うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「エインワーズ家の従僕たち」感想

「尻ぬぐいなら自分でできると豪語するよりは数センチまし」

すがって頼れるお得な性格も時には大事な前置き。

 

 

えー、今回はとらねこさんの小屋さんところのフリーゲームエインワーズ家の従僕たち」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

コメディなノリで一本道の短編RPG

登場するのは少年達、公式曰く「女の子いらないから、燕尾服の少年たちだけ見ていたい!という方にオススメ」とのこと。女の子も欲しい派ですが従僕(執事)と魔法使いという設定に惹かれるものを感じたのでDLしました。

 

というわけで良かった点など。

 

良点難点併せ持つキャラクター達

 

メインで操作できるキャラクターは4人。彼らの性格の噛み合い方、相性の良さがものすごく光る作品でした! キャラ萌えの方はしっくりくるRPGだと思います。

四人ともそれぞれ大小の違いは在れど、見せ場と魅力とおちゃめな欠点があって、完璧超人でないからこその掛け合いがすっごく楽しかったです。

 

特に面白みを感じたのはディーですね。あの手のプライド高いキャラって人心掌握のスキルも高いイメージがあったので、意外と欠点がボロボロ出てきて楽しかったです。三男の劣等感の裏返し~とかがあるのかもですね。

あと、レオンもヘイトを溜めやすい性格してますが、あそこまで明るく開き直ってると逆に気持ちが良いなと思いました。無駄な自信がありすぎる! きちんと報復されるシーンがあったので、なおさらバランスが取れて良く感じたのかも。

なお好きなキャラはロイです。買い出しイベントで大好きになりました。

ウィルは特殊差分と一歩引いた(引きずり出される)スタンスが好き。

 

全体的にセリフのテンポもよく、時に呆れ時に突き放しつつなんだかんだと連帯して仲良くやっているところが微笑ましかったです。

 

 

バトル嫌いでも好きでも楽しめる難易度

 

まず本作の特徴として、経験値の概念がありません。ストーリーを進めるか、探索で発見できるアイテムを使用してレベルが上がります。

雑魚敵と戦うのが嫌いな方はさっさと逃げてしまってもOKってわけですね。

私はシンボルエンカウント全部屠って進む派なのですが、きちんと戦えばそのぶんお金を溜めて武器を強化して新しいスキルが使えるようになるので、戦う派にも見返りがあるシステムでうれしかったです。

 

戦闘難易度自体はけっこう優しめ。

途中からレベル上げ&消費アイテム使用禁止、の縛りを進めたら手ごわく感じるくらいでした。

SP消費がピーキーで、まさにチュートリアルの説明通り、考えなしに魔法ばかり使っていたら詰んでしまうところが楽しかったですねー。回復スキルが無いのも良い塩梅。

制限をしっかりかけたうえでなお楽しめるバトルを作るのは技量を感じます。

 

 

バトルを彩るボイスとグラフィック

 

バトル中に必殺技! カットイン! 決め台詞!

はいもうこの時点で大好きです。ありがとう。

ボイスのオンオフは早期にとらねこさんが設定させてくれます。また、メニュー画面のグラフィックを変えられたり、街までさくっとワープシステムがあったりと、あちこち親切。起動画面がランダムで切り替わるのもわくわくして好きです。

 

あと、マップ作りも丁寧で好きでした。

私、ダンジョンの分かれ道が長すぎると迷子になってしまう性質でして。その点本作は行き止まりルートならすぐにマップが途切れて、一マップ戻ればすぐに正規ルートへ行けるような作り。すごく助かりました。短編というのもあってダンジョンの広さとしてもグッド。

それに、誰の魔法を使うかというギミックや、リトゥの欠片置き場などがあることで、単調にならないようにしてあるところも創意工夫が感じられて好印象です。

 

 

お約束を叶えてくれるイベント

 

サブイベントやミニ会話の多さ! ここも良点の一つです。

堅物キャラの意外な可愛い一面、飄々としているキャラの意外な生い立ち、知的キャラの思わぬ弱点、などなど。誰のこと言ってるか丸わかりですね。

お約束とわかっていても萌えるんですよー。ディーの特殊差分とか、ウィルの特殊差分とか。特にウィルは油断していたところで来たので思わぬご褒美にわっしょいしてしまいました。

