うそうさ〜第二号室〜

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フリーゲーム「間違い探しのクロニクル」感想

「君と出会ったことは間違いでも正解でもなく」

この手にある事実だけで前を向ける前置き。

 

 

えー、今回は夜宵空ノ果テ。さんところのフリーゲーム間違い探しのクロニクル」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

一本道RPG。5時間以上10時間未満くらい。

まず書いてしまいますが本作、合わなかった点がかーなーりあります。私の文体はどうあがいても陰湿なので、マイナス意見が嫌いな方は読み飛ばして頂いた方が無難かもしれません。

代わりにと言っては何ですが、好きなところもしっかりある作品です。じゃなきゃ記事にしないのでね。好きと嫌いがパッキリ分かれているんだと思ってください。

良かった点だけ見たい方はスクロールして一番下までどうぞ!

 

というわけで、特徴的な点など。

 

 

新鮮な設定のスクランブル事故

 

まず本作のストーリーは、90年前に大災害を起こした堕天使が歴史改変により良きものだとすり替えられているので歴史一族である主人公が阻止しよう、というのが主な出発点です。

この設定自体はとても興味深かったんですよ。歴史一族という発想が良いですし、世界設定用語も「歴史一族」「能力者」「堕天使」とぱっと見てわかりやすいものばかりで取っつきやすい。この辺りはすごく良かった。

 

一方で、この動機が即捨てられちゃうんですよね。

物語中盤辺りからは、「歴史改変を阻止しよう」から「魔物の暴走を止めよう」になり、主目的がズレていってしまいます。一族の先祖が守った島を我々も守る、ということで自然な推移ではあるんですが、肩透かしな印象は否めません。しかも最終的に歴史改変や歴史を守るという言葉は物語中から消えます。

 

だというのに、ラストバトルでは思い出したかのように「歴史をかき乱した」というワードが出てくるんですよ。しかも歴史を改変しようと暗躍していた張本人に対してではなく別の存在に向けられる啖呵なので、カッコイイはずのセリフがどうも天然ボケに見えてしまいます。いやいやそれは言う相手がちゃうやろ、と。周りを鼓舞するためにしてもね。

 

もしかすると歴史改変は主題ではなく単になかなか動いてくれなさそうな主人公への動機付けだったのかもしれません。ただそれならそれで無理に歴史改変という大掛かりな話は出さず、人々の築き上げてきた歴史を再び壊そうとする悪を倒すぞ、くらいで留めておいた方が良かったんじゃないかな。

 

 

加えてストーリー上引っかかった設定など。

本筋じゃないので細かすぎる指摘やネタバレは文字色変えます。備忘録だと思ってください。

 

・死後の存在が「霊」「魂」「分身」など複数登場するのでどれが何だかわからない

→魔力を持たないものは霊に敏感、という点も、設定やそれを生かしたシルバーの活躍はとても良かったが以降一切その手の話が生かされなかったのが残念だった。

→墓守さんなんてせっかく立ち絵もあるのに、酒飲んで後日便利な装備くれるだけのおじさんだった。例えば初めに訪れるクロニクルの墓ではクロニクルを出さずに墓守さんが遺言を届けるということにしていたら、クロニクルが複数存在するという都合よすぎるような展開を避けられたと思う。墓守の存在価値も出て、代々続く稼業を続ける重みという点が歴史一族の姿にも重なってより深みを増したのではないかな。

 

・魔力持ちとそうでないものの扱いの違いが不明瞭

→「魔力を中途半端に持つ者や魔力の抵抗力がないものは歴史改変の影響を受ける」というようなことを言っていた(うろ覚え)気がするが、「魔力の抵抗力がないもの」と「魔力のないもの」の違いが不明。それに中途半端ってどの程度。作中の強さのランク付けが不明瞭なのと、一般人の一般的な魔力概念が一切提示されないので、設定のご都合ゴリ押しを感じる。

