「子どもが子どもでなくなるためのやり方」
でももう私を呼ぶ人はいなくなる前置き。
えー、今回はDREAM of DREAMさんところのフリーゲーム「雛鳥フェアリーテイル」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
ひたすら前進していくタイプの、ノンフィールド短編RPG。少しゴシックな雰囲気の通り、どことなくダークファンタジーなストーリーが展開されていきます。
なんかすごい偏見なんですが、私は「dendrite」というフリーBGM(今は規約がフリーではなくなっているかも?)を使用しているフリゲはかなり性癖に合う作品が多いと思っておりまして、本作も例に漏れずでした。いや~指標の確実性が増していく……。
というわけで、良かった点など。
エンド分岐の条件など、一部の攻略やネタバレに触れていますのでご注意ください。
努力家で表情の乏しい少女
体調を崩したお婆さんのために薬草を取りに行くぞ! というのが本作の始まり。このお婆さんとのやり取りは、要所要所に回想の形で差し挟まれます。
この作者様の別作品は、かなり硬くて哲学的な言い回しが多かったように思うのですが、本作は「わたし」視点で自然と主人公ヘンリエッテに想いを寄せたくなる文体でした。淡々とした言い回しの中に「うおお」といった子どもっぽい台詞が混じってくるのがツボ。
画面にずっと表示されている立ち絵も、シンプルに一種類だけですが、クリアするとこの立ち絵でなければならなかった理由が確かに用意されているなとしみじみ唸らされました。
思考あめあられ
ただ進むだけだと味気なくなるところを、ランダムな会話(独り言)システムで色をつけているところもポイント。健気に裏山を登る様子から、初見でぎょっとする台詞まで、バリエーションも豊か。ゲームのヒントになる文章が見れるのもありがたいですね~。
テキストの中だと想剣魔法の設定の話が好き。
お婆さんと少女はたくさんの約束を交わしているんですが、その一部もここで確認できます。バトル後の回想も含めると、たぶん14個くらいの約束がわかるはず? ちょっとしたテキスト差分を回収するのが好きな私としては、一歩進んではXを連打しまくるのが楽しくて楽しくて。
二つあるエンドのうち、片方の真相ルート限定のテキストもあるので、気になる方は是非。ちなみに分岐はラスボス後の行動で決まるので、エンド回収もしやすいです。
表と裏と言えば良いのか、片方のルートとリンクするテキストにニヤリとさせられました。
ちょうどよい難易度のバトルシステム
この手のゲームは後戻りできないぶん、リソース管理がシビアで難しいという印象を持っていました。ですが、本作は雑魚戦なしで丁度良い難易度のバトルを味わえました。
といってもヌルゲーというわけではなく、敵の属性はしっかり注意してスキルを選んでいく必要はあります。
さりげなく、装備品を買う時も売る時も同額なのも良点。買ってみて合わなければ売って付けかえて、ができるのはかなり嬉しかったです。
RPG初心者にはきついだろうけど、慣れてる人にはちょうどいい、くらいじゃないかなあと……? 負けてもデメリット無しなので気軽に色々試せるのが利点ですね。
中には初見でぎょっとするイベントバトルもあって、スキルセットでどう乗り越えるかを考えるのが楽しかったです!
何よりバトル画面のデザイン、顔グラの表示の仕方がすごく好き。
とまあ、こんな感じで。
いわゆる雪道ゲーをお求めの方や、ダークファンタジー・童話っぽい雰囲気がお好きな方にオススメです。
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