うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「さいはてホスピタル」感想

「長くこもればこもるほど外に出るのは怖くなる」

早く世界が墜落して欲しいような気がした前置き。

 

 

 

えー、今回は西高科学部さんところのフリーゲーム「さいはてホスピタル」(http://www.vector.co.jp/soft/winnt/game/se443011.html)の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ツクール製のトンデモRPG、オンリーワンの味が魅力。前に感想を書いた「四月馬鹿達の宴」と同じ作者様の処女作です。

 

shiki3.hatenablog.com

 

というわけでさっそく魅力的な点など。

 

 

 

子どもたちの憧れと後ろ向きな人生が噛み合ったストーリー

 

町を守るヒーロー、みらくるな魔法少女、秘密組織と空飛ぶ人体模型などなど。子どもの頃に一度は憧れるロマンが目一杯に詰まったストーリーにまず目をひかれます。有無を言わさぬ展開も多く、そのはちゃめちゃ具合も含めて、ぐいぐいと引っ張られていくシーンが多いです。

一方、途中から姿を見せる謎組織「紳士の昼食会」の存在も見逃せません。

暗躍する大人や先輩達、しれっと語られる現実のしんどさ、なんでか後ろ向きにしか生きていけない不器用な我々を代弁するかのようなNPCの台詞回し。終盤の夕暮れの町には心をザクザクやられました……。

 

それでも落ち込まずにいられるのは、良い意味でふざけた掛け合いや愉快な選択肢が出てくるからなんでしょうね。辛い時を子どもの頃に感じたわくわく感で上書きしてくれるようなストーリーでした。ちょこっと後ろ向きがちな自分には感覚が合う作品だったなあと思います。

 

 

 

 

敵も味方も入り乱れて脚光を浴びる展開

 

一応メインメンバーの4人は決まっていますが、物語の展開に合わせて操作キャラが入れ換わることもあり、そのターンでキャラの魅力がぐぐっと増してくれます。クリアする頃には住人をひっくるめた「さいはて町」がすっかり好きになってました。

キャラごとに好物が違うのもさりげなくフレーバーとしておいしいです。回復アイテムが駄菓子なのもまた良い!

敵陣営も、一応敵対するとはいえ悪ではなく、ちょっと意見がすれ違っただけのご近所さんといったイメージ。大志や覚悟は飛び交いますが、それをゆるーい日常なノリで包み込んでしまえているのもこの作品の凄いところだと思います。

 

要は、敵も味方もひっくるめて仲間な感じが強いゲームでした。仲良し!

 

推しは樋口さんです。キリコとの魔法合戦の台詞で惚れました。意外と負けず嫌いで熱くなりがちな参謀、素敵です……!

 

 

 

 

マホウをチャージしてぶっぱなすコスト管理バトル

 

真っ先に言及したいのが「歪」というスキルについて。なんとこれ、ほとんどの敵をワンキルできちゃうかなりチートなスキルです。

これがあるならバトルなんて楽勝――かと思いきや難易度はけっこう高め。特定のターンで降ってくる強技をうまいこと妨害したり、こちらのスキルを使うためのコストをタイミングよく溜める必要があったりと、なかなかに頭を使います。

ゴリ押しできる技がある、だからこそ使用は絶妙に制限されている、このバランス感覚。敵の攻略法を色々悩んだり、戦闘中の会話をヒントに勝利をもぎ取ったりするのが好きな人にはたまらなくテンションの上がるバトルシステムだと思います!

また、戦闘BGMも軽快だったり転調ありだったりと印象的。特にあのラスボス戦は忘れられない展開でした。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

フリゲだからこそできる、ユニークな一作。

寄り道要素もあり、最後までどうなるか読めない展開に翻弄されながらも、懐かしい子どもの頃を味わえるRPGでした。

 

追記ではネタバレ感想や、気になったところについてちょこちょこ考察?解釈?メモなど。

 

 

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フリーゲーム「Persona - The Rapture」感想

「モラトリアムなんて誰が決めた?」

個人のペースが枠づけられていく前置き。

 

 

 

えー、今回は奥山キイチ(http://kiiichi.blog.shinobi.jp/)さんところのフリーゲーム「Persona - The Rapture」(http://kiiichi.blog.shinobi.jp/%E5%89%B5%E4%BD%9C/persona%20-%20the%20rapture)の感想をつらつら書きますね。

