うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「迷子のレープクーヘン」感想

「足手まといにならないように、置いてけぼりにならないように」

兄の言うことよく聞いて、妹に言うことよく聞かせ、な前置き。

 

 

えー、今回はうきうき雨季(6月)さんとさんところのフリーゲーム「迷子のレープクーヘン」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

ヘンゼルとグレーテルの兄妹が、カラッと闇深な依存関係を成しつつ、森を抜けて街へ行く話。クリアまで30分かからないくらいの短編RPG。ほんのり流血・グロ描写あり。

 

www.freem.ne.jp

 

 

結論から言うと、キャラデザも関係性もむちゃくちゃ好みでした!!

ヤベー兄妹が容赦ない世界で狂った共依存してるのが好きな方!! 私です!! ありがとうございました!!!

 

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

無邪気に闇の深い設定

 

童話『ヘンゼルとグレーテル』をモチーフとしている本作。

やはり内容もしっかりダーク。魔女をパチパチ焼き終わるシーンから物語は始まります。常識人ポジのキャラがいない分、兄妹二人のヤバさを止める人がいなくて、ただただ二人の世界でしたね~……。和気あいあいとダークでサイコな道のりを歩んでいくのが、良い……。

舞台やキャラ設定自体は暗澹としているんですが、兄妹二人とも仲が良くポジティブで、暗くなりすぎることもありません。ブラックほのぼの……? シニカルポップ……。

とにかく、刺さる人は刺さる感じです!

 

エンディングは2つ。一方はさらっと明るめ。ですが、やっぱり個人的にはもう一つのエンドを見るまで遊んでほしいですね~!

具体的な攻略メモは追記にて。

 

 

 

メルヘングロ可愛いグラフィック

 

敵キャラグラフィックは、まさにお菓子×グロ。

たまに見かける目玉型の白玉とか、心臓に見立てたアメとか、そういうのがピンと来る方はむしろ好きかもしれません。外国系のと違って彩度低めなのがまた、ホラーっぽくて良い……。

あくまで見た目だけで、モロな臓物などは飛び出てきませんので、その点はご安心を。この辺、おばけっぽさとグロの境界線を絶妙に突いてるんだよなあ……。

 

一方、お菓子の家はほんと正当派かわいいんですよ~!

調理台がでっかいロールケーキなの、かわいすぎません!? もう、最高! 最高~……!

なお、メインの探索場所になる森マップは広くもシンプルな作り。これはこれで歩きやすくて助かりました。

 

何より、ステータス画面?の一枚絵が大好き!!

ただキャラの絵だけあるんじゃなくて、背景や小物がちらりしてるところも好きなんですよね~。シンプルにイラストとして好み! 光る小石の原作リスペクト感LOVEです。

 

 

 

兄と妹が助け合えるシステム

 

兄の使えるスキルはほぼ全て妹の回復or攻撃アップ

ここすごく斬新でよかったですね~! 物語としても納得がありましたし、RPGのバトルとしても良い縛りでした。短編RPGって雑魚戦が作業になりがちなので、そこ上手く調整されていたなと思います。

妹が攻撃スキルオンリーのTHE脳筋スタイルなのも、キャラの性格にぴったりで好き。ふふふ。

兄自身への回復手段はありませんが、その分、マップの切り株で回復ができます。この辺りのバランス調整もナイス。

RPG初心者さんでも遊べるつくりになってるんじゃないのかなー、なんて。

 

二人の会話やストーリーだけ見ると妹が兄にひたすらついて行ってるだけですが、こうしてバトルシステムを嚙ませることで、むしろ兄が妹に支えられて上手く分業してるというのが伝わってきます。物語の説得力が上がってて素晴らしかったです!

 

 

ちなみにもしかしてなんですが、この兄妹、1着の服を分け合って使ってますかね……?

  • グレーテルが裸足→靴と靴下をお兄ちゃんに渡してる
  • ヘンゼルの上着のサイズが合ってない→ベルトを妹ちゃんに渡してる

みたいな。

だとしたらなおいっそう、服1着すらまともに買ってもらえない切なさが出て良いです。

 

 

 

さりげなく細やかな演出

 

感動したのが「はじめから」の演出!!

もうね~、この兄妹の想い合いが伝わってくる繊細な動作で、最高でした……。

この手の起動演出って、ゲームによっては毎回起動するたびに出てきて面倒というデメリットがありますが、本作はそこも配慮済み。ロード時には演出が適用されないのでプレイしやすく、良いとこ両取りの発想でした。

 

また、お菓子作りや休憩でデフォルメ1枚絵が入るのもすごくかわいかった~! スクショ撮っちゃったもんね! るんるん

 

あえて挙げるなら、お菓子の効果が作ってみるまでわからないところは不便だったかな……。

でも、レベルMAXのご褒美要素を事前に提示してくれたり、チュートリアルをゲーム内画像付きで丁寧&テンポよく進めてくれたり、各種説明はすごく遊びやすかったです!

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

ゴシックメルヘン、童話ホラー、兄妹依存関係、無邪気で闇の深い会話などが好きな方は、ぜひぜひぜひ! プレイしてみてください。

 

追記ではネタバレ感想。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

 

ネタバレ注意!