メインストーリー中でも、大ピンチのシーンや、従僕の誇りを語るシーンなど、印象的なところが多かったです。ドラマチックな展開を作る、王道路線に強みを持ってる作者様だなーと思います。Gファンタジー辺りで連載されてそう。

 

余談、サブイベントのチュートリアルが起こる前に街の探索を済ませてしまっていたのと、進行度に合わせて増えるのに気づかなかったので、リトゥの欠片の数を見るにそこそこ会話イベントを見逃してしまったようです。しょんぼり。

これからプレイされる方は、こまめに街を回ってみてくださいね!

 

 

 

合わなかった点

一方で、合わなかった点についても少し。

 

 

 

話の転がし方がトラブルに偏っていること

 

前述でシーンの魅せ方を良点として挙げた一方で、この方のギャグの感覚は合わないなーと実感しました。なんだろう、ストーリーのためなら他の誰かを貶めても構わないように感じてもやっとするんですよね。

例えば酒場で働くイベントは、こっちが善意で助けたのに弁償を要求させられる展開にイラっと来ましたし(ディーがキレて氷漬けにしなかったのが意外)。メインストーリーのオチも、せっかく頑張ったのに全然報われない感じがして少しがっかり。

 

でも、あのはちゃめちゃドタバタの雰囲気自体は好きなんです!

なのでどこかで誰かの好感度を下げるぶん、別のどこかで報われるようなイベントが起こる等々、後のフォローにもう少し気を遣ってあったら良かったのになーと思いました。

どうせギャグなんだから、で鈍感になるのが一番なんだろうとわかっちゃいるんですけどねぇ。

 

 

BLではないけれど……

 

確かにボーイズ同士でラブをしているわけではありません。が、あとがきで女装ネタや特定キャラへのフラグネタが熱く語られていたり、触手に襲われる展開皆好きだろみたいなノリが起こったりするので、看板に偽り有りな印象です。

少年ばかりと言いつつ女の子もサブメインで出てくるところもちょっと矛盾しているような。うーん、注意書きが逆に誤解を招くなあと感じます。

私もBL自体は嗜むんですが、男受け描写は無いものだと思って進めていたので頭がバグりました。

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

やや苦言も書いてしまいましたが、総括としてはバトルが楽しくキャラが生き生きしている、明るく元気なコメディRPGです。

 

燕尾服の少年たちが魔法を駆使して駆けまわる、これだけでも目の付け所がマーベラスな一品なので、気になった方は是非プレイしてみてください。

 

 

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フリーゲーム「SweetSpiceSummoner! (すいーとすぱいすさもなー!)」感想

「無邪気な子どもこそ手のかけがいがあるというもの」

お手付き前にがんばりましょうな前置き。

 

えー、今回はspice+さんところのフリーゲームSweet Spice Summoner! (すいーとすぱいすさもなー!)」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

材料を集めてイケメンを召喚してみよう! な乙女ゲーム

明るく可愛い短編ゲーで、周回前提。私はコンプまで1時間弱かかりましたが、エンド回収に関係ない会話分岐も集めたうえでのプレイ時間なので、さくさく行くならもっと短くなるかも。

 

というわけで良かった点など。

 

ピュアなおこちゃまヒロインと、個性豊かなイケメンたち

イケメンを召喚するゲーム――というとガツガツ肉食系な印象がついてしまいそうですが、主人公ちゃんは恋愛のれの字もまだわからないピュアな子です。

まずこのヒロイン像が好きなんですよね~。しっかり女の子してて可愛いのに中身はちょっと成長しきってなくて、でも明るく元気いっぱいで性善説、しかも……な過去のおまけつき。まさに理想のヒロインでした。衣装もすっごくかわいい!

