「わかっているから近づけない」
それでも想いは止まらない前置き。
えー、今回は、Jelikoさんところのフリーゲーム「聖ウァレンティアヌスの日-DER KUSS-」の感想をつらつら書きますね。例のごとくレビューっぽいかも。
まず、こちらフリゲ1本に加えて、SS数作が公式サイトで公開されており、Azurシリーズとしてまとめてあります。全体的に、姫や騎士、貴族社会などなどの中世ヨーロッパっぽい雰囲気です。
もちろんどれか単品ずつでも楽しめるかと思いますが、こちらの姫視点SSを読んでおくと、より世界観に深みが出るのでおすすめです。
このSSの方はね、姫と絵描きの絶妙な距離感が……もうね。震えます。身分が身分である分、先の困難が容易に推測できて切なさ倍増です。テンポ良く情景の想像しやすい文章で読みやすいので、文章だけってのはあんまり、って方も是非試しに読んでみて欲しいなぁと思います。
さて、ゲームの方は、侍従視点ということで、世界観共通のほぼ別サイドなお話になります。
というわけで主題のゲームの感想を。
グラフィックについて
顔グラやテキストウィンドウが大きめで見やすいなあというのが第一印象。
絵柄や枠、ちょっとギスギスした宮廷の感じや台詞回しなど、随所随所に世界観を感じられる描写があって好きです。あと、何かを選択した時のSEが重々しいのも、甘苦い展開に合っていて良いなあ、なんて。
絵柄は優雅というか耽美というか、とにかく美しい雰囲気です。前作Eadefrikeもプレイ中なんですが、この見惚れるようなイラストはたまりませんねー。こういう硬派な感じや、カントリー?ロイヤル?な重厚さ、ついつい腰を据えて観賞したくなります。
キャラクターについて
ヒロインは自分で自分のことを可愛げがないと言っちゃう人なんですが……プレイヤーとしてはとんでもないと叫びたい。ひねくれているわけではなく、揺れ動く乙女心に自分でももどかしさを感じている雰囲気が出ていてとても見ていてどきどきしました。内に秘めた激情が魅力的。
一方、攻略対象の騎士様も、軽薄とみせかけて一途な方でして。こう、芯に強いものを持った人同士の恋愛というのは、見ていて気持ちが良いですね。……先がどうなるかは、わかりませんが。
初プレイでベストっぽいエンドに行けたのもラッキーだったかもしれません。
切ない恋愛、中世ヨーロッパ、雪や冬の静謐な感じ……等々がキーワードかな。
短編ながらも、ほうっと見惚れるような作品でした。
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