うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「My Lady Lee」感想

「だってこんなあべこべな世界で型に収まるものなんて!」

あっと驚いてばたんと閉じるのも乙な前置き。

 

 

 

えー、今回はセンイチライラさんところのフリーゲーム「My Lady Lee」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

www.freem.ne.jp

 

 

 

共同制作とのことだったのですが、ひとまずリンク先は配布元の方から。

「ロンドン橋落ちた」を元ネタとする、マザーグースな世界観のノベルゲー。クリアまで数時間。

 

 

というわけで、良かった点など。

お話の雰囲気やエンドの傾向など、軽くネタバレしますのでご留意ください。

 

 

 

コミカルでシニカルなキャラクター

 

人を疑うことを知らない、記憶喪失の少女、リィ。基本は善人でありつつもどこかツンケンとした少年、レッドブレスト。リィに熱烈な愛を捧ぐも、それ以上の自己愛が見え隠れする蛙、アントニー

他にも個性的なキャラクターは多々登場しますが、共通して感じたのは「歪」があるところです。リィは良い子ですが、底抜けの優しさや暢気さにはどこか不安を感じます。アントニーは見るからにわかりやすく怪しげで、レッドブレストも頼りになるながらも何か抱えている様子。

こういう、一滴混ぜられた不気味さが延々と尾を引くところがすごくツボでした。

 

キャラの掛け合い自体はすごく明るいんですよ! ギャグがありツッコミがあり、シリアスとのバランスもばっちり。

だからこそ、根底に感じる不信感が光り、そこが気になってもっともっとと続きを読みたくなるお話でもありました。

 

 

 

まさに童話の展開

 

まず「橋に閉じ込められる」という舞台設定からしてかなり斬新な本作。狭く一本道の橋はしかし、手を変え品を変え、あらゆる展開でもってリィを引き留めようとしてきます。それもどこかマザーグースのように時折不思議な方向へ舵を切っていくので、飽きることがありません。

よく考えればグロテスクな展開も起こっているはずなんですが、血が薔薇で表現されたり、痛みがそもそも存在しなかったりする世界なので、不思議とコミカルに物語は進みます。ここもなんだか歪で好き。

 

そもそも作中で頻繁に登場する、「橋に愛される」というワード自体がものすごくキャッチーなんですよね。どういうこと?という疑問と、呪文めいた響きがなんだかずーっと頭に残るんですよ。

この辺り詳しくはネタバレ追記にて。

 

 

 

頭の奥で広がる読了感

 

メインの視点主はリィとレッドブレスト二人になりますが、地の文は一貫して三人称視点です。語り口も相まって、それこそ童話を読んでいるような気持ちにさせられます。リィの天然さや橋の不思議空間っぷりもあいまって、ツッコミ不在の展開になりがちなんですが、だからこそ淡々とした地の文が際立つなあと感じました。

 

そして、一番の推しポイントは読了感!

エンディングも、個人的にすごく好きなんですが、人によっては首をかしげてしまうかもしれません。でも、あの読後感はこの物語でしか味わえない、本当に貴重で痺れるものでした。

明確な真相がドンと突き付けられるのではなく、キャラクターとあの世界ごとプレイヤーの手の届かないところへ行ってしまう感じ。私は大好きです。

 

 

 

 

多い立ち絵差分とお洒落な画面構成

 

最後にグラフィック面について。

ずっと霧の続く背景ですが、全キャラクターに立ち絵が用意されているので見た目は華やかです。立ち絵の差分も多め。何より、「手が六本」「薔薇塗れの男」「見た目は若者の老人」などなど、立ち絵があるからこそ映えるキャラクターが多いので、そこを全力で生かしてるなあと感じました。

 

文字表示も、序盤はフォントの可愛らしさや一文表示が少し気になっていましたが、終盤になればすっかり慣れました。むしろあのフォントはシリアスになりすぎないあの独特の空気感にぴったりですし、文字表示も掛け合いのテンポの良さに合うなあと感じます。

 

何より、全体的にクラシック?でお洒落な雰囲気が、よりあの不思議空間の質を高めていてとても好きです。クリア後のタイトル画面がシンプルに変わるところも、色々と深読みのし甲斐があって素敵でした。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

マザーグースが好きな方、独特の世界観に浸りたい方、色々と考察をするのが好きな方、テンポの良い展開を楽しみたい方にオススメです。

 

 

追記ではガッツリネタバレ感想や考察など。

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

フリーゲーム「pico - 夢語りの冥府下り - 」感想

フリーゲーム「ブロングスのマリオネット」感想

 

 

 

 

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ゲーム「UNDERTALE(アンダーテール)」感想

「みんなを救うんじゃなくて、誰も仲間外れにしない優しさ」

遊ぶときも壊すときも捨てるときも一緒な前置き。

 

 

えー、今回はトビー・フォックス (Toby Fox)さんところのゲーム「UNDERTALE(アンダーテール)」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

なんと!

当ブログでは珍しく、商業ゲームです!

今回プレイしたのはSTEAM版・非公式日本語訳版。そうなんですよ、非公式パッチだけ延々と抱えて、本編もセール中に買ったまま詰んで早数年。ようやっと重い腰を上げました。

もうすっかり有名かとは思うので、紹介などは抜きにして、自分のプレイ体験だけメモ代わりに載せておこうと思います。

 

 

もちろん、ネタバレ注意!

 

以下は伏字も隠しもなく全て見事にネタバレします。

 

 

 

 

初見 Nルート

 

・トリエル

 

まず言い訳をさせて欲しい。

トリエルはHP減らしたら説得に応じてくれると思ったんだよ~…………!!!

