「めでたしめでたし、では刺激が足りない」
ハバネロ級を求める前置き。
えー、今回はRay [rei]さんところのフリーゲーム「魔歌使い」の感想をつらつらと書きます。一部レビューっぽくなってるかも。
選択肢ありの恋愛ノベルゲーム。自分が攻略対象を落とすというより、とある男女の恋愛を眺めるタイプです。
紹介ページより、一文だけ引用。
「目的は、物語を悲劇に導くこと。」
もうこれだけで、鬱展開好きとしてはドキドキしますよね。
実際、内容もキャッチコピーに違わず見事でした。
劇中劇と言えばいいのか、語り部によって語られる話という形で、作品の中に二つのお話があります。一粒で二度美味しいとはこのことですかね。分岐によって話が進んだり鬱ったりします。すばらしいね。
個人的にはやっぱりトゥルーの結末が好きです。謎もすっきり解決し、なるべくしてなったバッドエンドだと思います。ララちゃんの笑顔が良いわあ……。
現実世界で、出版社の人間として活動する主人公。
物語の世界で、魔歌使いに翻弄される二人。
二つの世界の間に立つ謎の作家、M。
片やサスペンスのような現実感がありつつ、片やロマンティックで美しい幻想感があり、それでいて違和感がない。本当、上手だなあと思います。
どちらの世界観にもどっぷり浸かりこんでしまい、一気にコンプしてしまいました。
作品のシリアスと反対に、あとがきでのはっちゃけぶりも面白いです。平成狸合戦に笑いが止まりませんでしたw
参考図書紹介もとてもありがたかったです。通販はあまり好まないので、ただ今、図書館などを巡って捜索中。
自分は正直、ギリシア神話や世界史には疎く興味も持てない奴だったのですが、この作品をプレイしてみて興味関心意欲態度が急上昇しました!だって王かっこいいよ!
キャラクターで好きなのはやっぱりララちゃん。健気な子は大好きです。
王様の、凜とあらせられるのに愚直なところもツボです。
すれ違う悲劇のなんと甘美なることか……。
バッドエンドがお好きな方、あるいはギリシア悲劇のお好きな方へ特にオススメします。
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