おまけ要素を含めてコンプまで10時間ほどの長編RPGです。

 

Personaと題にある通り、アトラス作の大人気「ペルソナ」シリーズのオマージュ作品となっています。

が、ペルソナを知らない人もちょっと待ってほしい。かく言う私もペルソナ未プレイのためDLを躊躇っていたクチなのですが、実はこの作品、オマージュ部分はバトルシステムや一部の用語に限られています。ストーリーやキャラはほとんどオリジナルです。

 

つまり、ペルソナを知らなくても十分プレイできます! むしろ物語がメインです。なので、あまり先入観を持たず、興味が湧いたら是非気軽にプレイしてみてほしいところです。

 

さて、前提が長くなりましたが、魅力的な点についてあげていきますね。

 

 

 

 

人の闇に触れつつもカラっと締めるストーリー

 

トーリーはチャプターで分かれていて、序盤は各キャラに、中盤は舞台背景や設定に、終盤は作品全体にといった具合でスポットライトが次々と当てられていきます。

特に序盤の展開はピンとくる人も大きいのではないでしょうか。恋愛、無力感、孤独感、等々の学生なら誰でも思う悩み事。各キャラが暗い気持ちに沈み、それを思い切り物理でぶん殴りに行く流れはたまらなく心を揺さぶられます。

神々の対立という壮大なところまで話は膨らみますが、最後にまたキャラ達の個人的な生活へ戻って来てくれるので、風呂敷の畳み方に思わず拍手をしたくなりました。

 

 

 

 

downを狙って敵を封殺、属性重視のバトル

相手の弱点を突くと1ターン行動不能(down)にできます。上手くいけばノーダメージで相手を封殺、なんてことも。敵の種族によってだいたいの弱点傾向は明かされているので、初見の敵でもなんとかなります。レベル上げ嫌いでもこのシステムを利用すればある程度はゴリ押しできるかと。

そのぶん難易度は高めで、downを無視してしまうと雑魚戦でもあっさり死ぬことがあります。なので、ある程度RPG慣れした人向け。

戦闘中はヘルプでいつでも種族ごとの弱点を確認できる気遣いがありがたかったです。

 

 

 

選択肢多めのキャラエピソード

 

メインのストーリーとは別に、アイテムを使うことで各キャラのちょっとしたエピソードが見られます。キャラに愛着のわく話ばかりなので、見ればその子が好きになること間違いなしと言ってもいいくらいです。

主人公の返答も基本は3種類ほどあるので、セーブロードで見直す楽しみもあります。

一つ不満を上げるなら、大筋は変わらないので優しい態度を取りたい子にきつい態度を取ることになってしまう時があったことくらいでしょうか。逆も然り。とはいえ、ここでの選択肢は「プレイヤーがどう言いたいか」より「このキャラを攻略するにはどういう言動をすればいいか」の最適解が数種類用意されている感じではあったので、意図としてはわかるかな。

キャラ萌え重視の方やストーリー重視の人は是非とも、なシステムでした。

 

 

 

完全オリジナルのBGM

元々音楽方面で活動されていることもあって、どのBGMもとにかく雰囲気が出ていて魅力的です。ゲームが非アクティブでもBGMは流れるので、作業用にもできます。やったね!

私自身は洋楽あまり詳しくないのであれですが、参考にしたアーティストさんもたくさんいらっしゃるご様子で、クリア後の一言コメントでちらりとその概要がわかります。詳しい人なら聞いていて「おっ」と思うところもあるのではないでしょうか。

やっぱりダンジョンBGMがどれも印象的です。かっこいい!

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

他にもマップの作りやセーブタイミングの絶妙さ、仲間キャラによって微妙に変わるNPCの会話、自販機などなど、細かいところもぎゅっと凝った作りの名作でした!

 

追記ではネタバレがっつりの感想を書きますね。ご興味ある方はどうぞ!