ここ以降は殺さず進められただけに、罪悪感がいっそう増しました。母を殺してしまった罪を、他の人に優しくすることで誤魔化す、みたいなプレイをしてしまったように思います……。うぅ……。

 

クリア後に感想などを調べてたらやっぱり、「トリエル倒したプレイヤーは話を聞いてない」「根気がない」といったご意見も見かけて、めちゃくちゃ辛かったんですが……。「後悔してからの二周目が楽しいゲーム」という言葉もあって、すごく救われた気持ちになりました。後者だと思ってたいなあ。

 

ホームでは反抗期しないとゲームが進まないことがわかっておらず、のほほんと寝たりお話したりしてました。そしたら謎の声(たぶんアズゴア)に起こされました。HAHAHA。

ああいう風にヒントを教えてくれるのいいよね~って思います。

 

 

 

パピルス

 

対応方法を全部試そうとしたら意図せず恋人ルートが解放されそうになって大変焦りました。でもまあ、そんなにその気になってくれるならこっちも、みたいな……悪い気はしないかな……みたいな!? そんな気分になってからさらにフラれる二段構え。実に楽しかったです。くっそ~! 好きだ~~!!

私はゲームが上手い方ではないので3回ボコられて無事に見逃がしてもらえたんですが、どうもあれが正規の不殺手段ではないみたいですね? でもなんか、パピルスの人の良さが全面に溢れていて大好きです。

 

パピルスのテーマ流れ出した途端に何もかもがハッピーエンドへ走り出す気がするところも好き。

電話するのが楽しくて、マップが切り替わるたびに話しかけてました。二回内容が変わるのも良いですよね~。パズル関係全般の、「礼には及ばないぞ」のドヤ顔感がツボです。

 

 

 

・アンダインとモンスターキッズ

 

初めは対処法がわからず、耐え弾幕と思ってセリフが尽きるまで粘りました。そして私の腕前ではもちろん、かーなーり死にまくりました。

彼女はなんていうか、悪役に悪役であってほしいタイプなんだろうなと思っていたので、おうちに引きこもられた時は申し訳なさありましたね……。モンスターキッズを速攻で助けたのでなおさら、いや~、悪役として期待に応えてあげられなかったけどこっちもやりたくないからなあみたいな……。そう上手いこと善悪って分かれないよねとか色々と考えた想い出。

あと、モンスターキッズにもう一回会いたくてあっちこっちめちゃくちゃうろうろしました。固有名欲しかったなあ。

 

 

 

・マフェットちゃん

 

トリエルママの言うことを聞きながらここまで進んできたんですよ。つまり、怪しいものは拾い過ぎないようにしていて、当然蜘蛛の巣もスルーしてしまっていたんですよ。

……苦労しましたね~! アフフフフ~。

いっそ諦めて殴り倒そうかとも思ったんですが、ここまで良い子で進んだぶん、攻撃力も足りなくて結局全力で耐えました。ペットのご飯の時間が一番つらかったな~。

 

でもBGMはここが一番好きです。

あと、お目目を順番にぱちぱちぱちぱちって閉じていく動きがすごく好き。

 

 

 

・サンズ

 

お食事会があまりに怖すぎた、というか、言い訳をしたかった……いやでもこれホントに言い訳でしかないんですよね……辛い……。

この後の審判のシーンもそうですが、サンズはなんていうかどっからどこまでも全部他人事な感じがして、なかなか打ち解けようと思いづらいキャラだったように思います。

初周からサンズ大好き!って方もいらっしゃるのかなあ。自分は後ろめたさが邪魔をしてしまったように思います……。

 

 

 

アルフィーとメタトン

 

謎の鍵を使わずじまいだったので、メタトンが真相を話してもなお半信半疑で進み続けていました。

うーん、信じたくなかったというか……。アルフィーが拗らせまくってる人なのは察しがついたので、自作自演だったとしてもそれでよかったんですよ。私を利用する形であったとしても、それでアルフィーが自信を持てるんならそれでいいんじゃないかなって。助けてもらった時、馬鹿正直に「ありがとー!」って思っちゃってたから、その気持ちを嘘にしたくなかったんですよね……。

そのぶん、逆にメタトンの葛藤が当時は全然わかっておらず。

アルフィーともメタトンとももう少し話せればよかったなあと思いながら勢いに呑まれて駆け抜けました。

 

 

 

・アズゴア

 

あの決意の槍の演出よ!

アズゴアも決意を持っているからああいう風に、槍もハートと同じく真っ赤なケツイの色で、メタく介入してこっちの選択を封じることもできたのかなあと解釈しているんですが……どうなんだろうね。とりあえず、BGMのアレンジの入り方も含め、すごい涙が止まらなくなりました。

 

そして泣きながら挑むももちろん死ぬわ死ぬわ。

あれね、死にまくるとちょっとずつ「はなす」の内容が変わっていくんですよ。アズゴアにつらい顔させるのが申し訳なかった……。計11回は死にました。本当にすまんかった。

この段階だとなんでアズゴアがバタースコッチパイに反応するのかわからなくて、なんとなしホームを思い出すのかなーとか色々考えてたんですが……。Pルートでやっと納得がいきました。しかもよく見たら二人とも炎魔法使いですね。細かい……!

 

撃破後の台詞が一番好きです。「おはなしをしよう」。もう、私はそれがしたくてずっと、ずっとずっとずっと挑み続けてたんだ……!

まあフラウィーにやられるわけですが。

 

 

 

・フラウィー

 

見逃がしました。ざっくり倒しておく方がすっきりするんだろうし、Pルートが望めない以上は倒しておいても良かったのかなあと今となっては思うのですが。

当時はやっぱり、フラウィーの事情も訊きたいなあと思っちゃったんですよ。なんかな、あれだけみんな優しい世界でなんでフラウィーだけがあそこまで殺伐としてるのか気になったんですよね……。

その辺りはPルートで解決したので満足ですし、「話を聞きたいならこの条件でクリアしてみろ」みたいな流れがスムーズだったので、なんだかんだで良いプレイ体験をさせてもらえたのかなと思います。

 

 

 

 

2周目 Pルート

 

・アンダインとパピルス

 

電話内容がアンダインいる時といない時とでほぼ全マップ変わるんですよ!!!

それだけでもやっぱ、不殺Nじゃなくて素直にネタバレ無しの思うがままプレイをして良かったなあと思います。嬉しい……!

ボケ担当だったパピルスが時々アンダインのブレーキになるのが意外過ぎてめっちゃ面白かったです。特にホットランドはボケツッコミが完全逆転してて楽しかった……!