 

そんな彼女を応援したりこっそり独占しようとしたり堂々と危ない世界へ引き込んでいったりしてくれるのが、召喚魔こと呼び出されるイケメンの皆さんです。名前からしてチャラ男、ジェントルなどなど、ピンときやすい感じ。基本的なキャラ属性をしっかり押さえて、かつテンプレを少しはみ出る魅力を見せてくれるところが素敵でした。

 

 

たっぷり掛け合いを楽しめる会話分岐

上記の通り基本は根が良い子ばかりなので、掛け合いも明るく元気にほのぼの。

会話分岐がかなり盛り込んであるので隅々までチェックしたくなります。例えば会話中の選択肢はエンド分岐自体には関係ないんですが、それでも全部見たくなる魔力がありました。だってどっちも選びたくなる選択肢なんだもの!

他にも、エンド名は同じでもキャラによってエピローグが違っていたり、召喚した後も一言お話ができたり、街のモブの皆さんも2回話しかけると内容が変わったり。

短編ながらも細やかに凝りまくってる作品だなあと思います。

 

 

ミニチュア風のかわいいドット

ツクール製でうろうろできるゲームなんですが、マップのドットがかなりちっちゃくて、ドールハウスとか小さい箱庭物に通ずる可愛さがありました。調べられるところはしっかりマークをつけて、プレイヤーへの配慮と見た目の可愛さが共存してあるのも◎。

 

召喚するとみんながマップ上に増えてくれるのも嬉しいんですよね。話しかけられるし、見た目も可愛い。もうねブニャーンが本当かわいいんですよ。うちにも欲しいです。来て。

 

床のアイコンで進行方向や進行不可の場所がわかったり、アイコンのおかげで一目で今の状況が確認出来たりするのも良かったです。視覚的情報をしっかり整えて、かわいいを作り上げている感じ。

あと変なツボですが、「あさ」「ひる」と来て、「ゆう」じゃなくて「くれ」なのもなんか好きだなーと思いました。

 

 

ノベルゲライクの親切システム

会話中にセーブができる、これめちゃくちゃありがたかったです!

回想機能大好きなゲーマーとしては、ふっとイベントを見返したい時にすぐ見れるのって本当嬉しいんですよねぇ。メッセージ履歴が見れたりスキップができたりするのも嬉しいし、何より画面上に操作方法が表示されているのがとっても親切!

ユーザビリティ? プレイヤーに優しい! ゲームだなと思います。

 

また、スチル回想画面でプロフィール閲覧ができるのも嬉しい点。キャラゲーってこういう図鑑があるとより楽しさが増しますよね。

エンドごとにフォントが違ってたり、普段の会話のフォントがドットっぽかったりするところも好きでした。グラフィック面凝ってるとそれだけで強いですよねぇ。

 

 

とまあ、こんな感じで。

とにかく隅々までとっても凝ってて、収集欲を掻き立てられます。

可愛いグラフィックと和やかな掛け合いが魅力の、かわいいゲームでした!

追記では各エンド感想。

 

 

続編『さまーすぱいすさもなー!』感想↓

t.co

 

 

 

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フリーゲーム「幻影のビブリオ」感想

「失せ物探しは気楽にせねばこちらの圧で逃げていく」

よくお気に入りの物が家出してしまう前置き。

 

えー、今回はとらねこさんの小屋さんところのフリーゲーム幻影のビブリオ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

一本道の短編RPG、古き良きファンタジーの流れを踏襲している印象。さくさくプレイできる難易度で、お手軽に明るい一作です。

 

というわけで良かった点など。

 

連載前提の爽やか読み切りストーリー

一通りプレイした印象としては、売れ行き次第で連載予定になる短編少年ジャンプっぽいストーリーラインでした。本作は壮大なストーリーの中の一頁という感じ。そう、まさにビブリオだけに一ページ。調子乗ったごめんなさい。

ともあれ、メインキャラ二人の今後を想像する余地も残しながら、エピソードとしては綺麗に完結している良作でした。軽く捻ったオチも含め、お決まりの流れだからこそ、王道の良さを確かめさせてくれるお話です。TRPGキャンペーンセッションの第一話などが好きな方には特に刺さるものがあるんじゃないかなと思います。

 

 

なんだかんだで良いコンビな二人

メインキャラは二人、ビブリオ探しに奮闘する少女リコと、その護衛役なイケメンのアガート。この二人の距離感がすごく微笑ましかったです。

男女ペアですがべたべたした距離感はなく、きゃっきゃと騒ぐリコを窘めたり止めたりしつつなんだかんだで守ってやるアガート。まさに太陽と月なペアです。戦闘中もリコが倒れかけたら庇うが発生してびっくりしました。お仕事している!