 

 

 

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フリーゲーム「TR∀P DEAD」感想

「おなべのふたと服と懐中電灯と」

ひのきのぼうを探しに行く前置き。

 

 

 

えー、今回は幻滅Motion!!さんところのフリーゲーム「TR∀P DEAD」(http://winter.vivian.jp/mo/game/td/td.html)の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

暗躍+ノベルな感じのADVなBLゲー、コンプまで攻略見て1時間くらいの短編でした。

ヤンデレで鬱展開もあると聞いてDLしたのですが、意外なほうがヤンデレでびっくりしました。どう攻略するか、というより、どう殺すかを考えるゲームと言ったほうがいいかも。

 

 

というわけで、特徴を挙げていくと、

 

 

 

 

急に来る過激な展開

日常描写のノリで病んだ展開が来るのでさくさくスリルを味わえます。バッドエンドも多彩なので、死にネタが好きなら最低でも1つはピンとくるシチュエーションがあるんじゃないでしょうか。

 

 

淡いタッチと豊富な病み立ち絵

立ち絵はほんわか淡い感じの描き方で、可愛らしい雰囲気です。それがくるっと病んだり恐怖したりする辺りのギャップがまた印象的。探索中のコマンド欄の色遣いも素敵です。そしてなにより、起動画面とEXページのデフォルメキャラが可愛い! 突っつきたいです。

悟也の襟足がツボ。

 

 

周回プレイしやすい仕様

OPを飛ばして探索パートから始められたり、早めに探索を切りあげられたりと、システム面はストレスフリーになっています。

難易度としては、自力でやるとなるとけっこう難しいかも。でも公式サイトでヒントもありますし、EDリストにもちらっと攻略が見れるので、コンプに困ることは無いかと。やり方さえわかっていれば行動数にも余裕があるので、ぐっと難易度は下がります。

 

 

 

 

ただ個人的に合わなかったところとしては、

 

病み具合がちょっとわざとらしい

 

BLなのでやっぱり恋愛が根幹にあるんですが、その愛情表現がちょっとわざとらしく感じました。残念。日常描写を多めにして落差を付けるか、電波気味にするかしたらもうちょっと自然な流れに見えたんじゃないかなー、なんて。人によってはヤンデレじゃなくメンヘラ・キチデレだと言う方もいるかも。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

色々と頭を捻りつつ相手をさくさくやりにいくような、BL万歳殺伐好きな方向けの一作でした。

フリゲサイト「和製オフィーリア」作品感想

「もう届かないとわかっていても」

あなたの記憶は忘れられない前置き。

 

 

えー、今回は和製オフィーリアさんところのフリーゲーム「硝子のアイズ」「追憶-remake ver.-」「parasite/transfer」「したかの。-living DEAD girl friend-」「サナギ」の感想をつらつら書きますね。

 

で、先んじてお詫びすると、どうもこちらのサイト様は移転(閉鎖?)されたようです。

この記事の原本を書いたのがなにせ一年前なので、DLをちょこちょこ推奨したり熱く語ったりしていますが、現在はおそらくDLできません……ゲームとしても話としても好みが合う分とてもつらい……。

以上ご了承のうえでお読みいただければ幸いです。

 

 

 

 

『硝子のアイズ』

 

[概要]

一本道ノベル。サポート終了していますが、幸いにもDLリンクは残っていたので喜び勇んでDLしに行きました。ちなみにプレイしたのはリメイク版のver2.0のほうです。内容がかなり別物になっているとのことで、ver1.0のほうも気になるところ。

 

[ストーリー]

七転八倒、と言っていいものか。キーになるシーンでだるま起こしのようにどんでん返しが起こり、あっと驚くことを繰り返しているうちに悲劇へまっ逆さまに転がり落ちたような感じでした。

少女達の目をえぐり取る惨殺事件、がテーマと思いきや実は少女達のドロドロ心理描写がメインです。やったぜ! バッドエンド一直線で、どぎつい展開がありながらも落ち着いて深々と進むストーリーにどきどきしながら読み進めました。

そしてダブルミーニングがどう絡むのかがわかった時は思わずやられたと膝を叩きました。お互いを想うが故の悲劇に成すすべなく打ちひしがれるあの余韻がたまらなく好きです。

で、かなりフラットに読んでいたのであとがきには驚かされました。意外すぎた……! 両作共に大好きです。

 

[システム]

いったん区切りがついた後、スタートからプレイすることで新たな角度のストーリーを読めるという仕様です。おそらくあとがきが表示されればクリア、で、いいのかな。一巡した後、まだ起動画面のloadの下が意味深に空いていたのでピンときました。

最近この手の周回プレイタイプなノベルゲに出会うのですが、うっかり半端に終わらされてよくわかんなかった扱いを受けているのも拝見するので、かなり勇気のいる仕様ですよね……。この作品では、一周終わると物語のみでなくメタ的な区切りもついていて、とても効果的に感じました。素敵!