 

 

 

アルフィー

 

あと楽しかったのはアルフィーのデートイベント!

BGMの切り替わりがずるいですよね、あんなんもう泣きながら爆笑よ。

それに、なんかアルフィーみたいなキャラも救われてくれるのがすごく嬉しかったです。比べてみるとアンダインやパピルスってまあ、言ってしまえば根は悪い奴じゃないんだぞってひしひし伝わってくるタイプじゃないですか。理想の友達と理想のヒーロー、みたいな。それに比べてアルフィーはそういう魅力的な描写が目に見えづらいようにされていて、まあ一般ウケの悪い人だろうなあとは思うんですよ。嫌な面もよく描写されてましたしね。

それでもアルフィーがメインキャラの一人として救われているところに、思うところがありました。このルートは良い人だけを選んで救うんじゃなくて、みんなを救ってくれるんだなって。ダメなところともちゃんと立ち向かったうえで許してくれる、信頼できる綺麗ごとを見せてくれるんだなって……。

 

後悔としては、しんじつのラボの犬MIXを私棒きれでなんとかしちゃったんですよー。そのせいか、エンドロールでもスノーフルの会話でも、まだ自我がMIXしてる感じのテキストになってしまい、若干の申し訳なさがありました。いやでも余裕がなかったんだ……。

 

 

 

・エンディング他

 

エンディングはもうとにかく熱血王道大円満!で気持ち良かったですね~!

「他のものをSAVEすることができる」

からはずっとずびずび鼻鳴らしながらプレイしました。

 

最後に、寂しかったところとして。

アズリエルとのいせきでの会話で、あくまでPルートで彼らを救ったのはFriskであって、私じゃないと改めて言われたのが心にザクっと来ました。完全にプレイヤーが主人公と切り離された感じ。

いやそりゃそうなんですよ、トリエルさん殺しちゃったし。でもなんか、いっぺんやってしまったことはもう取り返しつかないんだなと……リセットしても罪は罪なんだと……。

 

そしてこの感情はゲームを再起動した時の彼との会話でなお濃くなりました。

そっか、私は敵なんだよな。それはそうですよね、だってこの後Gルート行こうとしてるんだもんね。

 

ある意味ここで覚悟が決まって、良かったのかもしれません。

 

 

 

3周目 Gルート

 

 

・プレイにおける心構えについて

 

今まで良い子ちゃんなプレイをしてきたのもあって、どういうスタンスでこのルートに入ればいいのかなーと序盤は戸惑いつつのプレイだったんですよ。

でも心配いりませんでした。最初期にサンズが、「おまえは人間のふりしたバケモノだ」と示してくれるからです。モンスターでもニンゲンでもない、バケモノ、エイリアン、このゲームにおける異物。そんなのと言葉通じるわけないですよね。

というわけでそこからはさくさく、それこそ心を殺して楽しくプレイできました。

Pルートに入るためのヒントにしてもそうですが、このサイコパスと名高いGルートにおいてもゲーム内の誘導は丁寧なんだなあと、ゲーム早々に感じ入りました。

 

 

 

・想定されるプレイヤー像について

 

このルートに入るプレイヤーってサンズも言ってましたが、「そういうルートが用意されてるからやってみた」人がまずいると思うんですね。自分は圧倒的にこれ。

一方で、「残虐プレイが気持ち良くてやった」とか「弾幕バトルを楽しんでたらこうなってた」みたいなプレイヤーさんもいると思うんですよ。でこのゲームのすごいところは、そういったプレイヤーもしっかり想定して作られてる(と思われる演出がある)ところでした。

 

まずは残虐プレイやサイコパスRPを楽しみたいプレイヤーについて。彼らが特に気持ち良くなれるのが、スノーフルやアンダイン戦だと思うんですよね。歩けば怖がられ、おまえはおかしいと言われ、さらには完璧な「悪役」になれる! ワルになりたいプレイヤーにとってこれってめちゃくちゃ気持ち良くないですか?

情に訴えかけてGルートへ進むのを止める、という、優しい世界を目指すゲームからのメッセージというのが本願かなと思ってはいるものの。こういう、プレイヤーを悦ばせる側面があるところに、本当の優しさ……どんなプレイヤーも受け入れますよという姿勢を感じます。

 

また、バトルが楽しくてルート入りしたプレイヤーについて。これはもうあれですね、サンズ戦の難易度が物語ってるように思いますね!!!

あとメタトン戦辺りにも絡めたいのですが、これは後述。

 

とにかく、心優しき優等生や、共感性の高い感情移入派のプレイヤー“以外”にも楽しみを与えてくれるところが、やっぱり優しいゲームだなあと感じます。

 

 

 

・トリエル

 

トリエルママを撃破して、自分は間違っていた、みたいなことを言いだした時に私は、「あ、主人公を守りたいっていうのはエゴでもあるってことなのかな」と思ったんですよ。実際は意味が違っていたんですが、ここでそういえばアンテのキャラって皆短所もちゃんとあるよなあと気づきました。パピルスは空気が読めないとも言えますし、アルフィーは前述の通り、アンダインも頭が固いところがあって、アズゴアは優柔不断、みたいな。

こんな感じで、キャラが作り物みたいな聖人君子ばかりじゃなくて、おや?と思ったりする面も用意されているのは、Gルートに入りやすくする導線……なのかなあ……なんて。

 

 

 

パピルス

 

貴様が答えてくれれば俺様達は全力で返してやるのに、みたいなセリフに涙腺が崩壊しました。そうだよなあ、コミュニケーションって、誰かと友達になるってそういうことだよなあ……。そしてこっちは言葉の通じないバケモノなんだ……。

パピルスってびっくりするほど暗いところがなくて、底抜けのお人好しで、だからこそこのGルートの主人公にとってはものすごい嫌がられるタイプなのかなあと思います。さみしい……。

 

 

 

・モンスターキッド&アンダイン

 

あれだけ人間は危ない逃げろって言い続けてきたのに逃げなかったモンスターキッドを、それでもアンダインは一言も責めないんですよ!!!