 

まあ、残念ながら私はちょっとリコの性格が合わない時もあったんですが……。良くも悪くも良家のおてんばお嬢さんという感じがして、キャラの一貫性はあるなーと思います。

大人なりの目に見える義理でカッチリ筋を通していくアガートの姿勢も大好き! お人よしのお嬢さんに損得勘定しっかりしてる男をぶつけるのすごく上手かったです。

 

あと、掛け合い! セリフの掛け合いが、思わずぶふっと笑ってしまう良さがありました。ぱっと見テンプレなので初めは油断してたんですが、その裏にしっかり独自のテンポの良さがあって、気づけば注視しちゃう感じ。すっごく楽しかったです!

 

 

テクニカルな楽しみ方もできるバトル

シンボルエンカウントのコマンド選択型バトル。

防御中や戦闘後にMPが回復するというのがまず目を引きましたねぇ。魔法のコスト管理もなかなかで、ほどよくタイミングを計りながら回復していくのが楽しかったです。

HP回復スキルの回復量が少なめだったり自分だけだったりと、大事なところをしっかり抑制していくことで、バトルに緊張感を持たせてくれていた印象。

 

シンボル敵の速度はけっこう早いので低レベルプレイは難しいかもしれませんが、ある程度逃げつつ進んだら手に汗握るバトルが味わえました。ゆるくプレイしたい派の人もしっかり敵を倒していったら楽に進める、良い感じにライトなバトルだったなーと思います。

 

また、防具の概念を“ビブリオ”に置き換えて、物語の重要アイテムをプレイヤーに意識させてくれるところも上手。アガートが装備できるビブリオを深読みすると彼の目的がより重く感じられて、お話としても熱かったです。

 

 

ドットが可愛いグラフィック

私リコの外見が好きなんですよ。ツインテ魔女っ娘。萌えいでか。

顔グラはアガートがかっこいいし、つまり二人とも好きですね。はい。

そうそう、顔グラと言えば。メッセージウィンドウに出てくるのが顔グラじゃなくてドットの歩行グラ?というのが新鮮でした。表情は歩行グラでもくるくる変わってくれるのでこれはこれで。あと、画面がすっきりして見えるのも良いですね。

 

また、マップ上で行けないポイントにも森が茂ってたり水が流れていたり、視覚演出もさりげない良点でした。ビブリオ使う時の演出がかっこよくて好きー。

特に水上でモンスターとすったもんだするシーン、ドットが飛び回るし熱いしかっこいいしですごく盛り上がりましたねぇ。浮遊のビブリオが上手い具合に生きてるのもグッド!

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

長さとしてはコンパクトな短編ですが、余計なやり込み要素はしっかり削いで、一本で綺麗な満足感を得られる良RPGでした。

 

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フリーゲーム「Flavor of Chocolate」感想

「恋の駆け引きなんて抜きにして、ありのままの気持ちを見て欲しいの」

板チョコ1枚顔面に叩きつける前置き。

 

 

えー、今回はOtomE DeviceさんところのフリーゲームFlavor of Chocolate」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

Flavor of C'Lover」の番外編。基本的な操作感もキャラも共通で、前作のとある一日にスポットを当てたような作品です。

 

というわけで良かった点など。

 

誰にどれをどこで?

番外編ということでコンパクトにまとまっている本作ですが、会話分岐の多さは依然として魅力的です。

キャラごとにエンドの種類は3つ。ですが選択肢での展開の違いが多く、1つのエンドで二粒も三粒もおいしい展開が味わえました。あげるチョコも義理か本命か選べて、さらには渡し方もキャラによってさまざま。

プレイヤーによっては本命より義理イベントのほうが好き、なんてこともあるかも? 