→ぶっちゃけシルバーやイユが歴史改変に巻き込まれていない理由がアバウト。

 

・魔界があるのに魔物が島に住んでいる理由が不明

→特に敵側はなぜわざわざ人間の住む世界に来ておいて「迫害された」「酷い目に遭った」と言っているのか? 魔界に住んでいれば巻き込まれなかったのではないか。

→島はありとあらゆる種族が住む中立地点だと仮定すると、今度は人間VS魔物の構図になるのが違和感。島が滅びるなら人間も魔物も共倒れになるから協力する魔物はいなくなるのでは? そもそも魔物がこれだけ暴れ回れるほど強いのなら、社会的弱者かのような態度が納得いかない。そこまでできるなら自力で滅ぼせ自力で。

 

・愚かな人間部分に説得力が少ない

→魔力をむちゃくちゃ持っているが故に迫害された人間とか、歴史一族の在り方に疑問を抱いた別の歴史一族とかが敵サイドに1人でもいるなら理解できるけど、最終的に魔物VS人間の構図になってしまうのであんまり人間の愚かさを感じない。なので敵の言うことが全部薄っぺらく感じてしまう。

→言われているのって過去の所業ばかりで、今マキ達の生きる時代で愚かさを見せた人間の行いって、「幼女にカツアゲする」「助けてくれたのに悪口を言う」くらいなので、あまりにパンチが弱い。もっとえげつないエピソードを持ってくるか、あるいは今のままで通して「歴史一族が言うのもなんだけどあんたら過去の人間の悪行にこだわり過ぎ」「レヴィックもマキも変わった、人は学んで変われる生き物なんだ、我々は歴史を大事にしてもう悲劇は繰り返さないんだ」みたいな方向性でいくなら納得できた。

→堕天使「魔物は協調性がある」って言ってたけどそれならそれでそういうシーンをはっきり見せて欲しい。むしろ好奇心で殴りかかってくる鬼のイメージが強いんだが。変に理由付けするとボロがでるから勢いで圧したほうが良かったと思うし、それで納得させられちゃうくらい膨大な演出力は持ってる作者様だと思う。

 

 

ただ、クリアしたからこそスッキリした謎も確かにあります。

  • キリアーデが全世界ではなく島限定で滅ぼそうとした理由
  • 彼女が分身として残り続けてきた理由

が主な点ですね。予想を超えてしっかりと回収してくれた謎でした。しかも大筋の部分だったので、ここが解決してくれたのはかなり物語として熱かったです。

なので【細かいところは良いから熱くなりてぇ!】って方はもう全然OKなストーリーかも。

 

 

 

王道の良さを見せてくれるキャラクター

 

クールだけど冷徹なわけじゃない、情でもって動く主人公マキ。彼女を始め、どのキャラクターも王道かつ魅力をしっかり押し出してくれて素敵でした。キャラが気に入ってたからクリアまでこぎつけられたくらいです。

一番好きなのはセドリックですね! 魅せ場も多いし、出てくるとぱっと場が明るくなるし、台詞の勢いが楽しいし。脳筋かと思いきや戦い方も多彩でカッコイイ。ドットが動き回るので、天真爛漫さが見て伝わってくるところも好きでした。

 

そうそう、立ち絵有りのキャラクターとたくさん戦う機会があるのも本作の魅力だと思います! バトルグラフィックが遠景のキャラもいれば迫力満点に斬りかかってくるポーズのキャラもいて、そういう違いも好き。あの狭い画面に違和感なく全身絵が収められている点にも絵師さんとしての力量を感じます。

 

立ち絵で言うとチェルシーの泣き顔差分がめちゃめちゃ好き。

顔差分もかなり多くて、くるくる変わる表情で展開を盛り上げてくれました。終盤は驚きの演出もあって、ドット絵バトルグラ立ち絵、どこをとっても好きです。タイトル画面の幻想的な雰囲気も大好き!