これまでのルートだとかなり短気なところも見えていましたが、それでもあの子に「逃げろと言っただろう!」みたいな怒り方はしないで、笑ってあたしに任せろと言ってくれるんですよ。もう、こんな、こんなにも頼もしい味方いるか?!

パピルスに対する態度もそうですが、ほんととことん身内想いの良い人ですよね……。

散り際も含め、どこまでも凛とヒーローであったところが大好きです。

 

なおバトルについては数日かかりました。いやもう、強かった……。矢印攻撃はパターン覚えても手のほうが間に合わないんもんで、もう多少被弾する覚悟でやってました。輪っかの矢印がひゅんひゅん収縮していく攻撃は、むしろスピードアップしてからのほうが楽だったなあ。

ここを雪だるまのかけら二個で抑えられたのはかなり手堅かったと、後になって昔の自分をほめたたえました。バタスコ残しといてほんとによかった……。

 

 

 

・マフェットちゃん

 

撃破時の演出にものすごく、納得感がありました。

ああそりゃ、ここまでのボス戦でさんざん言葉を尽くしてきて、それでもここに来たってことは、もはやこのプレイヤーには言葉は通じないとゲームの方が理解したんだなという。それでマフェットちゃんの撃破演出は、言葉もなく、ただ瞳で訴えかけるようなやり方になったんだなあと。

アンダインよりこっちの演出のほうが心痛んだって方もいそうな気がする。

 

 

 

・メタトン

 

そしてすごいのがこの戦い!! この戦いの演出ですよ!!!

新しいビジュアルで、新しい曲で、さあ何が起こるのかというこちらの期待をぜーーーんぶ無視してワンパンで終わる戦闘。この何がすごいって、終わらせることで逆に雄弁とこちらに突きつけてくるものがあるからです。

ここまでのプレイヤーこと私は、物語の変化とかキャラの新しい一面とか、Gルートに入るからこその新しい要素を求めてきたんですよ。でも、このメタトン戦で、主人公と私がさらに乖離したというか……。私にとってはワクワクするNEOメタトンも、主人公にとってはただの障害物で演出すら邪魔なスクラップに過ぎないんだなと解釈しました。

このバトルでなんか、この先の道がどうなるかの覚悟が決まった気がします。このルートをクリアしたその先には、破壊しつくした爽快感じゃなくて、虚無感が待っているんだろう、と。

 

 

 

・サンズ

 

いや~~~~~~~~~~クリアするまでかなり時間がかかりました! 三週間くらい? プレイ時間だと14時間くらい。

帰宅する→サンズと戦う→負ける→翌日って感じだったので、逆に倒した後の寂しさが凄まじかったです。「さあ今日もサンズと……あ……倒したんだった……」みたいな。いや日常の一環のように死闘をさせられるサンズからしたらたまったものではないと思うんですが!

 

ともあれ、初見殺し・画面外攻撃・高難易度弾幕どれも一貫してプレイヤーを諦めさせるための戦いだなという感じがしました。それが、サンズの立場からできる全力の抵抗だったんだなあと思います。

でも最後には、サンズを倒すためには放置するっていうヒントをサンズ本人がくれるじゃないですか。それがもう、しんどくてしんどくて!! ゲームという媒体をしている以上、プレイヤーにクリアされることが目的であるからには当然。それでもずっしりと重く感じましたね~……。逃げられない因果というか運命というかメタというか。

 

そして何より、これだけゲーム側が抵抗してもなおプレイヤーが頑張ったら勝てるというシステムになっているのが、とても誠実で好きです。

 

 

姿を見せずに倒されてしまうところも、サンズらしくて好きです……。唯一死に際だけはプレイヤーの好きにはさせないし、見せてやらないって感じ。

 

 

 

 

・総括

 

やっぱり初めに書いたことの繰り返しになりますが、どんなプレイヤーも受け入れるために存在してくれているのがGルートだと感じました。だから噂よりは苦しくなかったし、このあとリセットして再び世界を始めてしまうことで、プレイヤーが第二のフラウィーになる構成になっていて、改めて構成の妙を感じました。

 

 

 

 

4・5週目 N・Pルート

 

Gルートの後のPルートはエンディングに変化があると聞いて、プレイ。いやもうここまでやったらしゃぶりつくさにゃいかんって!

今回は選んでいないトリエルママと一緒のエンドへ行ったんですが、なるほど、なるほど……。

ラストでたった一か所変わるだけなのに、こんなにゾクリとさせられるんだなとしみじみしました。この後の展開が目に浮かぶ……だって実際に私がこの手でやってきたことですもんね……。

見事な“再演”のプロローグを感じさせてくれるエンディングでした。

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

隅々まで味わいたくなる、そしてさらに壊したくなる、その業が返ってくる、完璧さがありました。でも根幹には優しさの満ちた作品だったと思います。

フリーゲーム「雛鳥フェアリーテイル」感想

「子どもが子どもでなくなるためのやり方」

でももう私を呼ぶ人はいなくなる前置き。

 

 

えー、今回はDREAM of DREAMさんところのフリーゲーム雛鳥フェアリーテイル」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

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ひたすら前進していくタイプの、ノンフィールド短編RPG。少しゴシックな雰囲気の通り、どことなくダークファンタジーなストーリーが展開されていきます。

 

なんかすごい偏見なんですが、私は「dendrite」というフリーBGM(今は規約がフリーではなくなっているかも?)を使用しているフリゲはかなり性癖に合う作品が多いと思っておりまして、本作も例に漏れずでした。いや~指標の確実性が増していく……。

 

 

 

というわけで、良かった点など。

エンド分岐の条件など、一部の攻略やネタバレに触れていますのでご注意ください。

 

 

努力家で表情の乏しい少女

 

体調を崩したお婆さんのために薬草を取りに行くぞ! というのが本作の始まり。このお婆さんとのやり取りは、要所要所に回想の形で差し挟まれます。

この作者様の別作品は、かなり硬くて哲学的な言い回しが多かったように思うのですが、本作は「わたし」視点で自然と主人公ヘンリエッテに想いを寄せたくなる文体でした。淡々とした言い回しの中に「うおお」といった子どもっぽい台詞が混じってくるのがツボ。