 

あなたが渡しに行く操作感 

マップ移動のシステムや、キャラに街のあちこちで出会える操作感は健在です。なので、自分で選んで渡しに行くワクワクがより味わえるなあと感じました。

道中で思わぬ本命に出会い、うっかりチョコを渡してしまった――なんて小悪魔なプレイも楽しめます。ふふふ。

 

さりげない改善

体力がステータス画面に飛ばずとも一目でわかるようになりました!

もうこれだけで素晴らしい改善ですよね。ありがたい……。

チョコ数が行動可能数に直結しているので、見た目もオシャレでわかりやすいです。前作で求めていた機能をしっかり組み込んでくれるところが好印象でした。

 

意外な構図のスチル

前作でも感じていたんですが、スチルの構図がすごく攻めてるなあと思います。あまり見かけない構図、ですよね? ただ口元をアップするだけでなく、角度とか、足の位置とか、それぞれの表情とか、かなり独特で興味深いなーと思いました。

特にルーチェのスチルがお気に入り。ああいう表情大好きです。

 

 

とまあ、こんな感じで。

各キャラの感想は追記に畳みますね。

相変わらず糖度高めで愛され感の強い作品でした。

 

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フリーゲーム「Flavor of C'Lover」感想

「薔薇百本より好き百回」

小さく長く続けていきたい前置き。

 

 

えー、今回はOtomE DeviceさんところのフリーゲームFlavor of C'Lover」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

攻略対象は七人、地道に好感度を上げてラブラブゴールインを目指す乙女ゲーです。公式曰く、経営ゲーの皮をかぶった交流ゲーとのこと。選択肢で場所を選んだり、お買い物をして依頼を受けてプレゼントしたりする、選択式ノベル?ADV?な雰囲気です。

 

というわけで良かった点など。

 

小さな好きが積み重なっていく交流ゲー

 

キャラとの会話がめちゃくちゃ多いゲームです。バリエーションが豊富で、好感度によって、季節によって、状況によって、等々かなり細かく設定されています。さらに攻略対象が多いので、ちょっと移動するだけでも色んな人と出会ってお話ができます。

会うたびにニコっと笑いかけてもらえたり、そのキャラのちょっとしたエピソードや価値観がわかったり。仲良くなってくると、明日も明後日も会いたいだなんて口説かれちゃったり、倒れたら心配してもらえたり。

 

細やかにさりげなくあるいは大っぴらに好き好き言ってもらえる!

これぞ乙女ゲー、これぞ明るい愛されゲーですよ!

私なんて単純なもので、好きって言われたらころっとときめいちゃうもんですから、もうすぐさまドハマりしました。ヒロインの反応の選択肢が基本三つあるのも嬉しいんですよね。一度見た会話も別の選択肢を選びたくなっちゃいます。

 

もちろん、キャラごとに大きなメインイベントもあるのですが――やっぱり個人的には、小さな会話が積み重なってどんどん好きになっていくゲームだなあと感じました。

 

 

七股可能の総愛されプレイ

 

そして驚くことにこのゲーム、七股可能です。

というより、複数攻略のデメリットが無いと書いたほうがいいのかな?

二人の攻略対象のうちどっち寄りの選択肢を選ぶか迫られることはあります。ですが選ばなかったからと言って機嫌を損ねられるわけではなく、多少の反応の違いこそあれど好感度は保ったままです。

 

そんなわけで「総愛されゲー」が徹底されているなあと思いました。

なんだろうな、モブに嫉妬したり横恋慕に苦悩したりすることはあっても、ゲームシステムとしてのマイナス要素は徹底的に排除されてるんですよ。これがすごく有難かったです。プレイしやすい、コンプしやすい、素晴らしい。

 

私はブログ説明文の通りヤンデレやドロドロ展開が大好きなので、嫉妬でぐずぐずになったり好感度が下がって冷たい態度を取られたりするのも好きですが、そこはそれ。

このゲームは「明るくて前向きな好き」で押してきてくれる作品なんだなーと思いました。思い悩むことはあっても、皆最後は笑顔で好きって言ってくれるとこが素敵!