真相まで全部書いてしまっています。

 

 

 

 

隠し敵キャラ

 

マップの左(エンディング行きとは別の道)にいる、お菓子の形をしていないあの子たち。

1周目ではすぐに見つかったんですが、先に通常エンドっぽいものを回収してからにしたいな~、と思いスルーしたんですよ。

 

そうすると2周目、まさかのなかなか出会えない!

確定で出現すると思い込んでいたので、実はちょっと焦りました。へへ。

何度かレベリングしつつ覗きに行ったら出会えたので、おそらくはランダム出現なのかな……? 低レベルの時も高レベルの時も会えたので、たぶんレベルは関係ないはず。

 

おまけ部屋のことを考えると、あの妖精たちの正体もわかったもんじゃないですよね。森へ捨てられた似た境遇の子ども、とか……?

ともあれ、戦闘中のセリフ回しがすごく雰囲気あって好きです。

 

 

 

攻略?

 

作中でヒントは提示してくれているので困ることはないと思いますが、自分の再プレイのためにメモメモ。

  • 右ルート直行でハッピーエンド
  • 左ルート→隠し敵キャラ撃破→(レベルMAX?)→トゥルーエンド
  • トゥルーエンドで操作キャラが交代した後に引き返す→調べる→お菓子の家のドア→おまけ部屋

 

こういうのは自力で見つけてこそ、という方もいらっしゃるかもなんですが……。

でもまあ、追記に伏せているのでお目こぼしいただきたい! 自分はおまけ部屋にたどり着けてもっともっとこの作品が好きになれたので、おまけ部屋を見逃しているプレイヤーさんは是非!

 

あとちょっとしたところだと、冒頭で鍵を取らずにヘンゼルへ話しかけると会話パターンがきちんと用意されているのが好きでした。グレーテルのあほのこ要素がたっぷりな会話で、良い……。かわいい……。

 

 

 

 

真相

 

確かにね、思ったんですよ。

妙に人体の一部が混ざってる敵だなって、思ったんですよー……!!

ここからは妄想ですが、何もされなかったら普通のお菓子に見えてるけど、グレーテルへ手を伸ばしてきたからその手だけが認識されて、結果ああいういびつな形に見える、とか。両親の目がとにかく嫌だった、とか。そういう設定だったらよりおぞましくていいな、なんて考えながらレベリングしてました。

 

というか、道中の敵も人間だったのかなあ……?

仮に敵が全部人間だったとしたら、ドロップアイテムの「お菓子のもと」がエグすぎて怖い。大好き。ありがとう闇深設定。

 

 

 

ヘンゼルからグレーテルへの気持ち

 

家族への愛というよりは、利用価値があって便利だから大事にしてる気持ちのほうが強そう。でも、別にそれだけじゃなさそうな情が見え隠れしているところが好きです。

なんだろうな、別に美談にしたいわけじゃなくて。

単純に損得勘定ってそうそう感情と切り離せない気がするんですよね。冷たくしなきゃだめって思うほうがむしろ情を寄せてる気もするし。

「便利」と「かわいい」が共存しててもいいよねーっていう。この辺りが、なんだかすごく自然体で生々しくてよかったです。

 

いざグレーテルを切り捨てなきゃいけない場面が出たとして、ヘンゼルはグレーテルを“無理しない範囲で”助けると思うんですよねー。妄想ですが。

率先して切り捨てはしないだろうけど、どうしようもなくなったら手を放しそう。そして、グレーテルもその方が喜びそう。

 

この絶妙なバランスが唯一無二だなー、なんて。

 

 

 

グレーテルからヘンゼルへの気持ち

 

ヘンゼルはある程度自己開示してくれるし、おまけでも語ってくれるんですが、こうなると逆にグレーテルの方も深堀りしたくなっちゃいますね。

でも、語らずとも自明っていうのもあるんだろうなー……!

お兄ちゃんが一番。自分がどうなろうとどうでもいい。自分が利用されてても気づかない。がんばり屋さんだけど、がんばり方もお兄ちゃんに教えてもらわないとわかんない。馬鹿で一途でかわいい子。そんな感じ。

日記みたいに、壊れ具合をエピソードでわからせてくれるの、説得力と凄みを感じます。

 

レベルMAX時の会話がぶっ壊れてて大好きです!

プレイヤーが操作してるのはグレーテルですが、グレーテルの闇はプレイヤーに見通せないくらい深い、このアンバランスさも好きです。シンプルなはずなのに不透明……。

体つきはしっかり成長済なので、なおさら言動の幼さが際立って好き!

 

 

 

 

単語一覧

 

知らなくて調べた単語がいくつかあるので、ついでにメモ。

レープクーヘン:Lebkuchen ドイツのクリスマスケーキ。レープクーヘンハウスと言うとお菓子の家。

ヘクセンハウス:Hexenhaus  魔女の家、転じてお菓子の家。Hexe(ヘクセ)は魔女の意。

 

 

 

 

 

だいたい語りたいのはこのくらいかな?

兄妹愛も、ダークな世界観やエンディングも、全部が好みな最高短編でした!