画面にずっと表示されている立ち絵も、シンプルに一種類だけですが、クリアするとこの立ち絵でなければならなかった理由が確かに用意されているなとしみじみ唸らされました。

 

 

 

思考あめあられ

 

ただ進むだけだと味気なくなるところを、ランダムな会話(独り言)システムで色をつけているところもポイント。健気に裏山を登る様子から、初見でぎょっとする台詞まで、バリエーションも豊か。ゲームのヒントになる文章が見れるのもありがたいですね~。

テキストの中だと想剣魔法の設定の話が好き。

お婆さんと少女はたくさんの約束を交わしているんですが、その一部もここで確認できます。バトル後の回想も含めると、たぶん14個くらいの約束がわかるはず? ちょっとしたテキスト差分を回収するのが好きな私としては、一歩進んではXを連打しまくるのが楽しくて楽しくて。

二つあるエンドのうち、片方の真相ルート限定のテキストもあるので、気になる方は是非。ちなみに分岐はラスボス後の行動で決まるので、エンド回収もしやすいです。

表と裏と言えば良いのか、片方のルートとリンクするテキストにニヤリとさせられました。

 

 

 

ちょうどよい難易度のバトルシステム

 

この手のゲームは後戻りできないぶん、リソース管理がシビアで難しいという印象を持っていました。ですが、本作は雑魚戦なしで丁度良い難易度のバトルを味わえました。

といってもヌルゲーというわけではなく、敵の属性はしっかり注意してスキルを選んでいく必要はあります。

さりげなく、装備品を買う時も売る時も同額なのも良点。買ってみて合わなければ売って付けかえて、ができるのはかなり嬉しかったです。

 

RPG初心者にはきついだろうけど、慣れてる人にはちょうどいい、くらいじゃないかなあと……? 負けてもデメリット無しなので気軽に色々試せるのが利点ですね。

中には初見でぎょっとするイベントバトルもあって、スキルセットでどう乗り越えるかを考えるのが楽しかったです!

何よりバトル画面のデザイン、顔グラの表示の仕方がすごく好き。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

いわゆる雪道ゲーをお求めの方や、ダークファンタジー・童話っぽい雰囲気がお好きな方にオススメです。

 

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

 

 

フリーゲーム「My Wonderful Shop」感想

「劇的な事件は恋のきっかけ、けれど愛は日々の積み重ねから」

好感度稼ぐためにはまず出会うところからな前置き。

 

 

 

えー、今回はとか家さんところのフリーゲームMy Wonderful Shop」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

乙女向け、経営要素あり。さくっとクリアするだけなら数時間かと思いますが、やりこもうと思えば延々キャラと話し続けられる、中毒性の高い作品です。

 

というわけで、良かった点など。

 

 

 

めちゃくちゃ細かい会話差分

 

とにかくこの会話の作り込みのすさまじさ!! ここを何よりも主張したい一品です!!

話すたびに話題が増え、選択肢がある、これ自体は乙女ゲーあるあるだと思うんですよ。すごいのが、以前した会話を相手が覚えていること!

例えば、同じ話題で前回と違うことを言ったら困惑されたり、以前答えた好きなものを相手が覚えてたり仲良くなってから天気の話を振ったら、他人行儀を嗜めるようなことを言われる、なんてことも。

お互いの関係の進展具合が、機械的なパターンではなくこれまでの選択の積み重ねとしてリアルに感じられるんです。これすごくないですか!?

この手の特定の場所に通い詰めて好感度を上げるゲームって、どうしても作業ゲーになりがちなんですが、その中でも楽しさをめいっぱいに用意してくれている作品でした……!

 

 

 

ギャップ萌えも王道もグッとくるキャラクター

 

攻略キャラの面々も、いやあ、ほんとに皆魅力的です。

そして魅力の出し方が上手い!

このキャラはこういうタイプかー、と手慣れてきたころにちょっとレールを変えて「おや?」と思わせてくれるイベントが発生するんですよ。そっからはもうずぶずぶです。一人一人に起承転結が用意されている感じで、最後まで飽きずに攻略できました。

 

同じ年下キャラでも日陰育ちの悪ガキとピュアに背伸びをしたがるお坊ちゃんがいたり。生活圏内やキャラ属性だけみると被っているキャラも多いんですが、そのぶん共通の話題での個性がより光って見えます。

性格がすごく一貫していて、なんだろうな、受け答えがどれもリアルなんですよね……。ああこういう性格ならここが引っかかってこうひねくれるだろうし、そういう境遇なら率直に来るだろうなあ、みたいな、全部の言動に納得がある感じ。だからこそ、彼らがプレイヤーことヒロイン役のコニヤと出会うことで変わっていく様がありありと感じられて、ものすごーく楽しかったです。

 

一応述べておくと、エンド自体は糖度低めであっさり味ですし、イベントや会話一つ一つもそこまで長いわけではありません。ですがそのぶん! 過程の丁寧さがじっくりと噛み締められる作品だなあと思います。

 

 

 

会話を通してわかる街の雰囲気

 

本作は攻略キャラだけでなく、顔有りモブキャラもかなり多め。モブと呼ぶには躊躇われるほど、話せば話すほどに個性を感じられる良キャラぞろいです。むしろお名前で呼んでみたい、貴族のお兄さんのおうちにご招待されたい!

と余談はさておき。彼らとの会話もこれまた豊富、当人の生活から街のこと、攻略対象のことに至るまで、あらゆる情報が飛び込んできます。ゲーム画面の外側に広がる街並みが目に見えるようでとても素敵でした……!

あと、これ「好きキャラが一般人にはどう見えているか」みたいな視点が大好きなので、攻略対象が話題に上がる時はニヤッとしました。特にイアラ君関係はグッとくる方も多いんじゃないかなー。

 

 

 

お店を通じた交流にスポットを

 

お店経営ゲーと銘打つと、例えば粗悪な商品を置いたら売れ行きが下がったり、置くものによってお店の傾向が決まったり、といったシステムが思い浮かぶところ。

しかし本作はメインが「店」ではなくあくまで「人」という印象でした。商品そのものより、それを誰が手に取るのか。商品やお金儲けはあくまで副産物で、その商品を元に誰を店へ呼び込んでお話するかが鍵。その商品が「誰に」売れるのか詳細画面で見れる、ここが全てを物語っているような気もします。

 

 

 

攻略はゆるく、やりたい人だけじっくりと

 

上記にも絡みますが、物ではなく人に着目することで何が助かるかって言ったら、単純にゲームとしての難易度がゆるくなるところなんですよ……!