 

 

せっせと集めるお金と好感度とステータス

 

基本的には、依頼を受ける→お買い物→料理する→お届け→会話→デートって感じで毎日過ごしてたんですが、これがなんかもう延々と続けられちゃうくらい楽しかったです。

やっぱり会話分岐がべらぼうに多いのが良いんですよねぇ。誰の依頼が来るのかわくわくしましたし、好物を狙いながら試行錯誤するのも楽しかったですし、街をふらついてる間に人と会いまくるのも賑やかでしたし。何か行動したらすぐ誰かと会える、毎日同じようでちょっと違う感じが好きでした。

 

毎日ステータスが1ずつ減っていくというのも、重すぎず軽すぎず良い縛りになっていた気がします。好感度・ステータス・お金の三つを軸に、ゲームの進行度に合わせて高めたいものが変わっていく感じ。この、色んなことやってる感じって経営ゲーならではでいいですよね。

お金が余ってきたらある程度ドーピングできるのもありがたい点でした。メガネを溢れるほど買いまくった思い出……。

 

 

ファン大歓喜の回想機能

 

一番主張したくて一番嬉しかったのがここ!

回想機能です!!

好きシーンのセーブデータ取ったりスクショ集めたりする、私のようなゲーム好きにとってはご褒美のような機能です。ありがとうありがとう。

メインイベントだけでなく、細かなデート会話やエンディングまできっちり回想に加えてくださっているのが本当に嬉しかったです。もう、わかってらっしゃる!

また、全クリ後は後日談が解放され、実質的にクリア後のおまけ要素として機能しているのも上手いところ。

 

 

季節を感じる衣替え

 

種類豊富なのは何もテキストだけではありません。経営シミュレーションには欠かせない、季節の変化と衣替えがあります。

ファンテンの夏立ち絵がめちゃくちゃかっこいいんですよ! 惚れざるを得ない! カルバドスのさりげないオシャレさんっぽさも素敵でした。さらにはヒロインにもしっかり外見が用意されているので、メニュー画面が実に華やかです。

お誕生日の設定もでき、新年やバレンタインなどのイベントも豊富。季節ごとに列車での行き先が変わるのも、広い世界を感じさせてくれて魅力的でした。

 

ただ難点もあって、カレンダー等が無いのでいつイベントが起こるのかわからない点や、オリジナルの月名を使っているので今どの季節なのかがわからない点はやや不便。

でもお祭りイベントは大好きです! メニューでもらえたアイテムが確認できるのも、思い出アルバムって感じがして見るだけでわくわくできました。

 

 

惜しかった点

合わなかったところや惜しいと感じたところ、大半はシステム面ですね。挙げると以下の通り。

 

・数値が一目で確認できない

 ステータス表示がクローバーだったりコインだったり、演出自体は好きなんです。

 が、数値が条件になっているのでぱっと視認できるとよりプレイしやすかったかなと。

 

・シーン切り替えがゆったり&移動に距離がある

 特に序盤や終盤、作業ゲー率が高まるとスキップ込みでも長く感じました。

 また、虫眼鏡マーククリックでのジャンプ先に登録されていない移動先がいくつかあり、特に駅とアジトが遠く感じました。距離感を演出されているのかもと思いつつ……。

 でも移動スキップ機能が実装されているだけでも本当に助かりました。

 

・会話条件がわかりづらい

 ここはやり込み派故なので、こう、申し訳なくもあるんですが……

 季節限定、(たぶん)ステータス値条件の会話もいくつかあるので、未開放の会話の条件が見られる場所があるとより楽しめたかなあと思いました。

  

と、列挙してしまいましたがこれらもハマってしまったからこそのポイントです。これだけ色んなことができるゲームだとなおさら、求めるところもつい多くなってしまいがちですし。

なにより、キャラがめっちゃいいので!会話分岐も良いので!! もうそれだけで百点満点なので! そこは熱く主張させてくださいね!!