 

[グラフィック]

立ち絵やスチルこそありませんが、それぞれの少女達の語りを聞く時に入るアイキャッチ的な画像はとてもセンスを感じます。また、序盤から5人登場という展開でもしっかりとキャラが把握できたのは、ひとえにinsect等の章名と彼女達の個性がぴったり噛み合っていたからなのだろうなあと。掛け値なくどのキャラも好きです。

立ち絵主義の方には物足りなく感じるかもしれませんが、キャラ像を十分想像させられて、読ませる力のある一作でした!

 

[一言]

少女達のどろどろ、えげつない事件、どんでん返しのあるストーリー、余韻のある鬱展開などにピンとくる方に是非とも勧めたいです。

 

 

 

 

『追憶-remake ver.-』

[概要]

選択肢ありの変則的な一本道ノベル。男性主人公で、ほんのりとサスペンス系の不穏な展開を交えつつも、切なく温かいエンドに帰結する一作です。

 

[ストーリー]

チヅル、アイズの次にやったのですが、この二作と比べると驚きが控えめなぶん読みやすいと感じました。勿論優劣は無くどれも素敵ですが、毛色の違いがあると言いますか。こちらのサイトの入門用として布教したい感じです。

断片が一つの物語として繋がっていく構成が良かったですねー。断片だけで投げちゃうとプレイヤーは混乱しがちですが、この作品は終盤できちんとまとめが入ってくれるので落ち着いて読むことができました。

キャラクターとしては運転手の彼がお気に入り。根は良い人だけどぷち悪いこともできるのがまさに子どもからみた理想の大人って感じで、魅力的だなあと思います。凶器を信頼と共に託すあのシーンも大好きです。

孤児院のシーンもなんだか印象に残っています。鷹の例えが好きで。あとどろどろした心理描写がさりげなく混ぜ込まれてるのが上手いなあと。

終盤、主人公の決断がああ転ぶとは思っていなかったので素直に驚きました。一度は現在に揺らぎ、一度は過去に惹かれるこの感じも、安易に決断しきれないリアルさがあって素敵です。

 

[システム]

記憶のキーワードを選択して組みあわせ、解放されるエピソードを読み進めていくという斬新なシステム。キーワードがどう結びついてあのエピソードになったのか考えるのも楽しいです。

少しずつエピソードや記憶が増えていくのに合わせて物語が次のステップへ進むという、システムと物語が影響し合っている感じがとても好みでした。

 

[グラフィック]

各エピソード開始時の画像や英語がおしゃれ。この英語部分で、今から読むエピソードが何と繋がっているのか察せるのも良かったです。実用的!

 

[一言]

もの悲しい雰囲気の染みる話や、青年・少年のあれこれ、家族愛などにピンとくる方へオススメです。

 

 

 

『parasite/transfer』

[概要]

二視点同時進行型、という斬新なシステムで構成されたノベルゲーム。恋愛要素もありますが、それだけに収まらず根幹のお話がしっかりしているので、一般向けとしても楽しめるかと思います。

 

[ストーリー]

首を刎ねられてからが本番という驚きの展開。サスペンス要素もあり、青春恋愛要素もありで、なかなか読む手が止まりませんでした。こういう読ませる力のある文章だと延々読み続けてしまう性質なので、ゲームのほうから一区切りつけてくれるのはありがたかったですw

この作品ばかりは余計なことを書いて魅力が損なわれるのはとっっても惜しい、反面、色々隠して書くとふわっとしたことしか書けそうになくて自分の備忘録にならないので、ネタバレ部分を伏せ字にしてしまおうと思います。

以下ネタバレ伏せ字。

まず序盤、視点としては終始一貫しているのですが、プレイヤーから見ると「首と身体」から「ボクと僕」に切り替わって、2視点の認識がひっくり返されたのも面白かったです。なんか違和感あるぞ、というのが文章に滲みでているのも凄い。これはもしや……と思いかけたところで正解がドンと突きつけられるのも気持ち良かったです。