お店も管理してキャラも落として、となってしまうとたいてい私はどちらかを放棄してしまうんですよね……。なので、こつこつお店を開店してさえいれば細かな部分は目をつぶってもらえるこの塩梅がとても助かりました。川の水、意外と人気。

 

伴って、ゲームオーバーになる締め切り日付もかーなーり余裕をもって設定されています。本作の攻略キャラは8人いるんですが、おそらく並列攻略を狙って丁度良いくらいになるかなー、なんて。

私は初回一人だけ攻略してクリアしようとしたら、思いのほか余暇時間が長くなってしまったので、最終的に数ヶ月ほど爆睡しました。はっはっは。嫉妬イベントなども用意されていますし、誰かを上げたら誰かが下がるなんてことは基本的にないので、同時攻略を狙って損はないかと思います。

目標金額自体はきちんと高めなので、遊ぼうと思えばじっくり期間ギリギリまで遊べるところも好きです。

 

 

 

コンプは気長に

 

さて一方、イベントのコンプはかなりシビアです。

条件がわからないのが第一。中にはあえて嫌われるような行動をしたり、エンド行きの選択肢を断ったり、少し癖のあるイベントもあるので、収集癖持ちの方には少し厳しいやもしれません。

でも個人的には本作、そもそもコンプを前提としていない気もするんですよねー。

前述の会話パターンの多さにも関わりますが、特殊条件のあるイベントって「こういう行動をしたら彼はどう反応するんだろう?」という好奇心に対するご褒美な気がするんですよ。想いのままにプレイして、見つけたら「おっ」と嬉しくなる感じ

なので、見れなかった……ではなく、見れてラッキー!くらいの距離感でプレイするとより楽しめる作品ではないかなーと思いました。

ちなみに、エンドさえ見ればおまけCGは解放されます。長時間プレイしたからこそニヤッとできるデザインなので、是非!

 

 

 

 

 

とまあ、推したいポイントが多すぎて、いつもより長くなってしまいましたが。

 

恋の過程を大事にしたい方、時間を忘れて作業に没頭したい方、会話パターン多めの作品が大好きな方に強くおススメの一作でした!

 

 

 

追記ではネタバレ込みで攻略キャラの感想。

 

 

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フリーゲーム「Element Zero」感想

「無駄な一手を削りに削って挑むは無駄だと知ってる戦い」

俺達本当にこうするしかなかったのかと問いたい前置き。

 

 

えー、今回はDr.KさんところのフリーゲームElement Zero」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

VIPRPGですが、もしもキャラも下ネタも全くない珍しい一作。数時間でクリアできる、短編ゲーです。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

 

複雑なシステムと簡明なチュートリアル

 

オリジナルバトル、若干のリソース管理要素など、手慣れるまではややこしく感じるシステムが多めです。が、本作はかなりとっつきやすく、算数滅びろマンの私でも楽しくプレイできました。

というのも、チュートリアルの簡明さ! ストーリーの導入は最低限に、初めて数秒で即操作可能。「これだけ覚えろ」というポイントに絞った解説があり、触って覚える派の方はそれでオッケー。また、攻略のヒントが日に日に増えるという小出し形式なので、少しずつ段階を踏んで慣れていくことができます。

なお、きちんと腰を据えて理解してから進みたいタイプの方は別添に説明書があるのでご安心。

「読みたい奴は読め!」「たるい奴はさっさと進め!」

このさくさく感が好ましかったです。

 

 

 

脳筋で進むとストップがかかる仕様

 

魔法もステータスもプレイヤーの好みに合わせて強化できます。となると一本に絞って強くしたくなるのが極振り信者の私なのですが。中盤から全く攻撃が通らなくなり、そこで改めて要素の一つである属性を意識したり、パッシブスキルへ手を伸ばしたりと、さらに深く楽しむための第一歩へ自然と進むことになりました。

要はレベルデザインが素晴らしい!

ステータス振りのリセットはできないんですが、その分、挙げた方が良いスキルや挙げ方のアドバイスなどのヒントも誠実に用意されています。なにより、振り直しできない理由がきっぱり宗教上の理由(=作者様のこだわり)と明言されてるところも好感が持てました。ならばよし!

 

 

 

後戻りできないエリア式

 

本作はゲームオーバーとなる期日が決まっています。エリア攻略→拠点→エリア攻略、というローテーションでゲームが進んでいくので、自分である程度進み方を調整していく必要があります。

中には宝箱の隠されているエリアもあるので、できればじっくり回りたいところ。とはいえテンポよく進むことは重要ですし、稼ぎに気を取られてボスを倒す体力が尽きてしまっては本末転倒。このジレンマがまた良い要素でした。

とか言いつつ、私は期日とエリア数を勘違いして、16エリアあるつもりでゲームを進めてしまっていたのですが!w 人の話はちゃんと聞きましょう、ということでね。

 

 

 

ターン制だけど連続攻撃なバトルシステム

 

敵→自分→敵→自分とバトルはターン制ですが、ポイントは1ターンの中で連続行動ができるところ。行動するために消費するポイントが、スキルによって異なるのも重要です。使用回数かMPか、それとも行動力のみか。

マップを長く攻略したいなら回数型のスキルを乱用すべきですが、尽きると何もできなくなってしまうのが難点。逆にMPスキルを使い過ぎると、エリア攻略が進まなくなってしまいます。さらには同じ技を連続使用するとコストが増える関係で、色々なスキルを考えながら回していく必要があります。

前述のエリア攻略もそうですが、こういったところにリソース管理要素が仕込まれてあるのも楽しかったです!