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

ファンタジーでゆるいカフェの雰囲気も、バリバリ戦場に立つブラックな設定も味わえつつ、まったり愛されまくる明るい乙女ゲーでした。

追記ではネタバレがっつりで各キャラの感想など。

 

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フリーゲーム「昭和シンデレラ」「煮込みシンデレラ」「残業シンデレラ」感想

「総菜パックで終わらせないだけ尊厳は残っている」

卵を焼くのも面倒になる仕事終わりな前置き。

 

 

えー、今回は禁飼育さんところのフリーゲーム昭和シンデレラ」「煮込みシンデレラ」「残業シンデレラ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

どれもドット絵でのんびりテイストな全年齢ゲー。

私はついつい、この作者様の他ゲーで見られる鬱要素や厭世的な女の子がなんだかんだで楽観的だったばかりに追い詰められてしまう感じの展開に注目してしまうのですが……。

ここで紹介する作品の面々は基本、ほのぼの仕様です。あの独特のパワーがある文体は全年齢ゲーでこそてらいなく楽しめる気もするんですよねぇ。

 

まだ本編にあたるはずの『蛇とシンデレラ』自体はプレイしていないのですが、『ちぎみちゃん』と『処女失格』みたいな関係なんでしょうか。楽しみです。

 

ともあれ、各作品について。

 

 

 

『昭和シンデレラ』 

[概要]

公式曰く1日で作った短編ノベルゲー。

エイプリルに公開されたのもあって(時期限定公開かと勘違いしていた)(恒常公開ありがとうございます土下座)、シンデレラシリーズにここから入りましたが、すんなり読み進められるのんびり短編でした。

 

[感想]

まったりだらだら読み進める系かと思いきや、ふっと、不思議な話で締めるこの感じが面白かったです。なんだろう、平和なはずなのに妙な気持ちだけが残るというか。世にも奇妙な物語というか。

結局どうなったんだろう、何があったんだろう? 想いを馳せずにはいられないけど、寝て起きたら忘れちゃうこの塩梅がまたリアル。

詳細は伏せるとして私もその手の、「なんだったんだろう?」を感じる経験が実は1回あるもので、シンパシーを感じる作品でした。

 

[一言]

たいやきはカスタード、実に同感であります。

 

 

『煮込みシンデレラ』

[概要]

上記作品から原点を辿って、一作目。

煮込みって単語とシンデレラって単語の不協和音すごくいいですよね。

 

[感想]

テレビ画面がさりげなく放送事故ってて笑いました。

寂しくわびしい独身女のところに、明るくもどことなく同じ寂しさを抱える男がやってくる……というそれだけの話ですが、どことなくほんわかとした心地になります。世の中を斜めから見つつも、素直に嬉しいものは嬉しい感じ。

なのでreadmeを試してびっくりしましたが。

ある意味この作者様らしい、ゲス黒い余韻でした。

 

[一言]

独りでハッピーハロウィンする気力もないあなたへ。

 

 

『残業シンデレラ』

[概要]

続いて二作目。胃の痛くなるタイトルですが、内容はやっぱり黒い癒し系です。

 

[感想]

ごかくさん!ごかくさんではないですか!

普段の彼の外面の良さを感じられて思わぬところで興奮しました。できる人なんだよなあ実際、ちょっとこじれてるだけで……。

テレビ画面やカレンダーのお遊びの代わりに、間を挟む酸ノ宮さんやチャレンジャーなお味の差し入れでぶふっと笑ってしまいました。

そしてクリア後の展開、予想はしていましたがおまえー!おまえー!でもあとがきの一枚絵の左下が面白かったので許します。真夜中に耳元でキーボードカチャカチャッターンッってしてやるからな……(根に持っている)。

 

[一言]

辛い残業を力と金に変えるため生きていこうと思います。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

今にして思うと昭和シンデレラはクリア後ギミックがないんですね。ないんですよね? そのぶん、なんとも奇妙な余韻が残り続ける後味が濃厚でした。

 

お仕事あるある、独身喪女あるあるな展開に共感したい方や、かわいく不穏な男でもやっと締めくくる展開が好きな人に。さくっとクリアできる短編でした。

 

 

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「可憐で清楚な乙女は酒池肉林なんてしません!」

そんな固定観念を破壊していく前置き。

 

 

えー、今回はspice+さんところのフリーゲーム999,Victory -Return-」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

