「これは本音じゃなくて、架空の誰かのセリフだから」
伝えなくても声に出すだけで楽になるかもしれない前置き。
えー、今回は虚構製造社(雨ガエル)さんところのフリーゲーム「SecreT:LosT」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
クリアまで数十分の短編ノベル。弟→姉→先輩という片思いの現代恋愛もの。展開は切なめ。
短編ということもあり、思いきり最後までネタバレありの感想になります。
未プレイの方はご注意を!
というわけで、良かった点など。
演劇を通して本音をこぼす
ヒロインは演劇部。作中では演劇の練習のため、弟と台本読みをするシーンが何度か挟まれます。
練習中のセリフがヒロインの本心とシンクロしたり、弟の隠したい姉への恋心が台本を通じて出てきたり……。事情を察しているプレイヤーだからこそわかる趣がありました。
姉弟ともに、なかなか好意を言い出せないという事情は共通なのもまた上手いところ。
こうして間接的に気づかされる、察せる物語っていいですよねえ。
ビターな味わいのエンド
公式にも悲恋とあるので書いてしまいますが、本作の恋は全てがビターな形で終わります。
姉が恋に破れても弟からのアプローチはなし、ここも意外でしたね~。よくあるフィクションだと、ほら、失恋の傷心を狙ってどうのこうのするパターンって多いじゃないですか。本作はこの辺りすごく現実的でした。ウェディングシーンまで入るところも斬新。
鬱展開ではないところが個人的にポイント。想いをぶちまけてぶっ壊して、みたいな形ではなく、静かに悲しみを噛み締めながら恋を焦がし続ける苦しさが響きました。
とまあ、こんな感じで。
さらっと短編で、物静かな気持ちになりたい時に読みたいノベルでした。
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