 

 

 

 

ストイックなストーリー

 

お話自体は起伏が薄め。ストーリーを進めるとメインキャラ三人の関係やラスボスの動機などがわかるようになっていますが、それぞれが覚悟を決めているので、お話は淡々とした印象でした。台詞もどことなく翻訳文っぽい感じ。エンドも暗くはあるものの、べたつかず潔く終わりを迎えます。

これを味気ないと取るか、多くを語らないシンプルさが良いと取るかは人それぞれかと。が、私自身はバトルにかなり脳の容量を割かれたので、こと本作においてはストーリーがドライで助かりました。

 

 

 

見つけて楽しい戦いの記録

 

プレイ実績として用意されているのが、戦いの記録。バトルでの使用スキルから、セーブ回数やプレイ時間などのメタ要素まで、何にでも実績が用意されています。解放するとマナがもらえるのも嬉しいところ。

中には煽りのようなものもあり、ぐぬぬ……となることも。一方でテクニカルな実績ではニヤッとする書きぶりで褒めてもらえるので、いい具合に調教されてる感があります。

さすがに全開放はできていませんが、ついつい色々とやりたくなる楽しさを感じられました。解放された時の「こんなところで!?」という驚きが好きです。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

複雑なシステムではありますが、手に馴染んでからが本番。最後までダレずに楽しく遊べた一作でした!

 

 

 

 

最後に私のプレイ記録など。とってもわかりやすいプレイでした!

 

 

フリーゲーム「あかねいろのそら」「茜の向こう」「蒼のこちら側」感想

「道を踏み外さなかったのはおまえのおかげだ」

なんて脅迫にも近いことをするのね、な前置き。

 

 

えー、今回はDREAM of DREAM さんところのフリーゲーム「あかねいろのそら」「茜の向こう」「蒼のこちら側」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

 

元々この作者様の『鳥籠』というゲームをプレイしていまして、そこに登場するイムという子が登場するということでDLしてみました。

といっても本作だけではイムはほぼ傍観者で、メインはあくまで別キャラクターになります。なので、自分と同じ動機でプレイすると少し肩透かしになってしまうかも?

でも、細やかな言い回し等に『鳥籠』で好きだった要素がいっぱい詰まっていて楽しかったです。何より「うふ?」がいっぱい聞けますしね。

 

 

というわけで、気になる方は下記作品名からどうぞ。

 

 

 

 

 

『あかねいろのそら』

 

[概要]

一本道短編RPG。雑魚戦無し、ボス戦のみ。鬱展開。

 

 

[ストーリー]

 

やはりテキストは相変わらず難読多めの厨二病文体で魅力的。敵名や装備説明、回避などのシステムメッセージまで徹底して凝っています。隅々まで陰鬱とした世界観を味わえて気持ち良かったです!

特に好きだったのが、ラスボスが形態変化する前の会話。傷を舐め合う関係とはよく言いますが、それをこの作者様独特の語彙でさらにべたべたと生々しく救いのないものに魅せているところが好きでした。

ちなみに冒頭の「ファルス」はシモの意味ではなくておそらく「喜劇」のほうかと思われます。知らなくて調べたらすごいワードが出てきてしまった。

この話を「お花を咲かせる話」と銘打っているセンスがかなり好きです。皮肉かと思いきや、あの人にとっての精一杯の世界への復讐、あるいは世界へのラブコールとしてかなり正確な表現なんですよね……。

 

 

[グラフィック]

 

とにかく戦闘中の動き回りっぷりがすごい!!

キャラが等身高めで見ごたえもありますし、何よりイムのモーションがすごくかっこよくて大好きです。ロマンだ……!

 

 

[バトル]

 

本作は雑魚戦が無いので、レベルを上げてのごり押しが通用しません。ですが、適度に差し挟まれるボス戦はどれも難易度としてちょうどよく感じました。

あ、でも蘇生アイテムが機能しないバトルがあったのでそこは要注意。

自動回復するMPの量がこれまた絶妙。ガス欠するころに状態異常が切れたり回復が必要になったりするので、読まれているかのような楽しさがありました。

特に後半は転倒と悲嘆が強かった! これを使いこなせるかで難易度がガラッと変わる気がします。詰まっている方はお試しあれ。

 

 

[一言]

仄暗い終わりへ向かうための一作。

 

 

 

 

『茜の向こう』

 

[概要]

一本道短編RPG。雑魚戦あり。

 

 

[感想]

 

公開日が『あかねいろのそら』より前だったので、プレイ順を間違えたかなーと後悔したんですが、実際のところの時系列は『あかねいろのそら』の後のようでした。シェードのその後が描かれます。むしろこの順番でプレイして正解だったかも?

 

台詞も数個、『あかねいろのそら』をプレイしていないとピンとこないものばかりかと。でも、あのたった数個の会話で「メトレはおそらく貴族のお坊ちゃん」「シェードはメトレ父からの雇われ師匠」「アリシュは仕え人」といった関係性がぱっとわかるのは上手いなあと感じました。説明的なセリフ無しでこれが書けるのは素直にすごい。

 

雑魚がうようよいますが経験値はもらえないのでほとんど意味がありません。なので、RPGとして期待したい方はちょっと趣旨と外れるかも。

読み物としては楽しかったです。ただ、鬱ゲーが柔らかく昇華されてしまうのが嫌な方にはオススメしづらいかもしれません。でも私的にはこの、拭いきれない黒、みたいな雰囲気が好きでした。

 

 

[一言]

『あかねいろのそら』の後日談を知りたい方向け。

 

 

 

 

『蒼のこちら側』

 

[概要]

一本道短編RPG。雑魚戦あり。

 

 

[感想]

 

茜の向こう』の前日譚および、同時系列の別パーティのお話。あちらがシェード編とするならば、こちらはイム編とするべきでしょうか。といっても、イムはやっぱり傍観者ですが。

 

おそらくは『』が死や鬱に近いものとして描写されているので、その対極にある『』であるこちらは相対的にかなり明るめでした。中ボスにいたってはギャグ要員。この作者様でもこの手のノリにチャレンジするんだなあと驚かされた覚えがあります。

