「勇者なんてガラじゃないし、生温かい幸福は気持ち悪いし」
どうにも厭世的な前置き。
えー、今回は、Space not farさんところのフリーゲーム「ムスペル」の感想をつらつら書きますね。
ジャンルはサイト曰く、この世のすべてに絶望していたころの長編RPG。絶望。そう、鬱展開です。全体的に暗く重い雰囲気で進んでいきます。ストーリーは、ざっくり言うと、ご都合主義に抗う悲観主義者の話、かな?
さて、では特徴的なところを挙げていきましょうか。
キャラクター
主人公:皮肉屋でやれやれ系な片目隠れ
ヒロイン:夢見る毒舌ボクっ娘
サブキャラ:記憶喪失人形、ネガティブ少女、百合エルフ、殺人鬼
とまあ、あえて酷い書き方をさせて頂きましたごめんなさい。でもどうです、この悲惨なメンバーは。とても世界を救いに行く者達とは思えません。本人達すらも自分でツッコミを入れてる始末です。そして、それこそが魅力です。
旅の合間にちょっとした会話劇も楽しめます。テイルズのスキットシステムに近いと思ってもらえれば、わかりやすいかな。なんだかんだでつるんでるゼムとアップファルの距離感が好きです。
陰鬱で浸りたくなるストーリー
途中のエピソードは容赦なく鬱展開です。
エンディングは二つ。どちらも完璧にハッピーとは言い切れない、しこりが残るものだと思います。大変好みです。
私は駆け足で進めてしまったので、一部理解しにくかったところもありました。言い回しがところどころ固いのもあるかな。なので、プレイする際にはしっかり時間を取ってじっくりプレイするのをオススメします。マクガフィン、といった単語辺りをググっておくと、物語の理解がしやすいかなー、なんて。
あと、問題はキャラ名を覚え切れていなかったこと。後で気づいたんですが、この作品、前作として「プリズンナイト」というものがあるらしいんですね……。やっちまったー!
とはいえ、キャラをしっかり覚えられる人なら心配はいらないかと。私のように、うっかりすっぽ抜けそうな気がする人は、こっそりメモでもしておくと混乱せずに済むかと思います。
シンプルながらもバランスの良いバトル
このゲーム、状態異常と技の属性を意識するだけで、かなり戦いやすくなってます。
ごり押しでもいけるはいけるんですが、せっかく主人公が攻撃魔法をバリバリに使えるので、これからプレイする方には是非とも色々試してみてほしいところ。
魔法使いキャラ大好きなのでめちゃくちゃ楽しかったです! ザコ戦はちょっと大変ですけどねw
readmeにあるように、属性は「朱→金→翠→朱 瀬⇔淵」。ちなみにこのreadmeには世界設定なども載っているので、こだわり派の皆さんは要チェックです。
その分、封印と麻痺がかなりきついので、これらを使って来る敵にはしっかり対策が必要ですね。毒等のステータス異常が脚光を浴びているのを見るとわくわくします。敵の強さもシビアになりますし。
武器レベルがあるのも面白かったですねぇ。単純に強い武器でごり押しするんじゃなくて、装備を付け変えてステータス耐性を増やしていくのも新鮮でした。個人的に、ゼムに杖、アップファルに剣、ヤドリギに槍だと汎用性があってやりやすいイメージです。
鬼畜セーブと鬼畜トラップ
これに関してはちょっと愚痴になりますが。
砂底の宮ぅぅううううううう!!! あれはキツイ、アクション苦手な私は死にまくりました。30分くらいかかった気がします。詰むかと思いました。まあ、ゲームオーバーの概念がないというか、コンティニューになるだけなんでまだ良心的かもしれませんけど……。
あと、セーブについて。セーブポイントが村あるいはダンジョンの一部だけってのはまあ、よくあるRPGのパターンですよね。欲を言えばフィールドでできるようにしてほしかった気もしますが、まあ、それは良いとして。
妖精ぃぃぃいいいいいいいい!!! セーブに金って何事じゃい!
どうしても貧乏性の私は払うのにすっごい躊躇いと葛藤を感じてしまうのです。でも、無料券もあるし金も一応所持金の半額(たぶん)なので、それがあるだけでも良心的なのかもしれません。むぅ。
ツボ漁りと細かなサブイベント
RPGのお楽しみとしてよく挙げられる、ツボ探しやタンス漁り。この作品にもそういった要素はふんだんに取り込まれています。こういうのって、作者からの謎かけというか、「見つけてやったぜ!」という達成感が強くてすごく好きです。
特に、フェーナのいる修道院で少女がいないスキに樽を調べられた時はぞくぞくものでした。私気づいてたもんね!みたいなちょっとした自慢をしたくなります。しました。どーだ(大抵の人は気づいているかもだけど)。
サブイベントやEXダンジョンも、多すぎず少なすぎず、ちょうどよい数です。ヒントやフラグは街の人が言ってくれたりキャラがくれたりするので、見逃しも少ないかと。
廃村のみ注意かな? 即死持ちの敵が大量に出てくるあの村です。空が赤くなってからだと手遅れなので、早めに行っておくことをオススメします。
天使(仮)の二人のイベントがなんかツボです。
ちなみに私は見事に、眼鏡・エルフ・殺人鬼のフラグを逃しました。はっはっは。ごめん。本当ごめん……………………。
さて、ちょっとシステム上難易度の高いところもありますが、手ごたえある作品を探している方にはビビっとくるものがあると思います。淡々とした雰囲気や、ほんわかした顔グラにギャップのある設定も好み。
あと音楽、使いどころが上手です。
まさかあの移動手段であの曲が流れるとは……良いセンスしてます。
重量感のあるRPGをやりたい方に、強くオススメできる一作でした!
追記で自分が引っ掛かったところの攻略メモ。興味ある方はどうぞ。
同作者様の他フリーゲーム感想記事↓
ムスペルヒント集も参考にしつつ。
・初めてのEXダンジョン
すぐにチャレンジするより、いったん塔に行って門前払いされてから攻略する方が楽。
・白銀の森
石の前で決定キー。石を落とす。方向が違うと落としてくれないので注意。その後、飛び石を決定キーでぴょんこぴょんこ。
・山の入口
フィールドマップ、山に道っぽいグラが表示されてるところが入口。ぶっちゃけ見にくい。
・追憶の樹海
他のところもそうだけど、地面に模様があったり、一部暗かったりするところは、通り抜けられる。
・空が赤くなってから
山脈を通って目的地へ帰る。帰り道忘れててすごく迷ったので。
・砂底の宮
気合い。左にいくと妖精がいやがるので、ゲームオーバーで金を使いはたす前にセーブするのが吉。
・ムスペル
「いいえ」を選ぶと裏ボス。結末としてはこっちが好き。初回でいいえ直行して痛い目を見た。
ガイがシトロンを××するシーンの台詞が一番ときめきました。