うそうさ〜第二号室〜

フリゲ・鬱展開・ヤンデレ 万歳!

フリーゲーム「ポイズナッポパイ」感想

「プロット通りに動かないのは製作者あるある」

まあどうあがいても詰んでるので問題なしな前置き。

 

 

 

えー、今回はあきのぽんぽり(松あきの)さんところのフリーゲーム「ポイズナッポパイ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。

 

www.freem.ne.jp

 

エンド分岐あり、攻略を見てフルコンプまで30分強くらいのADV。毒と死が漂い続ける、良質な鬱ゲーです。

 

 

というわけで、特徴的な点など。

 

 

全てが死に収束するストーリー

 

基本的に本作の登場人物の目的は大半が「死」です。

他の鬱ゲーと違う本作独自のポイントは、憎悪よりも想い合いによる死の方が多いところ。「はやく終わらせてあげたい」「望みを叶えたい」「みんなのところに行きたい」……。願い自体はネガティブなはずが、動機がポジティブなんですよね。

なので、陰鬱なエンドは多けれど、納得も多かったように思います。凹む鬱と言うより、これからもこの人たちはこういう風にやっていくんだろうな……と余韻に浸りながら何度も見返すような感じ。

 

 

 

一癖あるキャラクター

 

そもそもこのゲームのDLを決めたのが、トキシの見た目です。右目が剥き出しのあの顔グラ! いやあ、釣られて大正解でした。だってもう世界観が好き!

その後モズが出てきてこれまた、好き……となってしまいましてね……。この作者様のキャラデザ自体が合うのかも。絵の、タッチ?線?もなんだか、沼底へ引き込まれる感じがして好きです。

 

さて気になる内面はと言えば、これもまた強烈。死に向かって進んでいくゲームなので、淡々とはしているのですが、その裏にある想いの強烈さや執念の深さなどがちらりと見え隠れします。

中でも“あの”ヤンデレズは最強です。狂信型を浴びたい方は是非。

 

 

 

血と毒の絡む世界観

 

ダークと注意書きのある通り、人体実験・受胎・改造・食人などなど、あれこれヤバげな展開が飛び交います。が、ポイントはこれらが淡々とお出しされるところ! 露悪的な面がなくて、ここはこういう世界観ですと静かに殴られる感じがします。自分は大好きです!

中でも驚かされたのが魔女の発想。ポエムな文体のOPで雰囲気ゲーかと思いきや、ここで身が引き締まりました。

魔の者、というファンタジーな要素はありながらも、ファンタジーの一言だけでふわっと流しはしない、しっかりした舞台設定を感じます。

 

 

 

 

斬新文字入力システム

 

探索やイベントは文字入力によって進みます。キーワードは色付き文字で表示されるので、何を入れればいいかはわかりやすいかと。

ただしこちら、不満に感じるところも何かとあります。ざっくり下記の通り。

・反応語句が少ない

・入力に手間がかかる

・語句が、図鑑への入力・モズの入力・コトノの入力、どれに対応するか不明

特に図鑑とコトノは紛らわしかったように思いますね~。

いや、コトノから手に入れられるアイテムなど、分岐条件自体はすごくしっかりしているんですよ! なので、一部は選択肢だけにしてしまったとしてもしっかりゲームとして成り立ってはいたんじゃないかなーなんて。

 

また、きらきら光る探索ポイントと全然光らないポイントがあるので、紛らわしかったです。ここは攻略難易度に関係なく、統一してほしかった点ですね~……。

 

とはいえ!

本作、なんとしっかり攻略メモが同梱されています!! なので詰むことはありません。何よりやっぱりストーリーや世界観がめちゃくちゃ好きなので、最終的には大満足でした。

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じで。

ダークな世界観、激重感情、死を目指す人たちの淡々とした鬱展開が見たい方におススメです。

 

 

追記ではネタバレ感想。

 

 

ネタバレ注意!

 

ストーリー内容もあらすじどころか核心までガッツリ明記するのでご注意ください。

攻略→考察解釈語りの掲載順です。

 

 

 

攻略

 

攻略メモがゲームに同梱されてるの本当に助かるんだよなあ……!

ただ、本作はセーブデータが4つまで。

なので以下、私が自分用に作ったエンド回収用攻略チャート的なものを載せておきますね。クリア後にエンドを効率よく見返すためのデータを作りたい方向けなので、ストーリー理解の推奨順ではないかもしれません。

攻略についての追加質問は受け付けませんので、あくまで補足程度のものだということでお願いします~!

あと、プレイ済の方へ。開発室をお見逃しの方がもしいたら是非ご確認ください!!! ゲーム制作のあれこれが聞けて、プレイ専の自分としては新鮮で楽しかったです。

 

 

OP(初めてトキシと話してから部屋を出るまでの間)にセーブ①

ED1→人間で良かった

 

セーブ①をロード

実を熟させない(2日間寝る)

 ED4→断る

 ED5→コトノ信じる

 

セーブ①をロード 

人間じゃないを選択&コトノの血を1回だけ取得 セーブ➁

 ED7→1日目にコトノの血を与えた後2日目にモズの血を与える

 

セーブ➁をロード 

コトノが死亡するまで血を取得して2日目へ セーブ➂

 ED3→2日目コトノに話しかける

 

セーブ➂をロード

 ED2→2日目モズに話しかける

 