そのぶんお説教に見えてしまうのが難点かなー、なんて。でも、イムの「その程度で考えが変わった気になるならそれだけ軽い葛藤だったってこと」みたいな語りはものすごく好きです。

 

茜の向こう』と比べて、装備強化があったり経験値システムがあったりと、ある程度雑魚戦の意義が増えています。森というマップなのもあいまって、敵シンボルをよけづらいので、戦闘のメリットを用意してもらえるのは嬉しいところ。

某シーンでの、羽根がぶわっと飛び去る描写が、すごく印象に残る素敵な演出でした。

 

 

[一言]

長くても10分程でクリアできるので、シリーズプレイしたなら勢いで。

 

 

 

 

 

『鳥籠』との関係

 

こうしてみると、『鳥籠』で見覚えのあるマップが多かったですね……。逆かな、このシリーズの完結編が『鳥籠』だったのかも。

これまで世界意思的な扱いをされていたイムが『鳥籠』でようやく主役に添えられると思うと、グッときますね。ベールの内側が見える感じ。

 

シリーズ共通で登場する「塔」についてがいまだにピンと来ていなかったりします。

  • 塔が見える→叶えたい暗き夢がある
  • 塔が見えない→健全、自力で夢を叶えられる

みたいな感じなのかなあ?

 

シェードとメトレの関係性やエンドでのリドヴィナを見るに、

  • 塔が見える→復讐・憎悪・厭世などによる殺人衝動を抱えている
  • 塔が見えない→見える人の衝動を消すことができる

なのかも。

そしてこの殺人衝動は、疑似家族みたいに誰かからの愛で和らげられるものとして扱われている、のかなー……?

 

ただ、『あかねいろのそら』でイムが言っていた通り、ここら辺を明言してしまうのはナンセンスな気もしますね。でも気になる!

 

 

 

 

 

ともあれ、こんな感じで。

やはりシリーズ集大成の『鳥籠』が一番のクオリティを誇ってはいますが、私的にはこの作者様の好む文脈みたいなものに少し触れられた気がして、楽しかったです。

 

 

 

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

フリーゲーム「プッシュ! 四天王」感想

「潔く弱点を宣言する、その心意気やよし!」

男の戦いと見せかけてただのドMだったらどうしような前置き。

 

 

えー、今回はM無月(おでん)さんところのフリーゲームプッシュ! 四天王」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

 

VIPRPG、下ネタあり感動もあり。操作有りイベント中心→デフォ戦→見るゲ。一周目は十分程度、二周目以降全エンド回収で一時間ちょいくらい。これでなんとなしに察してしまう方いたらごめんなさい。

 

というわけで、良かった点など。

作品傾向のネタバレはするのでご了承あれ。

 

 

 

周到に攻め立てる乳首アタック

 

とにかく乳首! どこまでも乳首! そして触れる時は素早く的確に!

こう書くとアクションゲーみたいに見えてしまうな。全然そんなことはなくコマンドバトルというかデフォ戦なんですけれども。

乳首ネタでインパクトを出しつつも、擦りすぎず、ここぞというところで燦然と乳首を思い出させてくれるところが楽しかったです。出オチのような本作、出オチだけで終わらせず、きちんと段階を踏んでありとあらゆる乳首プッシュを考えられているところもポイント。

 

 

 

わかりやすい誘導と納得の展開

 

誘導はかなりはっきり明示されています。てっきりただのネタゲーだと思っていたので、念押しが多かったのは意外だったんですが、二周目の存在を知ってから納得しました。

天丼って言うのかな、すごくこう、ギャグのお約束をきっちり踏襲してくれるんですよ。四天王を撃破する順番がそのまま起承転結に繋がっていて、かなり楽しくプレイできました。

三戦目で「なにぃ!?」と一緒になって思わず叫ぶなど。楽しかったです。

個人的にはこれ自由度出す必要あったのかなー?と思いはするものの、一本道がやらされてる感あるタイプのプレイヤーがいるのもわかるので、最大限の譲歩なのかも。なんて。

 

 

 

見るゲーADV要素と戦闘の混在

 

普通にストーリーを見るだけなら、さくっとプッシュしてサッと見ておしまいの良ネタゲー。しかしながら、それだけで終わらせるのはもったいない!

まず戦闘中の会話差分から。選択肢総当たりするのが実に楽しかったです!

全部見ようとすると当然倒されるんですが、即再戦できるので全閲覧はスムーズ。というか面白いから普通に全部見た。ナス戦では会話を見る前に倒してしまったので、改めて確認してから倒すくらいには楽しみました。

続いてデフォ戦について。二周目から、あるいは誘導を無視してからはガッツリデフォ戦ゲーが始まります。ストーリーや出オチを楽しむはずが、戦闘もなかなかテクニカルで唸りました。ここにきてむしろ撃破順をどうしようか悩まされるという、このレベルデザインも好き。

さらにはここからまた、見るゲへシステムが戻ります。この見るゲやるゲの切り替えが違和感なく飲み込めるのは、見るゲというジャンル名自体が存在してるVIPRPGならではだな~、なんて。

 

 

 

心温まるようでいてギャグで締めるストーリー

 

さて、この作者様といえば『煙の魔女勝手に救済』や『盲目少女と王子様』など、シリアスとギャグを調和しつつハッピーに〆る見るゲが有名かとも思うのですが。

その要素、あります。マジか。完全に不意打ちだったのでぎょっとしました。しかしこの方カップリング好きやなあ。

だくねすと五郎、自分の中ではかなり異色な取り合わせだったので、新鮮で面白かったです。

 

でも好きなキャラはライト。良い具合に愛憎こじらせてるというか、皮肉だしダークだし報われないくせに一途な馬鹿なところがめちゃ好みでした。最後の最後で扱いがアレなのもすごい好き。ちょっと良い話になりかけてもそうは問屋が許さないところに、なんていうか、物語の善悪のバランスの良さを感じます。

 

熱血でシリアスなんだけど、ギャグが勢いよく差し挟まるからうっかり笑ってしまう。このおとぼけっぷりが逆に、素直にハッピーエンドを信じさせてくれる。そんな印象の一作でした。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

まとめると、どこまでもゲームとして飽きない構成の一作でした!