そしてカラクリ可愛いなぁ……。私がボクっこ好きなのもありはしますが、それ以上に、ずっと僕のことを考え続けているのがたまらないのです。可愛くないというコンプレックスこそが可愛いと思うのですがこれ本人からするとイラッとくる感想ですよね申し訳ねぇ。

こういうインパクト重視の設定って、結局原因を明かされずに不思議パワーで終わることが多いように思うのですが、この作品ではきちんとこの世界観なりの答えが出ていてすっきりしました。血液主体っていう理論も今まで出会ったことがなかったので興味深かったです。

舞台背景とかストーリー展開だけをとるとむちゃくちゃドス黒いのに、読後感が良いのは二人の恋愛面が綺麗に収まってくれているからなんでしょうねぇ。私としてはほくほく顔になれたのですが。どっちをメインと取るかで感想がかなり変わってきそうです。

伏せ字終わり。

 

[システム]

いやー、やられましたね!! まさかノベルものでここまで「ゲーム」ができるとは思ってもいませんでした。これはまさに発想の勝利だなあ。

まさかの二画面で文章が進むので、やはり初めはぎょっとします。しかし、一文ずつゆっくり読んでいくと、意外とすんなり読めるものなんだなーと感心しました。序盤は言葉の言い換えだけで同じ内容、という文章が多いので、それで自然と慣れさせてもらえたのかもしれません。

そして重要なポイントが既読率! アイズのほうで(たかが1プレイヤーが勝手に)懸念していた読み飛ばし問題がこれ一つで解決していて、上手いなーと思いました。

以下ネタバレ伏せ字。

私はゲームを開始したらまずセーブをする性質なんですが、いやあ、まさかでした。

99%までは自力で発見できてちょっとドヤ顔。いやまあ100%については公式サイトの攻略を頼らせて頂いたのですが……w 

ここかなと思ったところに必ず何かが隠されていて、こちらの期待に応えてくれる嬉しさをひしひしと感じました。気分は宝探しです。ちなみに既読率には反映されないようですが、musicのところもさりげなく面白いのでまだ気づいていない方は是非に。

カラクリの回想が彼女の言葉通り読み返せなくなっている仕様にもクスっときました。かわいい。システムエラーの演出も、彼女の名前がわかるうえにメタ的にも面白くて二度おいしかったです。

以上伏せ字終わり。

二画面同時進行というだけでも斬新ではありますが、出オチだけに留まらずストーリー面でもシステム面でも最後まで意外さと新鮮さを提供してくれたので、こちらもとことん遊び尽くしたくなる良作でした。

[一言]

斬新なノベルゲーを求めているなら是非とも。友情以上恋人未満、なども反応ワードかもしれません。

 

 

 

『したかの。-living DEAD girl friend-』

[概要]

選択肢ごとにエンド分岐する、ヤンデレ恋愛ゲー。とりあえずヤンデレ好きならプレイするが吉です。

 

[ストーリー]

押しかけてきた少女が実はストーカーでしかも死体で…!?という衝撃展開から話が始まります。さんかれあもそうですが、いやはや美麗ゾンビものは良いものだ…! この死体の線引きについての設定を序盤から整理してくれているのが好印象でした。

いやー、あやめちゃん可愛いですね! 尽くしてくれるタイプで秀才と来た、なんとも羨ましい。

他作品と比べると伏線が弱めかなあとは思いますが、この作品のメインはキャラの裏面にあると感じたので、そこはそれで良いかなーとも。

エンディングも、意外性や病み行為に富んだものが多くて楽しめました。私個人としては策略系や精神的にドロドロくる系が好きなのであの、EDリストの一番下にあるエンドが好きです。勿論他のエンドも、古き良きヤンデレが好きな方はもうたまらんのではないかと思います。

 

[グラフィック]

この記事で取り挙げている順番通り、上からプレイしていったのですが、今回このサイトさんでの立ち絵ありゲームを初めてプレイしたので色々と新鮮でした。可愛い感じの絵柄が、鬱展開やキャラの持つ裏側のギャップをひしひし感じさせてくれて面白かったです。

