うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「ヘイトフル・ナイン」感想

「偽悪が害悪になり醜悪になりそうして私が引き金を撃つ」

かくして私は大悪党な前置き。

 

 

 

えー、今回はあーりんのゲームづくり。さんところのフリーゲーム「ヘイトフル・ナイン」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

www.freem.ne.jp

 

エンド2種、ワンマップの試行錯誤バトルゲー。これはもう公式の紹介文が最高なので、ゲーム内の必読から引用してしまいますね。

 

悪党集団【ヘイトフル・ナイン】を全員倒し、無残に殺された息子の復讐を果たしてください。

 

 

というわけで、良かった点など。

 

 

血と硝煙を嗅げる作品

 

これでもかとあちこちにぎゅっと情報量の詰まったワンマップに放り出されるところから、本作は始まります。未プレイの頃はスクショだけ見て、物語性よりもシステム重視っぽい印象を抱いていました。

しかし! 

すごいのが本作は、この記号的なマップの中でなお「血」と「硝煙」を感じられるところ! 

アニメーションしまくるとかそういう類ではないんですよ、むしろ逆。初めたての時は背景として流していたマス1つ、説明メッセージの一文に込められた重みに、どんどん気付いていくんです。

だって見えてくるんだもん、血塗れのドロシーがほうほうの体で、しかし確固として歩みを進める姿が! 幻覚じゃないんだ! いや幻覚かもしれないが!

そのくらい、濃厚で殺伐とした空気感をひしと感じられる作品でした……。

 

 

 

あらゆるシーンのテンポの良さ

 

さて、これだけ夢中になれるのはやはり、システムのテンポの良さがあるからでしょう。

小難しい説明はゲーム内に押し込んで、触ってわからせる簡明さ! 連打OKで戦闘開始も流れるようにスムーズ、回復アイテムはわざわざメニューを開かなくてもキーを一回押すだけ。どこまでもプレイヤーに優しい! 高難易度ゲーだからこそ、こういうところで丁寧なのが信頼できます。

これぞまさに死に覚えゲー

倒れては即NEWGAMEで、少しずつ進むの範囲を増やしていけるのが楽しかったです。

 

 

 

数値に踊らされる気持ち良さ

 

ゲーム開始時点で血濡れの主人公・ドロシー。

このインパクト最大な始まりにまず胸を鷲掴みにされました。歩くだけで減っていくコストと睨み合いっこする、この焦燥感よ!

 

さらにポイントは、圧倒的に緻密な数字管理について。

いやもう、掌の上なんですよ!! いけそうと思えばあと10足りない、あちらを売ればこちらが足りず、そういったジレンマの波を幾度も感じました。この手のゲームで一番楽しいの、歩き始めですよね。

これらが運要素とかじゃなくて、きっちりかっちり数字として管理されている美しさが気持ち良かったです。

攻撃アイテムに基礎ダメージ量が載ってるのも明快で嬉しい!

 

ただ失礼ながら一点、不満だったのは属性関係かな。ヒントをくれるNPCはきちんといましたが、それぞれの属性の弱点が不明瞭でもやもやしました。

属性関係が中盤~終盤に出てくるので試行錯誤するのにためらいが出てくるのと、セーブにコストを払わないといけないという2点で、いかんせん引っ掛かりを感じやすかったのかなー、なんて。

 

とはいえ繰り返す通り、試行錯誤の楽しみが存分に味わえます!

やろうと思った動きにまんまとストップがかかった時の、「作者様に読まれている……!」感がめちゃくちゃ気持ち良かったです。

 

 

 

しっかり濃密なストーリー

 

オープニングなしで始まり、淡々と進む本作。一見すればかなり簡素に思えますが、それがとんでもない思い違いであることは、プレイした方ならわかる通りです。

ここでそう来るとは!というね!!

初めはシステムに背を押されながらガンガン進んでいたところ、脳汁ドパドパな興奮をフッと鈍器で止められ、そこに高濃度なストーリーを押し込まれる……。「やられた!!!」って叫びました。

そしてこちらも、やはり数字できちんと納得が示されているんですよ。システムとストーリーとプレイ体現が全部繋がってて、カッコよかった!

 

具体的にはネタバレありとして追記で語るとして。

冷たくヒリつく空気感が好きな方には、是非、本作にこもった多くの感情も味わってほしい気持ちです。

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

 

トライアンドエラー詰将棋が好きな方はもちろん、ヒリつくストーリーやハードボイルドな雰囲気に惹かれる方にもオススメです。

 

追記ではネタバレ感想

 

同作者様の他フリーゲーム感想記事↓

shiki3.hatenablog.com

 

 

 

 

 

ネタバレ注意!