 

 

また、キャラクターの動かし方もグッド。

個人的に好きなのはこの辺です。

  • セドリックとちょこちょこ絡むイベントが後々効いてくる展開。終盤の飛空艇の疾走感もう最高。
  • ケイの某セリフ、そこからエンディングでのエピソードに至る自然さ。彼女の動機や性格が設定ではなく物語として描かれているところ。好戦的な部分と弱気な部分の見せ方がほんっと上手くて、かなり魅力的なキャラでした。
  • イユがどうやって魔法を使っているか。ファンタジーならではのロマンがありますし、イユが何でもできる超人じゃなくて隙があるというところも人間味があって好き。

 

ただ嫌いなところもあります。

特に、出会う人がどいつもこいつもシルバーに「こいつお前の彼女?」って聞いてくるところ。シルバー何も悪くないのに、マキは言ってきた相手じゃなくてシルバーに対してキレるし。理不尽だわあ。

 

 

艱難辛苦の伴うバトルとシステム

 

システム面とバトル関係は擁護しようがなく、ストレスフルです。

 

  • マップが異様に広い
  • わりに街中に宝箱はなくNPCのセリフも汎用的で探索する楽しみを感じられない
  • なのにNPCとの会話がフラグのサブイベントが起こる
  • イベントシーンで登場退場するキャラのスピードが遅すぎる
  • あちこち何度も行ったり来たりするのにルーラ(ワープシステム)が一切なし
  • 村長への報告というテイで何度も引き返す羽目になる(わりに反応は薄い)
  • バフデバフで威力が激変するのに、バトル途中で仲間が加入してくるイベントが何度もある(スキルを使い直す手間が増える)
  • ボス前回復が全くない
  • 重要イベントが起こる地点にある〇マークが視認しづらい
  • バトル中に選択しているスキルと選択対象になる仲間のコマンド枠が非常に見づらい
  • なのに戦闘ではスキルを多用することが推奨されているような耐久設定の雑魚敵が出てくる
  • 3歩歩いて敵、酷い時には1歩歩いただけで敵と遭遇する

 

思い当たるところだけでもこのくらいかな。

シンボルエンカウントにできるなら初めからそうして欲しかったというのが正直な気持ちですね。

総プレイ時間8時間のうち4時間はカットできる移動と戦闘だったように思います。雑魚敵もっと逃げまくっても良かったなこれ。

 

なお、バトルの難易度は易しめと書かれていますが、実際弱いのはボスだけです。雑魚敵はそこそこ固くて魔法のみ有効の敵もいるというRPG慣れプレイヤー向け。つまり、雑魚戦では異様に時間がかかるがボス戦は楽々で達成感が一切感じられないという、誠にもったいないことになっています。

 

 

 

項目立てすると、以上。

まとめると、演出良! キャラ良! ゲームのテンポ激悪!

となります。

 

ううーーーどうしてもこき下ろす記事みたいになってしまう。

いやでもやっぱり演出とキャラはめちゃめちゃ良いんですよ~~!!

楽しければそれでOKな戦闘狂キャラ、みんな好きじゃん! 私は好きです! 仮面付けてたりお洒落な文様ついてたりミニハットつけてたり、キャラデザがどれも素敵で魅力的だし。

それに仲間枠4人に対してメイン仲間キャラが5人というところを、上手いこと視点変化や離脱イベントを挟んで自然にやりくりしていた点はものすごく良いと思うんです! 演出としても熱かった、あのキャラが意外なところで、みたいな驚きもあって楽しかった。

 

ワンシーンに注目すると本当熱くなれる王道ファンタジー作品です。エピローグのね、各自が各自の道を歩んで日常が──みたいな展開も本当好きでね……。

 

 

 

はい。

というわけで、多大なシステム面の難と細かな部分にはどうしても言及せざるを得ません。ですが、クリアしたからこそ良さがわかると言いたくなる作品でもあります。キャラクターとしては好き、演出もグッドな作品でした。

 

 

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