あんまりお絵かきは詳しくないので、そこ?って思われるかもしれませんが、あやめの前髪の描き方がめっちゃ好きです。さらさらしてそう。触りたい。

カットインの形で表情変化が出るシステムも、スチルとはまた違ったご褒美感があって良かったですねぇ。

おまけスチルは二枚目がお気に入りです。

 

[一言]

ヤンデレ好きさんは是非やりましょう。

 

 

 

 

『サナギ』

[概要]

一本道ノベル、吐きだめのような特殊な街で起こる珍事件の真相と蝶を追う話。べたべたいちゃいちゃ系の糖度とはまた異なる、彼らだけに通じる甘い恋に浸れる一作です。

 

[ストーリー]

キャラづけが毎度わかりやすくて印象に残りやすいのに、さらにそれを上書きするようなどんでん返しが起こるので手腕の凄さをひしひし感じます。墓守の名にぴったりのストーリーラインにも惚れぼれしました。

どちらかというと雰囲気重視の作品かな? モノローグや幻覚と彼らの視点とが混同するシーンが多く、こちらも夢見心地で独特の雰囲気を楽しませて頂きました。

 

[グラフィック・システム]

まず起動画面に惹かれましたね! その、画像の雰囲気がとても色っぽいので、てっきりxxxはセクシュアルな意味かと思ってしまったんですが、そんなことはなかったです! 恥ずかしい!申し訳ない!

ともあれ。起動画面が変わる演出はやはり良いものですねぇ。他、印象的な場面ではっとするような立ち絵が出てくることが多くて、上手い使い方してるなーと感じました。

システム面ではそろそろおなじみになってきた周回要素がやはりポイントでしょうか。それぞれの視点の前に一呼吸、シンボルマークみたいなのが入るので、視点切り替わりがわかりやすいのもありがたかったです。

 

[一言]

幻想的な世界観や、退廃ものにピンとくる方向けです。

 

 

 

 

これらの中だと「parasite/transfer」が一推しです。一推しです。一推しでした……。

本当ね、今までプレイしたフリーノベルゲの中で三本指に入るレベルなんです。あちこちに仕込まれたギミックが大好きなんです。

 

楽しい体験ありがとうございました。

 

 

 

 

同作者様のほかフリーゲーム感想記事↓

 

shiki3.hatenablog.com

shiki3.hatenablog.com

フリーゲーム「開耶姫の季節」感想

「桜が落ちるころまた思い出してください」

見ようと思ったその時には散っている前置き。

 

 

 

えー、今回はBjorn & Bjorn(http://bb.mrvica.net/)さんところのフリーゲーム開耶姫の季節」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

ジャンルは乙女向けフリゲ。傾向としては明るめな現代学園物、ルートによって少し切ない展開が見られます。

というわけでさっそく魅力的な点など。

 

 

 

とにかく細かい会話分岐

 

乙女ゲーと言えばやっぱり見たいのは攻略キャラの台詞や反応。その点、この作品は驚くほどの細かな会話分岐が楽しめます。

本編の選択肢分岐は勿論のこと、直接の攻略には関係しないメールパートの返信バリエーションも4種類×数日間×攻略キャラ人数でかなりの多さがあります。メールだと口調の変わる例の2人はギャップ萌えでしたねぇ。

加えて、二周目以降になると攻略済のキャラが他キャラ攻略中に出てきてくれるのも面白いシステムです。

 

 

 

つい試したくなるミニゲーム

 

中盤になるとスピーチ作りかお昼ごはん作りのイベントが始まります。選択肢を選ぶだけなので操作も簡単。そして何よりの楽しみは、完成後の総評タイムです。ずばっとダメだしをしてくるキャラから言葉を選んでやさしく諭してくれるキャラまで、反応が幅広いのも特徴的。

全種類を見ようと思ったり、狙ってそのキャラの好きそうな結果を出したりと、周回プレイ中のちょっとしたお遊び要素としても優秀でした。

 

 

さりげなく行きとどいたシステム

 

上記のようなミニゲームやメール、もちろんプレイしていて楽しい要素ではあるのですが、2周目からはお急ぎの方用の「徹底攻略モード」も存在します。なのでさくさくプレイ派もご安心。

また、立ち絵が瞬きしたり起動画面で桜が散ったりと、さりげなく凝った点が多いのも魅力の一つです。

 

 

攻略後のキャラが登場する攻略キャラ視点パート

 

