になっていく感じが好きです。
他作品と違って、画面構成が独特。なんとなくバラバラっぽさを感じるのも、この作者様ならあえてだろうなー、なんて。
そして見事な着地点!
いやあ、こういうズラし方とても好きです。
[一言]
やられた!と苦笑しちゃう楽しい話。
『どーなってるのワールド』
[概要]
ファンタジーだけど哲学風。コメディ。一本道数分。
[感想]
作品の色を使い分けるのが上手いんだよなあ……。
あのホラーな展開であのまま行くかと思いきや、ツッコミが入ることでここはギャグ時空なんだなと安心できる感じが、上手かったです。
さて、内容としてはなるほど納得の一言。これもそういう論があるのかな? オチの解説まで含めて、くすっと笑える話でした。
[一言]
明るい雰囲気の中でスッキリ感を味える掌編。
『人斬り茨姫』(DL)
[概要]
剣劇。あっさり味。数分。
[感想]
なんと分類すればいいのかな。多作な作者様ですが、本作は特に他と異彩を放っている作品だと感じました。実験作っぽいかな。
とりあえず、即死ゲーです。なまじファンタジー武器を齧ってる関係で一発クリアを果たしてしまいましたが、ゲームオーバーも一種類なので分岐回収も楽ちん。
明瞭な起承転結はありませんが、信念、為すべきことを為すという凛とした姿は感じる作品です。バッドエンド除いてエンドは1つと公式に明記されていますが、エンドが終わりのないエンドであることを考えると、道半ばで途切れるほうが正式エンドだとみなすのも面白いかもなー、なんて。
[一言]
クールな少女の果て無き旅を垣間見るゲー。
『眩い陽が昇る前に』
[概要]
ホラー。兄妹。一本道数分。一人称視点3DのSMILE GAME BUILDER製。
[感想]
このツールの作品に触れるのは二度目くらいなのですが、やっぱりどうにも探索ポイントはわかりづらめです。ただ本作はほとんど一本道で、先に進みさえすればお話が進行してくれました。助かる。
暗いうちからお外に出ていった妹を、心配して追いかける話……になるのかな。やりたいことはわかる、が、演出がやや物足りない感じでした。
でも兄の独白と、もうどうにも疲れ切ってしまっている雰囲気は、なかなかにやるせなくて好きです。
[一言]
ちょっと変わったプレイ感のホラー。
※エロの境界線※
ここから雰囲気が激変して、ギャルゲ・エロゲ寄りになります。男性向け。R18までいく作品はありませんが、多く性的描写の匂わせがあるので、ご了承ください。
『キストレシスター』
[概要]
彼氏ができたからキスの練習がしたいのお兄ちゃん! コメディと見せかけて一本道数分。
[感想]
いやもう一文目が好きなんですよ。これからエロゲ(によく似た何か)が始まるとは思えない導入と語彙力よ。
まあ、実際きちんとエロゲでした。
立ち絵の使い方が上手いですよね。
えろい以前にそこに感心してしまいました。ズームとメッセージウィンドウによって。なるほどなあ。あえて入力シーンを入れることで没入感を出してくるなど、実に巧みです。
妹バカかわいいなあ、という兄のセリフがそのままブーメランになるところも含めて、色々と秀逸でした。
[一言]
ちょろくてかわいい妹にちゅぱちゅぱされる系。
『乳牛になった俺は妹達から搾り取られるしかない。』
[概要]
近親相姦。牛化。搾乳(下半身)。コメディ一本道数分。
[感想]
タイトルの圧に、思わずどんなド変態プレイが飛び出るのかと身構えてしまいましたが、存外まともでした。まとも──いやまともか? 乳牛ってことは女体化もしているわけでしかもほんのり百合プレイも匂わせているのでうーん。
でもなんかこう、予想していたよりは直球で逆に安心しました。変態だけど。
[一言]
初心な妹と手慣れた妹にちゅぱちゅぱされる系。
『ローターローション』
[概要]
優等生な彼女とデートをしよう! マッサージ器をつけたままでな!
コメディエロゲ。数分。
[感想]
立ち絵がLIVE2Dなるものによってつくられており、ゆらゆらぬるぬるとよく動いてくれます。女の子が敏感に目を見開いたり顔を背けたりする反応が好きな人は、たぶんたまらないはず。
エンディングは無しってことで良いんでしょうかね?
何度かカチカチカチカチしてみたんですが反応が変わらなかったので、あとは延々と休憩できるってことなのかもしれません。
日付がさりげなくリアルと同じようになっているところも、細かくて好き。なぜそこを凝ったんだとツッコミ入れたくなるところも併せて好き。
[一言]
スイッチをカチカチしながら女の子を愛でる系。
『囚われのアリス』(DL)
[概要]
かわいい囚われの女の子を突いたりお着替えさせたりするゲー。一本道数分。ストーリー有。
[感想]
メジャーな縄拘束系はもちろんのこと、鼻フックやカラーチェンジまで、お着換えできるアイテムは多種多様。そのぶん、ボイスと反応のパターンが少なめだったのは少し惜しまれましたが、本編の短さを考えれば贅沢は言えないかなという気持ちも。何よりグラが可愛くて萌えるのでオールオッケー。
大人になることをすればメルヘンは消える、みたいな言い回しが大好きでした。そうして大人になった後のオチがあれっていうのも大好きなんですよねえ。皮肉がよく効いてて、残酷で好きです。
[一言]
メルヘンに白濁をかけて台無しにしたい人向け。
『義姉坐薬恥療』
[概要]
義姉×弟。一本道数分。
[感想]
あえて義姉な点にきちんとした理由付けがされている、ここを熱く評価したいです! フラれた先輩が姉になった、これだけで良い具合にことこと煮込んで愛憎を育むことができると思うんですよね。設定が神。ありがとう。
相変わらずきちんとラストにドンデン返しもあって、やっぱり流石の一言。
使っている素材の関係か、えろてぃっくなシーンになると美人な先輩がロリっぽくなってしまうところは残念でしたが……そういうシーンになると初心に戸惑ってしまうせいで幼く見える、ということで脳内補正をしました。イラスト自体は拘束具多めで可愛いですしね!
[一言]
合法的で健全な座薬だから何も問題はない話です。
『有修正ホワイトロリィタ』(DL)
[概要]
兄×妹。一本道数分。コメディ。
[感想]
立ち絵の腕の位置、上手いですよね。感心してしまった。
ぷにぷにかわいい系の絵柄ですし、ちょっとしたペンに関するうんちくも知れますし。悔しいけれどふふっと笑ってしまう話でした。
[一言]
修正ペンのことだから何も問題はない話です。