 

 

 

とりあえず特に重要そうだなーと思い、かつプレイしててだいぶ悩みに悩んだのはこの辺り。

 

・輸血液は命だが金にもなる

・行動順はアイテム使用時でも通常攻撃時でも変わらない

・真エンドは2周目から楽しむ方がよい

・熱には冷、肌には斬、鋼には電気

 

あとは情報屋さんの話を聞きつつ試行錯誤でクリアできるはずです。

 

 

 

1周目

 

実際死んだ数は数えられないので、一度エンドを見たという意味で1周目。

ビリーに即負け→情報屋へ、の流れを経ていたため、うっかりビリーを飛ばしてムンライに突っ込もうとしていました。あれ~? やっぱりこの手のゲームをする時はメモ大事ですね!

血濡れたメスを愛用していたので、終盤2人は熱血を乱用して撃破。あとはレンガと鉄パイプ。固定ダメージ武器は特に、旦那様によくよく効くので助かりました……。それでも血よりバレリアンの方が足りなかったかな。オレンジ敵は宝箱近く以外、大半無視していたように思います。

Krma値は4。まあ、やるよね。

 

余談ですが、倒した時の興奮で脳がやられていたので、「ヘイトフル・ナインにとどめを刺したのがダメだったんだ!」と謎に思い込んでもう1周プレイしました。倒した後のメッセージ聞かずに進めたらいいんだろうなと。

でもよく考えると、倒した敵の遺言を聞いてるプレイヤーの方がおそらく少ない……? ですよね……? テキスト読むだけでもBP減るわけですし。

 

一周やり直すことで、衝撃のラストに動揺していた心が落ち着いたので、結局は良かったのかもしれません。

 

 

2周目

 

いや~、初手で唸りましたね!

銃も服も全部売ってビリーに挑むも、メスで戦おうとすると絶妙に相手のHPが10残ってしまう。かといって防弾ベストなしでは耐えられない。落ち着いて始めたはずの2周目が早くも血に滾った瞬間でした。気持ち良かった~……。

 

ここでようやく、かんたんな治療薬を用意してくれるあの敵には氷の瞳が効くことに気付きました。弱点属性のパワーを舐めていた……!

多少行きつ戻りつしつつも、しっかりきっちりオレンジ敵を屠りながら進んだので、ラスボス戦はむしろかなり余裕だったように思います。その分道中がカツカツでしたが……。残り30の輸血液を握りしめてじりじりと進む様は、例え傍から見ればただのドット絵で私にしか見えていない光景であろうと、ドラマティックでした。

こういう、プレイヤーによって道のりの異なるゲームは、思い入れも変わるので好きです。

 

 

真エンドの個人的な解釈など

 

徹頭徹尾、「ヘイトフル」なのが大好きでした。

恨みから始まって、恨みに終わり、悪事は悪事として残り続ける。ゲームシステムが殺伐としているからこそ、根幹に潔いほどの倫理観が感じられて素敵でした。

しかもそのうえで、締めの言葉が「ありがとう」なの、本当に指先が震えましたね……。

なんというのかな、事実だけ見ると「命を救ってもらえた」になるはずなんですが、その裏に絶対それだけでない意味がこもっているのはわかるんですよ。パッと投げ捨てられない、まだ続いてしまう、その苦しみ。でも、それでもなお「ありがとう」になるの、ものすごく……救いと重みがあって、沁みました。

まだ、ドロシーが「ありがとう」に至った理由が自分の中で掴み切れずにいます。

 

 

 

余談

 

情報屋から先に全部情報を買い取ってしまおうとしたんですが、いきなりのゲームオーバーにびっくり。そして2周目で改めて見に行くと、まさかのイベントが始まって再びびっくりしました。

これ、もしかしてネタバレ防止のためにイベントがわざわざ分岐するよう組まれている感じですかね……!? 細やかさに痺れました。

ドロシーが泣いちゃったのは、幸せだった頃の過去への郷愁かなあ。それとも、確固たる決意でさらには進まないといけないという覚悟からかなあ……。

 

7/9人については、いない2人がドロシーとジミーだと思っていたんですが、クリア後に感想などをググってやっと勘違いに気づきました。NEWGAMEしてみたら確かに、豚の仮面被ってるー! ムンライが言ってたのはそういうことだったんですね……。

 

自分でもちょっと悩んだのでまとめると、

・全員でヘイトフル・ナイン→9

・ドロシーとジョンが抜ける→7

・真の奴が加入する→8

・ぺぎーをドロシーが倒す→7

で合ってますかね……? ドロシーとジョンが抜けてるからジミーはヘイトフル・ナインではないのかな。ゲーム開始時の左にあった死体はジミーだと思っているんですが、死体があるからヘイトフル・ナインなのではなく、仮面の有無が鍵なのかなーと。

 

 

 

 

と、ネタバレ関係で言いたいことはこんな感じで!

どこまでもヒリつく、良いシリアスゲーでした。