好きなものは後に食べたい派の方にも、このゲームに限ってはぱっと見好みのキャラを真っ先に攻略することをオススメしたいです。

何故かと言うと、2周目以降に他キャラを攻略しに行くと、攻略済みのキャラがゲスト出演してくれるからです。中にはヒロインに見せないドギツイ一面を剥き出しにするキャラもいて、たいそうにやにやしました。

 

 

 

 

逆に惜しいなーと思った点は、

 

 

隠しキャラのストーリーがやや超展開

 

タイトルにもなっている隠しキャラ関連の話がちょっと急でびっくりしました。

コンプしても真相は匂わす程度で終わってしまったので、続きがあるのかなーと気になっていたのですが……。聞いた話だとどうやら別ゲーからのゲスト出演だったとのこと。副読本なども読んでみるとまた印象が変わってくるのかもしれません。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

ゲーム開始時から皆仲良しで進むので、糖度よりほのぼのさのほうが強い気もします。とはいえ、スチル付きのときめきシーンはしっかりありますよ!

わきあいあいとした雰囲気が好き、青春らしさを感じたい、そんな方にオススメです。

 

 追記からはもう少し突っ込んだ感想など。

 

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フリーゲーム「束縛スル里」感想

「多彩な色どりにショッキングピンクを添えて」

頭に残るはそればかりな前置き。

 

 

えー、今回は、バド(http://katubou.ninja-web.net/top.html)さんところのフリーゲーム束縛スル里」の感想をつらつら書きますね。

 

前に取り上げた「渇望スル島」の続編に当たります。

shiki3.hatenablog.com

キャラクターを役者っぽく扱って各ルートがパラレル化する部分は前作お馴染みです。

シナリオの種類も増え、リアル調の立ち絵のクオリティもさらにアップしてます。女性の化粧の具合とか男性キャラの年齢差とか、本当上手ですよねぇ。こういうキャラごとの違いがはっきりわかる立ち絵大好きです。

 

 

 

さて、さっくりとした紹介はこのへんで。

 

以下は、ネタバレがっつり込みの各ルート感想になります。

伏せ字も一切無く直接的に書いてます。未プレイの方はご注意ください。

 

 

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フリーゲーム「四月馬鹿達の宴」感想

「残り数ページで終わってしまう」

寂しいような楽しみなような前置き。

 

 

 

えー、今回は西高科学部さんところのフリーゲーム「四月馬鹿達の宴」(http://www.vector.co.jp/soft/winnt/game/se485729.html)の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

白状すると実はこのゲーム、一度詰んでました。いかんせん根が小心者なもので、説明なしで何でもできる導入にビビってしまい、ついつい後回しにしてしまっていたんですよね。

ですがあちこちで「名作」「望む物語がここにある」「クソッタレー!」と聞き改めてプレイ。するとこれがまた、とんでもなく面白くって! もう過去の私は何をしていたのかと!

 

なお大前提として。環境によってはひょっとするとマニュアルが開けないかもしれませんが、ネット検索するとページは出てきます。アドレスが変わったのかな? 非公式で便利なwikiもあるので、攻略見る派の方は合わせてどうぞ。

あとメニューはボタン長押しで開けるので、初めの第一歩から詰まってる人はググっと強く指先に力を込めてみてくださいね!

 

 

 

心ゆくまで“旅”ができるフリーシナリオ

 

初めこそ戸惑いはしましたが、蓋を開けてみるとストーリーは一本道。なので序盤何がなんだかでも、とりあえずは気楽に流されるまま旅を楽しんでみるのがいいんじゃないかなと思います。

なお、あちこちでサブイベントも起こるので、自分でうろつく楽しみも存分に味わえます。私はRPGだとその場で起こるイベントやアイテムを全回収したうえで進みたい派なので、マイペースに進めれて嬉しかったですねぇ。マップがかなり広いので迷子にもなりましたw

行き先がわからなくなったらトランシーバーである程度のヒントがもらえるのもありがたいところ。基本的にいつでもどこでも自由行動ができるうえ、ストーリー進行のタイミングも融通が効くので、プレイヤーによってクリアまでの道のりがかなり異なるのではないかなあと思います。

また、食べ物アイテムにものすごくバリエーションがあったり、観光案内をラジオで聞けたりするのも“旅”らしさが出ている理由の一つ。ついつい全部の食べ物を一個ずつ袋に忍ばせておいてしまうコレクターさんは、きっと私だけではないはず。

