「真っ白を汚す快感よりも、眺める癒しを求めたくなる時がある」
こちらが漆黒ならばなおさらの前置き。
えー、今回は露骨(あきばれ)さんところのフリーゲーム「ヤミノウツツ」の感想をつらつら書きますね。一部レビューっぽいかも。
読了まで10分少々の一本道ノベルゲーム。
世界観を共有している「ヌシアルハナ・ハルノヨ」から先にプレイするのをオススメします。逆に、ヌシアルハナをプレイ済の方については、特にキャラクターの関連性やゲスト登場はないため、別物と考えたほうが良いかと。
したがって、感想もヌシアルハナを前提としております。ご了承をば。
というわけで、特徴的な点など。
若干エンド内容の匂わせをする程度のネタバレを含みます。ダイレクトな書き方はしていないつもりですが、未プレイの方は要注意。
花で表現されるキャラクター
本編中にキャラの立ち絵はありません。代わって、誰が話しているかは花で表現されます。画面構成がオシャレ!
メインキャラが3人、かつ基本は一対一の掛け合いということもあり、立ち絵はなくともすんなり読み進められます。そもそも名前表示がありますしね。
ヌシアルハナの時からずっと、家紋の取り入れ方や画面構成の綺麗さに惚れ惚れしていたので、こちらでも堪能できて嬉しかったです! こっちは青基調なのも対比があって好き。
近親婚をテーマにした話
さて、ヌシアルハナのほうもガッツリ近親婚ではあるものの。全員がそれを避けがたく成されるべき業だと認識してる、というか、もはや諦めてると思うんですよね。
一方で本作ヤミノウツツは、特に主人公のアオイの抵抗感がはっきり表現されるので、改めてこのホンケの歪さを客観的に感じられたような気がします。
物語自体は甘くとろりと闇へ堕とされるような雰囲気でしたね……、本作のこのテーマを踏まえたうえで、かつヌシアルハナが生まれたことを考えると、だいぶ鬱展開だよなあとも思います。
聡くも愚かなあの子
公式の紹介文にもありますが、ヒロインポジションのタマキはとにかく無知です。一方で、色んな物事を察して気を配ろうとするだけの賢さはあります。このアンバランスさが、もう、絶妙でした。いじらしいと痛ましいって両立するんですね……。
目が見えないという設定もまた私の好みぶっ刺さりでした! もしかしたら、だからこそ立ち絵が無いという演出でもあるのかな……?
展開もまた、無知という属性がよくよく響くんですよ……。不穏な導入からどんどん、うっとりと蕩けていく展開に変わっていくのがすごくゾクゾク来ました。好きだ~……!
とまあ、こんな感じで。
最後に留意点としては、コンフィグがないことかな? 短編ですし特に不便はないのですが、ヌシアルハナから入るとおや?となるので一応。
ヌシアルハナの世界観が好きなら合わせてプレイしてほしい一作でした。
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