ガチャと気合で魔王をぶっ倒す名作、「999,Victory」の続編。

実績解除を目指す基本的なシステムを継続し、さらに魔王的にパワーアップされている良作です。もちろん前作からプレイ推奨。

 

というわけで良かった点など。

 

風格を感じさせるOP

 

古き良き懐かしの据え置きゲーな語りを見せてから、クオリティ爆高のスチルを見せてくるこのオープニングにまず惚れました。前作の、勇者魔王ものにガチャの概念をぶち込んでくるところもそうですが、レトロゲー王道感とはちゃめちゃ現代感の融合が上手いですよね。

あとブグロフの「凄絶なレジェンド」発言が大好きです。せやね。すさまじかったね。

言ってしまえばOPの雰囲気に忠実な内容。シリアスの流れをガクッとずらしてギャグに持っていく展開がすごく楽しかったです。 

 

 

策謀を酒でねじ伏せるパワー

 

前作の感想でちらっと、魔族の領地等々の土台設定がしっかりしているところが素敵といった旨を書いたのですが。今作はその領地云々が見事に繋がって、魔王VS英雄の構図から魔族VS人間の構図になっているところが面白かったです。

なんていうか、やってることはハチャメチャでも基盤が安定しているので、安心して見ていられるんですよね。こちらも着いていきやすいですし、そこからとんでも展開にすっとんでいくとギャップでなおさら笑えますし。

策謀はやっぱりきちんと黒幕や思惑があってこそ輝き、ぶち壊しがいが生まれるんだなあと実感しました。

 

 

一新したステータスでレッツ無礼講!

 

前作で基本的なステータスがカンストしたぶん、続編はどう転ぶのか期待一杯だったのですが、こちらの期待をさらに高跳びしていくスタイルでとっても楽しかったです。

まずステータス。ついに「酒豪」が輝くようになりました。

続いて顔グラ。マフィンが顔芸を覚えました。なんてこった!

基本的なシステムは継承しつつ、敵を叩きのめすのではなく貢がせたり飲ませたり、一生懸命ゴミを拾ってお金を稼いだりと、酒池肉林感もさらに増しています。

倒れた兵士たちの台詞がそれぞれ違っているのも凝ってて良いんですよねぇ。

加えてメインストーリーのセリフの切れ味の良さも必見。パワーワードがあちこちで飛び出し、容赦なく自堕落な豪遊を罵倒してくる様はぞくぞくするものがあります。好き!

 

 

連打OKでストレスフリー

 

さらに前作からの変更点として、エリア内のものを一気に消費したり収集したりするスキルが連続で使えるようになりました。これは嬉しい!

前作でかかっていた下準備もかなり時短できるようになり、実質半分くらいのペースでさくさくエンド回収ができました。集めた実績はもはや増えるわかめ状態。

そして何より、演出ですよ!

一気に色々しちゃうと、派手にバァンと演出されるのでかなり爽快感がありました。気持ちいい!楽しい!全てがマフィン様の元にひれ伏していく!!

その他、ガチャ演出がさくっと100連できたり、アクション演出をカット出来たり、歩くスピードがちょっと速くなっていたりと、かなり改善されていてありがたかったです。

 

 

舵取りは元気いっぱい破壊神上等へ

 

マフィンが最強化してからの続編となるので、前作と異なり明るく笑えるエンドが多かったかなと思います。私は鬱が好きなのでちょっと惜しくもありますが……でも唯一ある鬱エンドはめちゃくちゃ性癖を擽られました。ありがとうありがとう。

何より、本作になってギャグパワーと豪遊っぷりがさらに増したので、エンドの色が熱く元気になるのも自然かなと。これはこれですごく元気が出る、愉しいゲームでした!

また、ストーリーもより長めになっていて、キャラの内心やマフィンのそれぞれのエンドでのスタンスの違いもわかりやすくなっています。CP萌えもしやすいかも。

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

前作の良さをより強化し、時々姿勢を正してはやっぱりぶはっと吹き出してしまう、とっても楽しい一作でした。

追記では各エンドのネタバレ感想など。

 

 

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