 

 

 

ゆるかわで個性的なグラフィック

 

柔らかくゆるめのタッチで描かれるグラフィックも見どころの一つ。画風が個性的かつ魅力的なので、別ゲーをプレイしてちょっと間が空いても、このキャラ達を見るだけで「ああこの作品に戻ってきたなあ」という感じがします。特に戦闘画面の構成はまさにオンリーワン。敵キャラの外見も含めてぎょっとさせられました。

自作マップも可愛かったですねぇ。お菓子の国にいるとついつい現実でも何か食べたくなってしまって、いやはや。月の国の薄暗さと魔法が絡み合う雰囲気も大好きです。そこの住人が案外俗っぽいのもまたツボ。

同時に語りたいのが演出面! 各章の入り方、背景や敵の外見で黙して語らせるこのスキル、そして何よりあの最終戦! 文章も音楽もグラフィックも見事に噛み合って震えました。これはもう、「いいからやってみてくれー!」と叫ぶしかないのがもどかしいほどです。

 

 

 

プレイヤーの数だけ勝ち方があるバトル

 

けっこう戦闘自体の難易度は高めでした。というのも、スキル説明がアイコン表示だったり敵がパターンで強技を使ってきたりするので、ある程度自分で推測して作戦を練る必要があるからです。

それでもなんとかなるのは、どんなに強い敵であっても基本的に数種類の攻略方法が用意されているから。これ本当助かりましたし、楽しかったです!

 

マ反動で技を跳ね返すもよし、地道にイツキで斬りつけるもよし、誰よりも早く駆け抜けるもよし。一応ステータスをガン上げして強行突破もできますが、それよりは戦闘のやり方を工夫するほうが早いですし、何よりこのゲームならではのやり方で勝ってる感じがしてテンションが上がります。強敵を無理やり頑張って倒すと、会話が変わったりアイテムがもらえたり、激強な延長戦に突入するのも嬉しいところ。

敵グラの秀逸さもあって、くるくる隊列を変えるのが楽しかったです。やりすぎてうっかり落し穴にドボンすることもしばしばでしたw

 

装備ごとにスキルが変えられる、というシステムは他でも何度か目にしたことがあるのですが、装備を消費してスキルを永続的に覚えれるようにするっていうのは新鮮でしたねー。どんどんスキル欄が充実していくのでコレクター魂が燃えました。このスキル名もまたいいんだな。

 

 

 

センスある選曲とまさかのSEセンス

 

曲自体は素材屋さんのものが使われているのですが、この使いどころと曲選びがもう凄かったです! フリーゲーマーの間で「四月馬鹿達の宴と言えばワンダーデュエル」と言われているようなのですが、プレイし終わるとなるほどまさにと言わざるを得ませんでした。場面場面で使われる曲がどれも印象的なんですよねぇ。

そんな感動的な中、看破のジャッジャン!なSEが容赦なく入ってきたり、走馬灯駆のおさるさん影が登場したりと、ゆるく独特なノリを挟んでくれるのも“らしさ”を感じてついつい笑ってしまいますw

 

 

 

心を貫く台詞回し

 

そしてこれら全ての魅力的な点を合わせてなお、何よりも強く推したいのがここ。台詞・シナリオ・文章面です!

プロローグの文章がピンと来る人は絶対合う――と言い切ってもいいくらい。独特のノリが強いので初めのうちはびっくりし通しでしたが、マンホール移動にこなれた頃には逆に待ってましたと言いたくなるようになりました。好きな台詞を挙げろと言われると両手指でも足りなくなるくらい、いっそ語録を作って欲しい。とか思ってたらツイッターbotを発見したので嬉しかったのですがそこは置いとくとして。

傍から見るととんちきに見える展開も、蓋を開けてみるとハッとさせられる、かなり中毒性のある文章ばかりでした。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

冒険が好きな人、現実にちょこっとお疲れの人、物語やフィクションを愛している人にぴったりのRPGかなあと思います。ここまで書いといて何ですが、「やればわかる」感のかなり強いゲームなので、気になった方は是非DLして自分の手で掴んでみてください!

 

ネタバレ込みの感想は追記にて。

 

 

 

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