セーブ➁をロード 

1日目にコトノの血をさらに1~2回取得して(セーブ➁作成時点と併せて合計2~3回)夜の虫イベントを発生 セーブ④

 ED8→2日目夜の虫イベントを見ずにコトノの血を与える

 

セーブ④をロード

 ED6→2日目夜の虫イベントを見てコトノの血を与える

 

ご参考までに。

 

 

 

 

キャラ・エンド語り

 

やっぱりTRUEENDがお気に入り。

恐るべきはやはり、コトノですね……。純度の高い一途な愛はやはり狂気。死と陰鬱を重ねてきたこの展開で、「幸せ」を最後に〆るのが凄まじく恐ろしかったです。好き。

ED8みたいに他のコトノだけが置いて行かれるエンドでも、同じように幸せに暮らしていくんだろうなあと思われて、ちょっと安心もしました。

 

初めて入ったのがED5だったんですが、妊娠や受胎系って個人的に一番グロいと思っているので、ゾワゾワがすごかったです。もちろん、ホラーや鬱ゲーとして良い意味で! コトノってなんだかんだでずっと幸せそうなエンドが多い?気がしますね。狂っておく方が健全(???)なのかもしれない

 

モズとトキシはお互い大切に想い合ってるからこそお互いに妨害し合っているのがすごく、ままならなさを感じて大好きです。

特にモズは、夜の虫イベントを起こしたのが全END見る直前だったのでなおさら驚かされました。ギリギリで正気に戻ったみたいな感じかと思ってた……。

コトノとモズの関係性が実は好きです。都合が良い&邪魔くさいの二人による利害一致関係。好き。

 

 

と、こうして挙げていくと、作者様ご本人が仰る通り確かにフィエスタはと言われると困るんですよね。

一人で完結してしまっているので、それ以上の掘り下げようが無い。こういう淡々としたキャラ好きなので、舞台装置じみていたとしても満足ではあるのですが。

 

コトノがフィエスタを好きな理由とか、フィエスタとイリサの関係とか、もっとあったら見え方も違ったのかな? でもそういうのって書くと説明的すぎる時もありますし、うーん……。

 

不透明な方が、色々と想像できる余地があっていいのかもしれません。少なくともこの作品においては、この塩梅が好きです。

 

 

 

 

 

考察解釈あらすじまとめ

 

最後に、面白味も情緒も何一つない、自分用のキャラ別の動きまとめです。もったいないので未プレイ・未コンプの方は見ないでください!!

 

 

王:魔の者の研究を知って自分にも取り入れた。だが上手く融合できずに、魔の者を融合し続けないと生きられなくなった。終いには魔の者を食べ続ける怪物になった。

 

博士:キルケを愛しており彼女のために不老不死の研究をしていた。が、不老不死の研究が王にバレた。自分が逝けば独り残されるキルケを想って、キルケを殺すことのできる毒(実)を開発していた。王の魔の者家畜計画を断り、自害。

 

キルケ:博士を愛していたし二人で不老不死になりたかった。キルケを置いて自害した博士に対し、可愛さ余って憎さ百倍。博士は死んだので、博士が昔可愛がっていたモズとトキシに復讐することを決める。モズを毒漬けの人質にしてトキシを脅し、研究を続けさせる。実験体となって今は脳だけの身体だが、それでも復讐は続けられるので一応問題はない。でも身体を手に入れて自由に虐められる方がもっと都合が良い。脳を接続したら意識を乗っ取れるであろう適合者のコトノを狙っている。

 

モズ:博士とトキシと暮らしていたらキルケが来た。博士が死んでから、キルケの八つ当たりで毒漬けにされた。今は全身毒人間。王に脅されているトキシを早く自由にしてやりたいので、元凶の王を殺しに行きたいが、トキシのカプセルのせいで身体の自由が効かない。同種の毒を持つ虫に協力してもらって、ちょっとずつ毒素を排出して、自由になろうともくろんでいる。

 

トキシ:博士とモズと暮らしていたらキルケが来た。博士が死んでから、キルケの八つ当たりで魔の研究を続けるよう強要された。キルケを最初の実験体にして、脳だけにすることは成功したが、王を通じてモズを人質に取られているので、キルケを殺しきれてはいない。モズを王の餌にはさせず、かつ死ねないモズが早く終われるように、博士の実の研究を進めている。自分だけの研究だと上手くいかず、フィエスタの力を借りることに。

 

コトノ:フィエスタが大好き。トキシに改造されて魔の者を植え付けられている。適合者なのでキルケの脳の声が聞こえる。ガン無視してきたがうるさいのでそろそろ黙らせたい。

 

フィエスタ:魔女型の改造者。生き延びたが改造の影響ですぐに死ぬことが確定している。(ほとんどのエンドにおいて)人間ではなく、魔の者として、戦争で死んでいった仲間と同じように死にたいと考えている。亡くした魔の脳の代わりにキルケの脳をもらうため、トキシに協力して実を熟させようとする。

 

 

 

と。

ざっくりまとめてみたんですが。

回想シーンなど繋ぎ合わせてみたものの、内容勘違いしてるかも? まあざっくりこういうことだろうということで。

こうして見るとコトノが一番不明で不明瞭なはずなんですよね……。はずなんですけど、一番強烈なんですよね……。

しかしこれほどの話をあのコンパクトさと必要十分な綺麗さでまとめ上げてるのすごいなあ。

 

 

 

 

ともあれ、まとめ直してしっかりと噛み締めたいくらいには、味も深みもあるストーリーでした!